セミナーレポート
コンサルタントが語る 360度フィードバック「ここだけのお話」〜失敗事例から学ぶ、行動変容を促すカギとは?〜
2026年1月21日19:00-20:00、株式会社シーベースはオンラインセミナー
「シーベースのコンサルタントが語る 360度フィードバックここだけのお話」を開催しました。
本セミナーでは、数多くの企業でコンサルティングを手掛けてきた執行役員の大川とコンサルタントの長光が登壇。通常語られることの少ない「現場で起こっているリアルな課題」や「形骸化させないための具体的なアプローチ」について、パネルディスカッション形式で深掘りしました。
360度フィードバック活用の現状と課題
セミナーの冒頭、大川より360度フィードバックの最新トレンドが共有されました。かつては大手企業を中心に導入されていた本施策ですが、昨今ではエンゲージメント向上や管理職の能力開発を目的として、中小企業への導入も急速に進んでいます。


しかし、実施後の運用状況には課題も残ります。
・フォローアップの不足: 個人の結果をフィードバックできている企業は約半数にとどまり、アクションプランの策定まで至るケースはさらに限定的です。
・効果実感への影響 実施後のサポートがない場合、継続を希望する対象者は約15%ですが、アクション策定などのサポートがあるだけでその割合は75%以上に跳ね上がります。360度フィードバック施策を前向きに捉えられることで施策への効果実感が上がることがわかっています。

このデータが示す通り、360度フィードバックを「やりっぱなし」にせず、いかに次の一動につなげるかが重要です。

パネル1:読み解きの精度を上げる「場作り」の壁
パネルディスカッションでは、サーベイ結果などを現場でどう読み解き、行動につなげていくかという観点から、「場づくり」において多くの企業が直面しているリアルな壁について語られました。
「自律性」への過度な期待が落とし穴に
多くの企業では、「管理職であれば、自分で結果を読み解き、次のアクションを考えられるはずだ」という前提が置かれがちです。しかし実際には、ネガティブなコメントにショックを受けてレポートを閉じ、二度と見ないというケースも少なくありません。
長光は「事務局が閲覧率を確認したところ、ほとんど見られていなかったという衝撃的なケースもある」とし、まずは「強制的にでも結果と向き合う場」をセットすることの重要性を強調しました。
「忙しいから」「今はそのタイミングではない」といった理由で場づくり自体が見送られてしまうことも多く、ここに最初の大きな壁があることが共有されました。

孤独な内省から「分かち合い」へ
自分一人で結果を見ると、どうしても視野が狭まり、改善点ばかりに目が向きがちです。そこで重要になるのが、分かち合いの場です。
・強みを味わう: 改善点に向き合うためには、まず自身の強みをしっかりと噛み締めることが心理的な土台となります。
・対話が生む気づき: 他者と結果を分かち合う場を設けることで、「自分にとっては当たり前だと思っていた行動が、実は周囲に貢献していた」という気づきが得られ、アクションへの前向きなエネルギーが生まれます。
パネル2:対話による「内省・意味づけ」の支援
続いて、より深い行動変容を促すための個別支援(コーチング)の重要性について議論が交わされました。
なぜ今、個別コーチングが求められるのか
昨今、マネジメント課題が個別化・複雑化しており、一律の研修だけでは対応しきれない場面が増えています。特に影響力の大きいエグゼクティブ層や、ハラスメント傾向など根深い行動パターンを持つ方には、深い内省を促す個別のアプローチが有効であるという見解を発信しました。

コーチングで実現する「過去と未来の接続」
大川は、360度フィードバックを用いたコーチングのポイントとして以下を挙げました。
・自身の経験との紐付け: 過去の経歴と今回の結果を照らし合わせ、「なぜこの強み(または課題)が出ているのか」の背景を紐解いていきます。
・固定の信念(囚われ)の再編集: 「上司たるもの、常に答えを持っていなければならない」などのような、本人を縛る固定観念(囚われ)にアプローチし、行動の選択肢を広げます。
・アクションプランの具体化: 抽象的な目標で終わらせず、明日からできる「具体的な一歩」まで落とし込みます。
導入事例紹介:点ではなく「線」で支援する
セミナー終盤では、手厚いフォローアップで成果を出した2つの事例が紹介されました。
1.エネルギー関連企業での事例(次世代リーダー育成)
・研修を入り口と出口に置き、その間を2回の個別コーチングでつなぐ切れ目のない支援を実施。
・課題設定の甘さをコーチングで補完することで、最終的に「良い変化を起こせた」という実感を醸成。
2.化学メーカーでの事例(本部長クラスの行動変容)
・1日の読み解き研修に加え、個別コーチングとグループコーチング(4名1組)を組み合わせて実施。
・孤独になりがちな上位層がお互いに刺激し合うことで、「部下との関係性改善」から「全社的なビジョン策定・後継者育成」へと取り組みへと発展。


まとめ:360度フィードバックは「ギフト」である
最後に、登壇した両名からメッセージが送られました。
「360度フィードバックは、噛めば噛むほど味が出るものです。最初は耳の痛い話もあるかもしれませんが、それを自己否定ではなく、未来への『ギフト』として受け取れるよう、丁寧にサポートしていくことが、組織アップデートの鍵となります。」
シーベースでは、システム提供のみならず、こうした現場のリアルな課題に寄り添ったコンサルティング・研修を通じて、今後も企業の人材開発・組織開発を支援してまいります。