導入事例
SOMPOヘルスサポート株式会社様
質の高いフィードバックを通して、
上司が伴走しながら取り組む管理職育成

SOMPOヘルスサポート株式会社
左:執行役員 兼)総合管理部長 島田 裕美子 様
右:総合管理部 課長代理 酒井 美里 様
- 管理職育成
SOMPOヘルスサポート株式会社様は、生活習慣病予防事業とメンタルヘルス事業を軸とし、予防から再発防止までの総合的なヘルスケアサービスを提供する企業です。これまで実施していた管理職向けの多面評価をより目的に沿った運用とするため、360度フィードバックに切り替えました。初めてフリーコメントを活用するにあたって注力されたことや、実施して分かった運用上の課題についてお話を伺いました。
スコアだけでは行動変容につなげるのは難しい
——360度フィードバックを導入された背景をお聞かせください。
島田様:
当社ではもともと管理職の行動変革を目的とした多面評価を、年に一度の頻度で実施していました。評価の結果はスコアで開示するのみで、そのスコアを基にしたフィードバックや結果の活用にまでは至っていませんでした。
つまり、多面評価は実施しているものの、本来の目的に沿った活用・運用ができていないという課題があったのです。この課題を解消するために、フリーコメントの機能がついている360度フィードバックを導入することにしました。
——さまざまなサービスがある中で、弊社のCBASE 360°を知っていただいたのはどのようなきっかけからですか?
島田様:
グループの持株会社であるSOMPOホールディングスでは既にCBASE 360°を実施していたので、そこから360度サーベイの話を聞きました。具体的には、2024年に代表取締役社長に就任した加納は直前までホールディングスに出向しており、そこでシーベースさんの360度フィードバックを経験していました。例年の多面評価を実施する時期になった際、加納の方からフリーコメント機能のある360度フィードバックがこれまでの多面評価より管理職の気づきや納得感に繋がるのではないか、とアドバイスをもらい、切り替えることにしました。
回答者の不安を払拭するためにリマインドメールも徹底
——それまで実施されていた多面評価からCBASE 360°に切り替えるにあたり、工夫した点や気をつけた点があれば教えてください。
酒井様:
フリーコメントが追加されたことにより、回答者が「自分が書いたコメントだと相手が気づくのではないか」と不安に感じるだろうと思いました。入力者の特定を避けようとするあまり、忖度した回答ばかりになってしまうと正しい結果が得られません。ですので、御社のコンサルタントの方から事前説明会でフリーコメント記載時の注意点を案内していただくなどサポートしていただき、回答者が安心してフィードバックに臨めるよう準備しました。
——社員の皆さんに安心して回答していただくために、説明会以外で実施されたことはありますか?
酒井様:
回答依頼メールやリマインドメールなど、あらゆる場で「個人が特定されない仕組みである」ことを繰り返し伝えるようにしました。ただ、実施後のアンケートでは「正直に回答できなかった」という人も数パーセントはいたようです。この点については次年度も引き続き伝えていく必要があると思っています。
——リマインドメールにまで毎回記載するというのは徹底されていますね。
閲覧のしやすさが部下のマネジメントフォローに役立った
——CBASE 360°の使いやすかった点や、反対に「もっとこうしてほしい」というご要望はありますか?
酒井様:
設定がとても分かりやすかったです。さらに登録した情報をCSVで書き出すことができるので、回答者を紐付けた後、複数の目でチェックをする際に役立ちました。
島田様:
回答者の設定は、杓子定規な対応ではうまくいかない場合がありますよね。組織体制や日頃の関係性などさまざまなことが関係しているので、まずは機械的に紐付けをした後、複数の目でチェックをし、実態に伴った設定を行いました。実態に合わせ柔軟に修正ができるのは使いやすい点かと思います。
酒井様:
結果のレポートを画面上で閲覧できるのも良い点だと感じました。従来の仕組みであれば、各自でファイルを受け取って、それを上司に共有します。部下が多い管理職は一つ一つファイルを開いて確認することになるので、確認が漏れてしまうこともあるでしょう。それが画面上でまとめて閲覧できるようになったことで、部長職は自分のレポートを確認するタイミングで管下課長職の結果も見ることができて、閲覧の機会が増えたと思います。
——レポートの閲覧のしやすさが、部下のマネジメントにつながった事例も既にあるのでしょうか?
