導入事例
大豊工業株式会社様
360度フィードバックはありのままを見つめる「鏡」。自ら成長できるリーダーを通して変化に強い組織をつくる。
大豊工業株式会社
左 :総務人事部 主幹 黒木 寿季様
中央:総務人事部 部長 井手 慶大様
右 :総務人事部 人材開発室 室長 鎌田 希志人様
- 管理職の育成
- 組織活性化
1944年設立の大豊工業株式会社様は、国内大手自動車部品メーカーです。
特に「トライボロジー(摩擦・摩耗・潤滑の技術)」をコア技術としており、自動車エンジンや電動化製品に使われる高精度部品の開発・製造を行っています。
2025年に管理職を対象としたリーダー育成の再構築に着手され、360度フィードバックを導入されました。全社員が回答者となりフィードバックをしたことで、社内にはどのような変化が起きたのでしょうか。
「人・仕組み・風土」の3本軸で事業戦略を達成する
——360度フィードバックを導入された背景をお聞かせください。
黒木様:
発端は2025年1月、社長から「マネジメント教育を根本から見直すように」と指示があったことです。当社では2019年頃からOJTを中心とした教育を整備してきましたが、数年経っても内容が刷新されず、組織風土もなかなか変わらないという停滞感がありました。
背景には、上司が部下の成長を支援しきれていないという深刻な課題がありました。また部下が意見を言っても上司に伝わらないという風土も定着しており、ミスコミュニケーションが常態化していたのです。
鎌田様:
これまでのマネジメントは「指示や答えを与える」ことが中心でしたが、今後は「相手から答えを引き出す」コーチングや、部下の「心」に寄り添う姿勢が不可欠だと考えました。実務を通じた訓練(OJT)だけでなく、能力開発(OJD)の視点を取り入れ、マネジメント概念を一掃するための手段として導入を決めました。
——今回の施策は、貴社の経営や事業戦略とどのように結びついているのでしょうか。
黒木様:
マネジメント教育を通じて、各所属長が「人・仕組み・風土」という3本の軸で職場を管理できるようになることを目指しています。所属長がこの3軸で適切にマネジメントを行えば「強い職場」が作られ、それが部方針や室方針の達成に繋がります。部が目標を達成すれば、最終的に会社の事業方針やビジョンの実現に紐付けられるというプロセスを描いています。
鎌田様:
時代と共に会社も人も変わります。特に今の若い世代は、成長の過程で「納得」を強く求めています。上司が独りよがりな指導をするのではなく、部下が何を考え、どのような納得感を求めているのかを、数値や傾向として可視化する必要があると考えました。
自分を客観的に映し出す「鏡」としての気づき
——数あるサービスの中から、なぜ弊社のCBASE 360°を選んでいただいたのでしょうか。
黒木様:
まず組織論と360度フィードバックの仕組みがしっかりと連動している点が魅力でした。組織開発の第一人者である南山大学教授の中村和彦氏の知見や、コンサルタントのサポートがあることは大きな強みだと思いました。次にコスト面においても、さまざまな良質なサービスを受けられることに対して、コストパフォーマンスが非常に良いと感じました。
——ありがとうございます。360度フィードバックという仕組みに、どのような期待をしていましたか?
鎌田様:
自分の行動を見る「鏡」としての役割です。私自身も含めて、マネージャーは自分の立ち振る舞いについて部下に直接聞きづらいものです。数値やフリーコメントで言語化されることで、本人が気づいていなかった長所や改善点が明確になります。
——運用面で苦労された点はありましたか?
