導入事例

SOMPOホールディングス株式会社様

パーパス経営の実現とマネジメント変革のために360度フィードバックを導入。

SOMPOホールディングス株式会社

右:人事部 西原 隆介 様
左:人事部 井上 美樹 様

  • パーパス経営の実現
  • 風土改革

SOMPOホールディングス株式会社様は、損害保険ジャパンをはじめとするSOMPOグループの持株会社です。2021年に打ち出したパーパス経営の実現のために、旧来型のマネジメントスタイルから脱却することを目的として360度フィードバックを導入されました。対象は役員、部長、課長層の約100名。パーパス経営の実現のために、どのような工夫をされたのか。そして、マネジメント層を対象にフィードバックを行う上で重要なフォローとは何だったのか。2回のフィードバック実施を経て感じたポイントをお聞きしました。

マネジメント変革による組織風土の変化を期待

——360度フィードバックを導入された背景をお聞かせください。

西原様:
弊社が2021年に打ち出したパーパス経営の実現とその実現に向けたマネジメント変革による組織風土の変化を目的としています。社内では社員一人ひとりの価値観を「MYパーパス」と呼び、会社のパーパス同様に尊重し、会社と個人のパーパス、それぞれが歩み寄ることで互いのパーパスが実現されることを目指しています。この二つをつなぐためのカギとなる存在がマネージャーであり、今後は人材の多様化により様々な価値観に寄り添ってチームを運営することなど、これまで以上にマネージャーに求められる役割や期待値は変化してくる環境であると捉えています。その上で自身のマネジメントスタイルの特徴や傾向に関する「気づきの機会」を提供することでマネージャー自身の行動が改善され、その結果として組織風土が変化していくことを期待しているものです。

——さまざまな施策の中から360度フィードバックを選んだのはなぜですか?

西原様:
グループ会社で広く展開されているのは、上司を部下が評価する仕組みで、グループでは「多面観察」と呼んでいます。多面と言いながらも、基本的には縦(下から上へ)のフィードバックです。これはこれで一定の効果を発揮してはいるのですが、やはりマネジメント層に広く気づきの機会を提供するには360度フィードバックが望ましいという結論になりました。

回答者の目線を揃えるため、事前説明に注力した

——360度フィードバックを初めて実施するにあたって、どのような点に留意されましたか?

西原様:
これまでになかった取組みになるので、できるだけ丁寧なコミュニケーションを取るように心掛けました。説明会を複数回にわたって実施し、背景や目的を伝えることはもちろん、回答のポイントなどを説明することで回答者の姿勢や目線を一定に揃えることを意識しました。事前の説明が足りないと、回答する人によってフィードバックの結果に差が出てしまうのではないかと考えたからです。評価がとても甘い人、厳しい人、フィードバックに適さない表現を使ってしまう人など、目線が揃っていないと適切なフィードバックにならないのではないかなと。

——SOMPOホールディングス様は2023年度に360度フィードバックを導入され、2年連続で実施されました。初年度から変えたことや工夫したことはありますか?

2年目はフィードバックシートの内容をどのように読み解けばいいのか、という点に踏み込みました。まさに菊地さんにご支援いただいたところです。

フィードバックの読み解き会では、部署を超えてマネージャー同士で悩みや課題を共有し、共にソリューションを考えるセッションを行いました。これがとても良かったと感じています。マネージャーの中には自分だけがこのような結果なのではないか、うまく対応するにはどうしたらいいのか、と結果を一人で消化しきれず抱え込んでしまうようなケースもあるのではないかと思っています。他のマネージャーと対話することで、実はみんな同じような悩みを抱えているのだと知ることができ、理解や納得の度合いが深まったように思いました。

2年目はマネジメント層の行動変容につなげたい

——2年目に実施したフォローアップ研修の手応えはいかがでしたか?

