チームビルディングとは?定義・目的・メリットから成果を生むプロセスと手法まで
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リモートワークや多様な働き方が当たり前になった今、チームの力をしっかり引き出すには「チームビルディング」が重要です。単なる懇親やイベントではなく、信頼関係を育て、協力しやすい環境を整えるための仕組みや工夫のこと。本記事では、チームビルディングの基本から効果的なやり方、進め方のステップ、活用シナリオまで、すぐに実践できる内容をわかりやすく解説します。
目次
チームビルディングとは
チームビルディングとは、メンバー同士の信頼関係を築き、協力しやすい環境を整えることで、チーム全体の力を高める取り組みです。単なる社内イベントやレクリエーションではなく、日々の業務の中で連携を強化し、心理的安全性を高め、情報共有をスムーズにすることも含まれます。人事部門では、チーム間や部署間の連携を促し、組織全体の成果を底上げするための重要な施策として位置づけられます。
チームの定義
チームとは、共通の目的を持ち、その達成に向けて協力し合う人の集まりを指します。単なるグループと異なり、メンバーは成果に対して責任を分かち合い、それぞれの役割が明確に決まっています。情報を共有しながら進めることで、一人ひとりの力を組み合わせて成果を最大化します。人事担当者にとって、チームの定義を正しく理解することは、評価や育成の基準づくりに欠かせません。この理解があれば、どんなチームビルディング施策が必要なのかが明確になります。
チームビルディングとチームワークの違い
チームワークは、既にあるチーム内での協力関係や連携のことを指します。一方、チームビルディングは、その協力関係をつくり出し、さらに強くするための取り組みです。例えば、チームワークは日常業務で自然に発揮されることが多いですが、チームビルディングは意図的に環境や機会を用意して、その状態を生み出します。この違いを理解しておくことで、人事担当者は「既存の関係を強化すべきか」「新しいつながりを構築すべきか」を判断しやすくなります。
チームビルディングとチームマネジメントの違い
チームマネジメントは、すでに出来上がったチームを維持・管理し、目標達成へ導くための手法です。一方、チームビルディングは、その土台となる信頼関係や協力体制をつくり上げる活動です。マネジメントは業務の進行や成果管理が中心ですが、ビルディングは組織文化や価値観を共有することに重きを置きます。人事担当者は、チームの状態に応じて、この二つを使い分けることが大切です。立ち上げ期はビルディングを重視し、安定期はマネジメントを強化する、といった柔軟な対応が求められます。
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チームビルディングの目的
チームビルディングの目的は、メンバー同士の関係性を築き、協力しやすい環境を整えることで、組織全体の成果を高めることにあります。単なる交流やレクリエーションではなく、業務効率や課題解決力の向上、組織文化の醸成など、日々の仕事に直結する効果を狙います。目的を明確にすることで、施策が一時的なイベントに終わらず、長期的な成長を支える取り組みになります。
業務効率の向上
チームビルディングは、メンバーの役割分担や連携方法を明確にし、作業の重複やミスを減らす効果があります。お互いの強みや弱みを理解することで、得意分野を活かした配置や作業分担が可能になります。結果として、業務全体のスピードが上がり、質の高い成果を安定して出せるようになります。業務効率の向上は、生産性だけでなく、メンバーの負担軽減や働きやすさの向上にもつながります。
課題解決力の強化
メンバー同士が信頼し合い、率直に意見交換できる環境が整うと、課題や問題点が早期に共有されます。これにより、解決策の検討がスムーズになり、複数の視点からアイデアが出やすくなります。多様な経験やスキルを持つメンバーが協力することで、より効果的で実行可能な解決策を導きやすくなります。課題解決力の強化は、変化の激しいビジネス環境において特に重要な目的のひとつです。
組織文化の定着
