導入事例

日本板硝子株式会社様

変化する管理職の役割に、立ち止まって向き合う機会を。360度フィードバックで始める成長支援

日本板硝子株式会社

人事部 小杉 久人 様

  • 管理職の育成
  • 組織活性化

日本板硝子株式会社様は、1918年に設立された世界有数のガラスメーカーです。建築用ガラス、自動車用ガラス、クリエイティブ・テクノロジーの各分野で事業を展開し、先進的なガラス技術を通じて社会の発展に貢献しています。2025年、日本国内の管理職を対象に、360度フィードバックを導入。管理職を取り巻く環境が変化する中、いかにして本来の役割を再認識し、今後の成長につなげるきっかけを作ったのでしょうか。導入の背景から運用上の工夫、そして実施後に見えてきた次なる課題について、人事部の小杉様にお話を伺いました。

継続的な育成と役割認識の向上を目指し360度フィードバックを導入

——360度フィードバックを導入された背景をお聞かせください。

小杉様
きっかけは、当社の上位層が集まる経営会議体において、国内における管理職のアップグレードが必要であるという合意がなされたことでした。
これを機に、まずは「ファーストラインマネジャー」と呼ばれるグループリーダー層の役割・定義を明確にし、運用していくことが急務となったのです。

人事部内でどのような研修設計が効果的かを議論した結果、一度限りの研修では学びもその場限りで終わってしまうのではという懸念がありました。そこで育成の「継続性」を担保するために、これまで十分に実施できていなかった360度フィードバックを取り入れることにしました。自分自身の行動を数値やコメントで客観的に「可視化」することで、より実践的にリーダーとしての役割を認識できるのではないかと考えたのです。

——研修を設計するにあたり、なぜ360度フィードバックを組み込もうと思ったのですか?

小杉様
企画段階では、360度フィードバックによる行動の可視化のほか、年間を通じた教育プログラムや、簡易的なアセスメントとリーダーシップ研修を組み合わせた施策など、複数のパターンを検討しました。その中で、育成効果や導入・運用のしやすさを総合的に勘案し、360度フィードバックを取り入れることにしました。
当社のグループリーダー層は約200名にのぼります。全員に育成機会を提供する方法を考えたとき、集合研修だけでは工数や費用の面で限界があります。一方、サーベイを活用すれば、効率的に全員へ「気づき」の機会を提供できると判断しました。

——企画段階において、皆さんが最も解決したかった課題は何でしたか?

小杉様
グループリーダーとしての役割認識を深め、意識変容から行動変容へとつなげることです。昨今の人手不足や現場の多忙化により、管理職を取り巻く環境は大きく変化しています。その結果、本来果たすべき部下の育成などに十分な時間を割きにくい状況が見られました。日々の業務に忙殺されるのではなく、グループリーダーとしての役割を再認識してもらいたいと考えていました。

管理職の役割を見つめ直し、本来の「役割認識」を促す

——シニアマネジャーなどの上位層がいる中で、初年度の対象者をファーストラインマネジャーに設定したのはどのような狙いがあったのでしょう?

小杉様
本来であれば、上位層から段階的に展開していく方法も考えられました。

しかし今回は、これまでグループリーダー層に対して体系的な育成機会を十分に提供できていなかったことから、まずは、この層を優先することにしたのです。

——360度フィードバックは、時に厳しい声を受け止めなければならないため「刺激的な施策」とも言えます。実施にあたって、対象者から不安視する声はありませんでしたか?

