導入事例

株式会社大岩マシナリー様

管理職が変わるきっかけをつくる。360度フィードバックを根づかせるために必要なこと

株式会社大岩マシナリー

右:総務人事部 部長  稲垣 忍 様
左:総務人事課 関口 勉 様
※360度フィードバック実施時点の所属を記載しています。

  • 管理職育成

株式会社大岩マシナリー様は、空調冷熱のエンジニアリング機能をもった商社です。1946年の創立以来、快適でクリーンな環境創造を目指し、空調、冷熱、風水力、環境に関する分野の技術で数多くの社会インフラを支えてきました。現在は東京の本社を含む16拠点において、200名以上の従業員が在籍しています。2024年度から管理職の育成と組織の現状把握を目的に360度フィードバックを導入されました。初年度の取り組みを振り返りながら、工夫された点や、意識された点を語っていただきました。

管理職の現在地を「部下の視点」から見直す

——360度フィードバックを導入された背景をお聞かせください。

関口様:
社内で「そろそろ管理職研修を行わなければ」という話があったものの、研修自体を長らく実施していなかったため、管理職の強みや弱みが分からず、そもそもどんな研修を組み立てればいいのか見えていなかった状態でした。そんなとき、役員から360度フィードバックというものがあると教えてもらい、検討することにしたのです。

稲垣様:
さかのぼると、もともとの始まりは人事評価制度を改定する際の資料に書かれていた「管理職の適性検査の実施」という一文でした。適性検査について明記されていたものの、「いつ、どのように実施するのか?」という部分が決まっていない状況でした。そこで改めてどう進めるか考えたときに、何年も管理職を務めている社員に対して、管理職になったばかりの人と同じような適性検査をしてもあまり意味がないのではないかという結論に至りました。ではそういった管理職の現状をどう把握すべきか考えた時に、普段なかなか見えない現場での管理職の立ち位置や、これまで評価してこなかった「部下からの見え方」という視点を取り入れることにしました。そこで「部下からの見え方」を360度フィードバックという形で可視化してみよう、という流れになりました。これまで上司が部下を評価する仕組みはありましたが、逆の視点は初めてだったので、私たちにとってはチャレンジでした。

——皆さんが「管理職研修を行わなければ」と思われた理由は何ですか?

稲垣様:
過去に外部の管理職研修を3年ほど実施したのですが、その場では「いい勉強になった」という声はあっても、翌週には元通りになってしまうことが多く、研修の内容がなかなか現場に定着しないという課題がありました。レベルの高い研修だったのですが、その内容が定着するだけの土台がまだ我々にはないのかもしれないという話になり、一旦外部の研修をやめて、社内での研修を6〜7年ほど実施したのです。この間に土台づくりができてきたなと感じ、いよいよ外部での管理職研修を導入しよう、という話になりました。ただ、空白期間があるため、まずは現状をしっかり把握するところから始めることにした、という経緯です。

——その中で弊社のCBASE 360°を選んでくださったのはなぜですか?

稲垣様:
360度フィードバックに特化している会社だと知ったからです。単にサービスの一部として提供しているのではなく、専門で取り組まれている点に信頼感を持ちました。実際に新宿まで訪問してお話を伺ったことで、アンケートを取って終わりではなく、その結果を分析して課題を整理した上で、さらにその後の研修までしっかり伴走してもらえることが分かり、大きな安心につながりました。Web上の情報だけでは分からない部分も多かったですが、直接お会いして説明を受け、「ここなら一緒に進められる」と確信できたのが、CBASEさんを選んだ大きな理由です。また、我々のような中小企業では360度フィードバックを実施した後に、自社で結果を分析するのが難しいケースが多いです。CBASE 360はフィードバックレポートが自動で生成されるので、各社員の傾向が一目で把握できる点が非常に魅力的でした。分析の負担が軽減されるだけでなく、次のアクションにもつなげやすくなったと感じています。

——初年度の手応えはいかがですか?

関口様:
やってみて感じたのは、「もう少し盛り上げられたのではないか」ということです。初めての取り組みだったこともあり、社員を巻き込むための工夫や、盛り上げ方のアイデアなどをもっと相談しながら進められたら良かったと感じています。後から社員の声として、「コメントの内容で個人が特定されるのではないかと不安だった」という話が出てきました。特に小規模な営業所では、普段から会話するメンバーが限られているため、「これは自分が書いたと思われてしまうのではないか」と感じた方が多かったようです。実際にそうした不安を抱えたまま参加していた社員がいたことを後から知り、不安を払拭するための働きかけがもっと必要だったと感じました。

——管理職の皆さんの変化や、フィードバックの効果は感じられましたか?

