導入事例

一般社団法人 Q-ACT様

「心理的安全性が高まり、言葉が変わった」
360度フィードバックを通じて
改めて得られた気づき

一般社団法人 Q-ACT

一般社団法人 Q-ACT 代表理事 鷹子様(中央)・吉田様(左)・白石様(右)

  • 心理的安全性
  • 風土改革

一般社団法人 Q-ACT(キューアクト)様は、看護師、作業療法士、精神保健福祉士によるチームが24時間体制で訪問支援を提供する、福岡県初のACT(アクト)チームです。ACTとは「Assertiv Community Treatment」の頭文字をとったもので、障害をもつ人々が住み慣れた場所で安心して暮らしていけるよう支援するプログラムのこと。日本では「包括型地域生活支援プログラム」と呼ばれています。

2022年に360度フィードバックを導入していただき、迎えた2年目。初年度に感じた難しさや、そこから得た気づき、導入して感じたチームの変化について語っていただきました。

「対話」する風土をつくるために

360度フィードバックを導入した背景には、どのような課題があったのでしょうか。

鷹子様:Q-ACTでは、立ち上げ当初からフラットな組織を目指してきました。理由としては、上下関係や地位の序列があると、どんな組織であっても率直な意見が出にくくなるからです。

フラットな組織運営を意識してきたとはいえ、立ち上げから10年以上が経過する中で、どうしても階層というか、ヒエラルキーが生まれてしまうことはあって。ただ、会話の頂点に立つ人だけが悪いわけではなくて、下の立場になった人たちも思っていることを言わなかったり、感じていることを表に出さなかったりするんですね。組織の中の階層というのは、どちらか一方に原因があるのではなく、お互いの姿勢が作用し合ってつくられていくものなんだな、という実感がありました。

そのような中で、上が下を評価するのではなく、全員が対等にフィードバックし合うという360度フィードバックの仕組みは、私たちの目指す組織のあり方に直結したものでした。

白石様:雇う側・雇われる側という立場があると、どうしても上下構造ができてしまいますよね。だからこそQ-ACTでは、評価する・されるという関係をつくらずにここまでやってきたわけなのですが、現実的に給与のベースアップを考えたりする際、話し合う材料がないことに困っていました。

そこで自分たちなりの評価基準をつくろうと議論を進めていた中で、360度フィードバックを活用することにした、という経緯があります。まずは「対話」をする風土づくりに取り組んでいるところです。

鷹子様:2022年は、ちょうど組織全体でこれからの目指す姿について話し合いをしていた年でした。その中で出てきたのが「成長」と「進化」という二つのキーワードでした。職員全員が自分たちの「成長」と「進化」を真剣に考えていたタイミングだったので、360度フィードバックの仕組みをうまく連動させて取り入れることができました。

2年目の360度フィードバック施策実施に向けて

導入後、施策を運用していく中で大変だったことはありますか?

吉田様:最初はどうしても進め方や手順にとらわれてしまって、難しさを感じることがありました。360度フィードバックを取り入れるのが初めてだったので、探り探り進めている感じでしたね。ただ、1年目に導入してみて分かったことを2年目に活かすことができるので、次はさらにいい状態になるのでは、と期待しています。

ー初年度は組織に360度フィードバックを馴染ませていく難しさがあったのですね。

鷹子様:探り探りではありましたが、その中でも工夫して良かったことが一つありました。Q-ACTでは現在、福岡市、北九州市、久留米市、八幡地域の4チームが活動しているのですが、ファシリテーターには必ず別チームのメンバーを迎えることにしたのです。そうすることで、ファシリテーションの力により対話がスムーズに進み、チーム間での交流も生まれました。

ーファシリテーターを務めた方は、チーム間の連携や交流についてどのような気づきがありましたか?