西原様:
研修の反応は良かったです。先ほどの読み解き会にも通ずるのですが、マネージャー同士で対話する時間を取れたことが一番大きな要因だったと思っています。業務上、他部署との接点はあるのですが、マネジメントの疑問や悩みを打ち明けられる機会はなかったですし、私たちも企画できていなかったので、アンケート結果を見てもこうした交流の場が必要だったことがよく分かりました。

一人でフィードバックの結果を眺めると、悲観的に受け取ってしまったり、マイナスな点ばかり見てしまったりすることもあると思います。それが菊地さんから客観的な説明を受けることで、スコアを正しく読み解くための視点がしっかりインプットされたのではないでしょうか。「ジョハリの窓」のように、自分だけが気づいていない領域はどこなのか、自分も周囲も認識できている強みはどこなのか、この研修で明らかになったと思います。

——2年連続で実施してみて、社内の変化・効果は感じられましたか?また、効果測定はどのように行っていますか?

西原様:
実は定量的な結果は1年後くらいに出てきたらいいなと考えていまして、今はまだはっきり申し上げることができません。今後は、効果測定の方法の一つとして、フィードバックを受けたマネジメント層に行動変容が起きたか否かを追いかけています。360度フィードバック導入初年度、「マネジメント層に行動変容がありましたか?」というアンケートを取ったのですが、およそ7割が「(行動変容が)ほぼなかった」と「変化なし」との回答でした。つまり、初年度は気づきはあったものの行動改善までにはつながらなかったのです。

そこで2年目には、フォローアッププログラムを設けるなどしてアクションプランにまで落とし込んでもらいました。それを受けて、半年から1年後くらいにもう一度同じアンケートを取る予定です。その時点で変化が見られれば、今回のフィードバックおよびフォローアップの成果である、と言えるのではないかと思っています。

——定量的な成果が見えてくるのはこれからとのことですが、事務局の皆さんの体感としてはいかがでしょう?

西原様:
個々のフィードバック結果自体は、毎年大きく変わることはないと思っています。むしろ、定期的に自身のマネジメントを振り返る、健康診断のような役割を期待しています。シーベースの皆さんの協力なしでは難しい部分もありますが、フォローアップ研修のような振り返りのプログラムは、人事部があれこれ言うよりも効果があるように思いますね。

対象者にとって刺激のある施策だからこそ、導入時のコミュニケーションを丁寧に

——最後に、360度フィードバックの導入を検討されている皆さんにぜひアドバイスをお願いします。

西原様:
この施策はフィードバックを受け取るマネージャー、一般社員の双方になかなか刺激のある施策だと考えます。だからこそ、導入時のコミュニケーションに意識的に力を注ぐことが重要です。導入目的や狙いを誤解のないように伝えること。施策の入り口でコミュニケーションが不十分だと、マネージャー自身が「自分たちが傷つけられる施策なんじゃないか?」など疑念を残したまま開始したり、回答者側も「何をフィードバックすればいいのか、わからない」ままで、きちんとフィードバックが回収されなくなる恐れもあります。

もしまだ検討段階でしたら、施策を導入する目的や狙いを全従業員に届けるための準備をしっかりすると、良い施策になるはずです。どの会社でもマネージャーは役割・タスクが増えて大変だと思いますが、これからもマネージャー層が組織を支える重要性は増す一方なので、こうした取り組みは重要だと思います。

——近年パーパス経営に取り組んでいる企業は多いので、御社の取り組みや視点はとても参考になると思います。本日は貴重なお話をありがとうございました。

インタビュアー

菊地 優作 コンサルティンググループ コンサルタント
オクラホマシティ大学大学院終了後、日系、英国系の人材育成と組織開発の会社にてマネジャーとして勤務。事前のコンサルティングからワークショップの実施、事後の報告そして今後に向けたご提案までお客様と伴走する。

 

 

SOMPOホールディングス株式会社
事業内容:
(1)損害保険会社、生命保険会社その他の保険業法の規定により子会社等とした会社の経営管理
(2)その他前号の業務に附帯する業務
(3)前2号に掲げる業務のほか、保険業法の規定により保険持株会社が営むことのできる業務
設立:2010年(平成22年)4月1日
従業員数:537名 (2024年3月31日現在)

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