関口様:
フィードバック後の研修では、全国から集まった管理職がグループワークで非常に活発に、そして楽しそうに議論する姿が見られました 。普段は落ち着いた印象の人が、思いのほか熱意をもって話していることに驚きと喜びを感じましたね。やはりこうした機会は必要だと実感しました。

稲垣様:
研修の場でフィードバックの結果を伝えたことも、私たちの風土には合っていたと感じました。事前に結果を見ていたら、研修当日は違う気持ちだったかもしれません。研修の場で、そして同じ立場の仲間が大勢いる中で結果と向き合ったことで、落ち着いていられたのだと思います。

——皆さんがこだわられた点ですよね。フィードバック後の研修で印象に残っていることはありますか?

稲垣様:
研修の中で使われた「子供が人を突き飛ばしているように見えるが、実際は上からバケツが落ちてくるのを避けさせようとしている」という例え話が印象的でした。視点が違えば、同じ行動でも全く違った評価になってしまうということを、非常に分かりやすく伝える場面だったと思います。管理職の皆さんも「自分はこんなに頑張っているのになぜ部下に伝わらないのか」と感じていた部分があったと思いますが、この例えを通じて「相手から見える景色や視野が違えば捉え方も変わるということに気づいてもらえたのではないでしょうか。フィードバック結果が思っていたものと違った方も、自分の意図が伝わっていなかったのかもしれない、相手の視点を意識することの大切さに気づくきっかけになったと思います。伝えることの重要性と、相手の目線で考える大切さを改めて実感するきっかけになったのではないでしょうか。

——各人が「見えている景色の違い」に気づくことは、まさに360度フィードバックの本質です。実感していただけて私たちも嬉しく思います。

行動につなげられるよう会社としてサポートする

——初年度を終えて、今後どのように360度フィードバックを活用・応用していきたいと思われましたか?

稲垣様:
管理職の次のアクションにつなげたいと考えています。職場で360度フィードバックの話題はあまり出ないのが実情です。センシティブな内容なので、評価した側とされた側とで直接的な会話をするのが難しいのだと思います。

そうすると、部下の評価が届いたかどうかは管理職の「行動」で示すしかありません。評価を受けた側が行動で変化を見せない限り、部下からは「何も変わっていない」と思われてしまうので、行動の変化が見られなければ次年度はさらに評価が下がる可能性もあると考えています。今期の個人目標を立てる中で、360度フィードバックで気づいたことを目標に盛り込んでくださいという話はしています。フィードバックを受けた管理職が、気づきを年間の個人目標に落とし込み、上長と相談しながら行動を変えていけるようにしたい。ただ、個人目標だけでは忙しくて取り組めずに終わってしまうこともあるでしょう。ですので、特に傾向が突出している点や、共通する課題や強みについては、研修という形で会社として取り組んでいきたいと思っています。

関口様:
360度フィードバックが当たり前に行われる会社になってほしいと思います。繰り返し実施することで、忖度なくフィードバックができるようになるはずです。同じことを同じように繰り返しても形骸化してしまうので、そのあたりはアイデアを出しながら、工夫して継続する必要があるとは思います。いずれにしても、続けていくことできっと今よりも風通しの良い会社になると期待しています。

知識と視点の提供が合わさった施策

——360度フィードバックの導入を検討されている皆さんにメッセージをお願いします。

関口様:
座学の研修だけでは得られない効果があります。知識を与えるだけでなく、周囲からどう見られているかという「視点」を与えることが、特に経験を積んだ人々にとっては変化のきっかけになると感じました。経験値のある管理職のほうが、「変わらなければ」「行動を変えなければ」と思えるようです。知識と気づきが合わさった良い施策だと思います。

稲垣様:
360度フィードバックは、人事評価とは切り離して、社員の気づきと成長を目的に実施するのがおすすめです。実際、我々は評価に反映していません。人事評価と絡めたくなる気持ちはとても理解できるのですが、そこを切り離すことが重要だというのが初年度の経験から言えるアドバイスですね。

——「視点の違い」に気づくという、360度フィードバックの本質に触れていただきました。フィードバックする側の心理的安全性の確保や、管理職の皆様が気づきを行動に変えていく過程を、引き続きご支援できればと思います。ありがとうございました。

インタビュアー

長光 将志 コンサルティンググループ コンサルタント
首都大学東京都市教養学部卒業後、大手ホテル運営会社、オーダーメイド型研修会社でのコンサルティング営業経験を経て、シーベースに参画。
現在は360度フィードバック施策に特化したコンサルタントとして、説明会・読み解き会・課題別研修を提供。
1社1社の想い・らしさを大切にしたアプローチで人材開発・組織開発の支援を行なっている。

株式会社大岩マシナリー
事業内容:空調・給排水・冷熱機器の多種建築設備機器、産業設備機器、環境設備機器の販売、製造・設計・施工管理・保守のトータルエンジニアリング
設立: 1948年2月
従業員数:239名(2025年4月現在)

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