黒木様:
まず挙げられるのは、回答者の選定です。事務局からは現場の関係性が見えない為、相応しい回答者を紐づけるための情報収集に苦労をしました。
次に全社一斉に導入することへの理解活動です。今回、360度フィードバックの対象者は管理職以上ですが、回答者は全社社員を対象にしました。一部の役員からは「なぜ一気に全社に展開するのか?」という声もありましたし、現場からは「また新しいツールが増えて負荷が高くなるだけではないか」という懸念もありました。
鎌田様:
そのため、部署ごとに足を運んで説明を行うなど、入口の部分での理解活動は、とくに丁寧に実施しました。その際、「この施策は自分を知るための鏡です」というフレーズをよく使いました。
——実務の面ではデータ整備も大変だったとお聞きしました。
黒木様:
はい、回答者選定時のリスト作成では非常に苦労しました。半角・全角が混同したり、句点の有無でエラーが出るなど、データ整備は実務担当者として本当に大変でした。また、日常の忙しさを理由に行動アップデートシートの更新が止まってしまうなど、フォローアップの仕組み作りも今後の課題として認識しています。
——データの整備・加工が大変なのはおっしゃる通りですね。今後その負担を減らしていけるよう、私たちも解決策を検討したいと思っています。
現場に生まれた「共通言語」が部署間の壁を壊す
——実施後、現場にはどのような変化が見られましたか?
黒木様:
「360度フィードバック」という共通言語で、社内の話し合いができるようになったことが非常に大きいです。これまでは「部署間の壁がある」と言っても、輪郭がぼやけていて具体的な議論ができませんでした。しかし、共通の設問項目という物差しができたことで視点が共有化され、出てくる課題への納得感が高まりました。
鎌田様:
実際に実施してみて面白かったのは、本人が「うすうす気づいていたこと」が裏付けられただけでなく、全く無自覚だった強みや弱みが浮き彫りになったことです。ポジティブな意見もネガティブな意見も、第三者の視点から言語化されて届くことで、非常に高い納得感が生まれています。行動を変える前段階として、まずは自分を客観視する「マインドシフト」を起こすことができました。
ヒアリングでは、マネージャー層から「言語化されて本当に良かった」という声を多く聞きました。行動変容の第一歩として、自分が変化し続けることの大切さを一人ひとりが感じ始めてくれているのは、人事としても手応えを感じる部分です。
——今後、得られたデータをどのように人事施策へ活用していく予定ですか?
黒木様:
CBASE 360° の機能である「人材マップ」を活用しながら、会社方針に対してどのような人物像がどれくらい存在するのかというボリューム感を可視化したいと考えています。この議論が進んでいけば、会社の方針に対する人材像のボリュームや、施策の有効性が起因しているのかどうかを紐づけられると考えています。
また、ハラスメント解析も重要なポイントです。ボリュームゾーンを特定し、対象者を絞った教育を実施することで、職場で発生しうるハラスメントの事前防止や日常の接し方の改善に繋げたいと考えています。これらを企画提案の材料として、さらに経営層への理解を深めていく予定です。
組織と個人の課題を明確にするための材料が得られる
——最後に、導入を検討されている企業へメッセージをお願いします。
鎌田様:
従来の1on1や上司・部下という二者間の関係を超えて、文字通り360度から自分を捉え直す機会はなかなかありません。一歩を踏み出す勇気は必要ですが、導入をお勧めできると思いますね。
井手様:
360度フィードバックは、自分の顔を鏡で見るようなものです。自分が思っている自分と、人から見えている自分。その差を把握し、良いところは伸ばし、弱点は補っていく。そうした個人の成長が、会社の人材教育、さらには変化に強い戦略の実行に繋がるのだと思います。
黒木様:
まず、シーベースの皆さんには大きな信頼を寄せています。これまで親切かつ丁寧に対応いただいたことで、良好な関係を築くことができました。
また、360度フィードバックには、組織や個人の現状を多面的に捉え、課題や成長の機会を見つけるための多くの示唆が含まれていると感じています。こうした取り組みが、必要とするさまざまな企業や組織で活用されていくと嬉しいですね。
——今後のデータ分析やマネジメント層の育成について、引き続き支援・提案させていただきます。本日は貴重なお話をありがとうございました。
インタビュアー
大西優太朗 営業グループ チームリーダー
香川大学農学部卒業後、名古屋大学大学院進学。大手広告・メディア会社での企画業経験を経て、シーベースに参画。現在は人材開発や組織開発を起点とした360度フィードバック施策の企画営業リーダーとして、組織マネジメントやお客様の施策導入と成功に向けて伴走支援を行う。
- 大豊工業株式会社
- 事業内容:自動車部品(軸受製品、アルミダイカスト製品、システム製品他、精密金型)の製造および販売
創業:1944年 12月
社員数:連結 4,089名 / 単独 1,885名 (2026年6月30日現在)