酒井様:
はい。管下課長職のレポートを見て「このコメントを受け止めるのは少し大変かもしれない」と感じたのでフォローをした、という部長職の社員がいました。管下課長職の結果にもきちんと注目して、マネジメントに役立ててくれています。
——自身のマネジメントだけでなく、部下のマネジメントにまで視野を広げてフォローができるのは素晴らしいですね。
フリーコメントがコミュニケーション機会を創出した
——360度フィードバックの効果は感じられましたか?
島田様:
大きく二つの効果を実感することができました。一つは、管理職の行動変革につながったことです。今回初めてフリーコメントのフィードバックを実施したことで、正直、きつい言葉でコメントを書かれショックを受けた人はいました。ただ、事前に説明会等で伝えていたこともあり、コメントは自分の成長に繋がるものなんだと理解し、前向きに捉えている管理職が多かったと感じています。人によるとは思いますが、フィードバックを何かしら行動改善に反映しようとする反応はありましたので、本来の目的である管理職の行動変革には効果があった、と捉えています。
もう一つは、フィードバックによってメンバーとのコミュニケーションの機会を創出できたことです。日頃思っていることや、サーベイのスコアをどんな意図でつけているのかなど、やりとりする機会はなかなかありません。それがサーベイ後のフィードバックを必須として運用したことで、単なる数値ではなく、メンバーの想いや管理職の考えなどを伝える双方向のコミュニケーション機会になったのは非常に良かった点だと思っています。
——難しかったことや、次年度への課題となることは何かありましたか?
島田様:
フリーコメントの効果を正しく引き出すためには、回答する側に対するサーベイ実施の目的やフリーコメントする際の姿勢やリテラシーを揃えておく必要があると思いました。事前に「何の目的で行うのか」「どういうことを期待しているのか」を丁寧に説明し、回答者一人一人が目的と役割を理解した上で実施しないとそれなりの効果になってしまいます。次年度の実施の際、工夫したいところですね。
フィードバック後の「対話」が重要
——最後に、360度フィードバックの導入を検討されている皆さんにぜひアドバイスをお願いします。
酒井様:
数値だけのフィードバックではなく、フリーコメントによって回答者の真意が汲み取りやすくなる360度フィードバックは、管理職個人の成長にも、組織全体の成長にも、非常に欠かせないものだと思いました。私自身も担当者として回答してみて、上司への感謝の気持ちや尊敬している点を改めてじっくり考えることができる良い機会だなと感じました
重要なのは、結果をきっかけとした「対話」です。フィードバック実施後、管理職は行動アップデートシートを作成して、まずは回答者に感謝を示します。こうした実施後のアクションまで考えられた運用になっている点にとても助けられました。
島田様:
繰り返しになりますが、事前に回答者の認識を合わせることが大切だと思います。そのためにはきちんと伝えることです。なぜ会社が360度フィードバックを実施するのか。本気で風通しの良い職場をつくろうとしているからだと、一人でも多くの社員に理解してもらえるかどうかで効果は変わってくると思います。
——フリーコメントの導入が、本来の目的であった管理職の行動変革につながったのは素晴らしいですよね。社内の変化含め、率直なお話をお聞かせいただきありがとうございました。
インタビュアー
大西優太朗 営業グループ チームリーダー
香川大学農学部卒業後、名古屋大学大学院進学。大手広告・メディア会社での企画業経験を経て、シーベースに参画。
現在は人材開発や組織開発を起点とした360度フィードバック施策の企画営業リーダーとして、組織マネジメントやお客様の施策導入と成功に向けて伴走支援を行う。

- SOMPOヘルスサポート株式会社
- 事業内容:生活習慣病予防事業/メンタルヘルス事業
設立:2018年(平成30年)10月1日
従業員数:301名(2024年3月31日時点)