小杉様
基本的に大きな抵抗や反発はなかったと認識しています。上位層の会議体から各事業部門のトップへ、順を追って丁寧に説明を重ねてきたことが功を奏したのだと思います。
むしろ現場からは「なぜこれまで360度フィードバックをやってこなかったのか」という声もありました。特に回答者から肯定的な反応を得られたことは、事務局としても心強かったです。

——運営事務局として注力した点を教えてください。

小杉様
初めての取り組みでしたので、HRBP(各事業部門を担当する人事)との連携を特に重視しました。人事部の企画意図を正確に伝えてもらうため、HRBPが集まる会議体で施策の目的や運用方法を丁寧に説明し、必要に応じて個別相談も行いました。
各事業部門にはそれぞれ異なる事情があります。そのため、現場の状況を理解しているHRBPを通じて施策を浸透させることで、対象者の理解や納得感を高められたと思います。その結果、大きな反発や混乱なく導入を進めることができました。

成長に向けた最初の「ひと漕ぎ」ができた手応え

——360度フィードバックを実施して得られたもの、手応えのほどをお聞かせください。

小杉様
例えるなら、自転車を前に進める最初の「ひと漕ぎ」ができたことが最大の手応えです。平地で自転車を動かし始めるときが最も力を要しますが、一度動き出せば継続して前に進むことができます。

アンケートでも「自分の行動を客観的に捉えることができた」という声が多く、これまでにない気づきの機会を提供できたと感じています。

——反対に、振り返ってみて「こうすればよかった」という反省点はありますか?

小杉様
一点目は、コンサルタントの菊地さんにもご協力いただいた研修の進め方です。その場で課題に取り組むのではなく、あらかじめ趣旨を説明し、事前課題として考えを整理してもらった上で当日を迎える形の方がよかったと感じています。
というのも、当社には、じっくり考えてから言語化するタイプの人が多いからです。限られた時間の中で考えをまとめたり言葉にしたりすることを苦手とする社員も少なくありません。そのため、研修中にアウトプットを求めると、十分に考えを深められないケースもありました。

次回は事前に考える時間を確保した上で、当日はより深い対話やディスカッションに時間を使えるような形に改善したいと考えています。

——確かに熟考される方が多い印象でした。振り返りの二点目は何でしょう?

小杉様
二点目は、案内やコミュニケーションの進め方です。初回は対象者と回答者への案内を同時に発信したため、一部で混乱が生じました。特に、回答者に選ばれた社員に対して事前の説明が十分ではなかった点は反省しています。
事業部門によっては事前に周知が行われていましたが、そうでない場合は事務局からの案内メールで初めて知ることになり、戸惑いを感じた方もいたと思います。
次回は対象者と回答者への案内を整理するとともに、それぞれに事前説明の機会を設けることで、現場の混乱や戸惑いを最小限に抑えたいと考えています。

360度フィードバックは自律的な成長を促す「健康診断」

——最後に、導入を検討されている企業へメッセージをお願いします。

小杉様
360度フィードバックは、自分自身の現状を知る「健康診断」のようなものです。数値を通じて、自身の強みや課題を客観的に把握できることで、どこを改善し、どこを伸ばしていくべきかが見えてきます。

特に管理職層の育成や役割認識の向上を課題としている企業にとっては、有効な成長支援の手法だと思います。「評価」のためではなく、あくまで「育成」を目的として活用することで、一人ひとりの成長を促し、組織全体の成長にもつながっていくのではないでしょうか。

——初めての施策を現場へ浸透させるうえで、丁寧な周知とHRBPとの連携が重要であることが伝わるお話でした。今後も研修形式やデータの活用など、さらなるご提案・支援をさせていただければと思います。ありがとうございました。

インタビュアー

菊地 優作 コンサルティンググループ コンサルタント
オクラホマシティ大学大学院修了後、日系、英国系の人材育成と組織開発の会社にてマネジャーとして勤務。事前のコンサルティングからワークショップの実施、事後の報告、そして今後に向けたご提案までお客様と伴走する。

 

日本板硝子株式会社
事業内容:建築用ガラス事業/自動車用ガラス事業/クリエイティブ・テクノロジー事業
設立:1918年
従業員数:連結 約24,800人/単体 約1,800人(2026年3月31日現在)

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