吉田様:一番の発見は、チームが違っても組織として見ている方向は同じなんだ、と感じられたことですね。チームの垣根を越えて、法人全体で理念を共有できていると分かったことは、大きな気づきでした。

オリジナルの設問がもたらす効果

Q-ACT様は、すべての設問を自分たちで作成されました。オリジナルの設問を運用して良かった点を教えてください。

鷹子様:自分たちの活動に落とし込みやすい設問項目にできたことは、とても良かったと思います。「職業人としての成長」「ケースマネージャーとしての成長」「Q-ACTモデルの実践」という三つの大項目を作ったことで、私たちが取り組んでいるACT(アクト)という障害を抱えている人たちを地域で支えるプログラムに必要な知識や技術をチェックできたり、理念に対する理解や体現を評価したりしやすくなりました。

白石様:オリジナルの設問にしたことで、自然とチームが目指す未来像とつなげることができました。例えば、事業計画を「みんなでつくろう」とは言いつつも、どうしてもチームリーダーだったり、長くいるスタッフが中心になっているところがありましたから。360度フィードバックを取り入れたことで、仕組みとして全員でしっかり話し合うことができたのは良かったですね。

心理的安全性が高まり、言葉が変わった

360度フィードバックの導入後、組織的な変化はありましたか?

白石様:職場で使う言葉が変わった気がします。具体的には、自分の「伸び代」について発言するスタッフが増えました。自分の苦手なことや至らない部分を表に出してもいいんだ、と思えたからだと思います。

使う言葉が変わるというのは大きな変化ですね。

鷹子様:そうですね。相手のためになるとはいえ、面と向かってフィードバックをするのは難しいものです。360度フィードバックで「構造的に」取り組むことで、「これを言っても大丈夫なんだ」「否定されないんだ」と、心理的安全性をつくることができました。この仕組みがなくなっても、日々360度フィードバックをし合えるチームになることが理想ですね。

吉田様:お互いの「強み」と「伸び代(改善点)」をフィードバックすることが、相手の成長のために自分は何ができるのか、どんなことを手伝えるのか、と考えるきっかけになってよかったです。スタッフが自分自身の「伸び代」をチーム内で共有し合う時間をもっと増やせれば、さらに心理的安全性が高まると思います。

社内の対話は、ステークホルダーにも伝播する

360度フィードバックの導入を検討されている皆さんに、ぜひアドバイスをいただけますか。

白石様:360度フィードバックを導入することでチーム全員の意識が変わり、自分たちの事業に対する理解がどんどん深まっていきました。「なぜ360度フィードバックを導入するのか」「何のために行っているのか」、メンバー全員に目的をきちんと理解してもらうことが重要だったと感じています。

吉田様:360度フィードバックは、必然的に「対話」を生み出します。組織内の対話をもっと増やしたいと思っている方々には、導入することで確実に、かつ構造的に対話が生まれるものですよ、とお伝えしたいです。

鷹子様:最近気づいたのですが、日常的にスタッフ同士が対話できていると、利用者さんとも自然と対話ができるんです。反対に、スタッフ同士が管理し合っていると、利用者さんに対しても管理しようとしてしまう。組織の中で対話ができると、事業にも、ひいては家庭や友人関係にも良い影響があるようです。

CBASEの皆さんが私たちの理念や大切にしている考えを本当に深いところまで理解してくださったので、360度フィードバックの成果を実感することができました。本当に感謝しています。

こちらこそ改めて感謝申し上げます。また、本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。


インタビュアー

長光 将志 コンサルティンググループ コンサルタント
首都大学東京都市教養学部卒業後、大手ホテル運営会社、オーダーメイド型研修会社でのコンサルティング営業経験を経て、シーベースに参画。
現在は360度フィードバック施策に特化したコンサルタントとして、説明会・読み解き会・課題別研修を提供。
1社1社の想い・らしさを大切にしたアプローチで人材開発・組織開発の支援を行なっている。

一般社団法人 Q-ACT
事業内容:福岡県で初となるACT(重度精神障がい者への包括型地域生活支援プログラム)を提供する一般社団法人。精神疾患と障がいを若くして背負い、地域や医療からも孤立している方々に向けて、看護師、作業療法士、精神保健福祉士、就労支援の専門家 による多職種チームによる訪問支援を行なう。福岡市、北九州市、久留米市、八幡地域の4チームが活動中。

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