チームビルディングは、組織内で共有される価値観や行動指針を浸透させるきっかけにもなります。メンバーが共通の経験を通して協力し合うことで、「助け合う文化」や「挑戦を歓迎する文化」が自然と形成されます。こうした文化は、採用活動や人材定着にも良い影響を与え、外部から見た企業の魅力向上にもつながります。文化の定着は短期間でできるものではないため、継続的な取り組みが求められます。
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チームビルディングのメリット
チームビルディングは、単なる交流促進ではなく、業務効率や成果の質を高めるための重要な取り組みです。信頼関係が深まり、心理的安全性が確保されることで、メンバーは安心して意見やアイデアを共有できるようになります。その結果、協力体制が強化され、課題解決のスピードや創造性も向上します。さらに、このような環境はモチベーション維持やエンゲージメント向上にも直結します。ここでは、チームビルディングによって得られる主なメリットを具体的に紹介します。
チームパフォーマンスの向上
信頼関係や情報共有が促進されることで、チーム全体の作業効率や成果の質が高まります。メンバー同士が補完し合うことで、一人では成し得ない成果を生み出せるようになります。こうしたパフォーマンス向上は、日々の業務改善だけでなく、重要なプロジェクトや緊急時の対応力向上にもつながります。結果として、組織全体の競争力も高まり、継続的な成長が可能になります。
モチベーションの向上
チームビルディングによって仲間意識や帰属意識が高まると、メンバーは自分の役割や貢献度を実感しやすくなります。これにより、仕事に対する意欲や責任感が自然と向上します。さらに、成果や努力がチーム内で認められる環境は、継続的な挑戦を促し、ポジティブな雰囲気をつくります。モチベーションの高いチームは、成果を出すスピードも質も向上します。
心理的安全性の向上
心理的安全性とは、メンバーが安心して意見や質問を言える環境のことを指します。チームビルディングを通じて信頼関係を築くことで、課題や失敗も隠さず共有でき、改善に向けた建設的な議論が生まれます。こうした環境は、新しいアイデアや挑戦を促し、チームの成長を加速させます。心理的安全性についての詳細は、こちらの記事で詳しく解説しています。
チームビルディングのプロセス(タックマンモデル)
チームは一夜にして完成するものではなく、成長の過程を経て機能的な状態にたどり着きます。アメリカの心理学者ブルース・タックマンが提唱した「タックマンモデル」は、そのプロセスを5つの段階で説明しています。形成期から始まり、混乱期、統一期、機能期、そして散会期へと移行する流れを理解することで、現状の課題や必要な施策を見極めやすくなります。ここでは、それぞれの段階の特徴と効果的な対応方法を紹介します。
形成期
形成期は、新しいチームが結成された直後の段階です。メンバー同士はまだ関係性が浅く、役割や目的の理解も不十分なことが多い時期です。この段階では、チームの方向性や目標を明確に示し、安心して関われる環境づくりが重要です。アイスブレイクや自己紹介、簡単な協働タスクなどを通して、コミュニケーションのきっかけを増やすことが効果的です。信頼関係の土台をつくるために、リーダーの積極的な関与も欠かせません。
混乱期
混乱期は、役割や意見の違いが表面化し、衝突や不満が生まれやすい時期です。これは自然なプロセスであり、避けるべきではありません。この段階では、意見の違いを建設的な議論に変えることが重要です。リーダーはメンバーの意見を引き出し、対立を解消するためのルールや対話の場を設定します。心理的安全性を保ちながら議論できる環境を整えることで、次の統一期へのスムーズな移行が可能になります。
統一期
統一期は、メンバー間の信頼関係が深まり、共通の目的に向けた協力が進む時期です。役割分担が定まり、相互理解が進むことで、チーム内の雰囲気も安定してきます。この段階では、共有する目標や成果指標を明確にし、進捗や達成感を可視化することが効果的です。また、協力関係を強化するアクティビティや小規模プロジェクトを通じて、チームとしての結束をさらに高めることができます。
機能期
機能期は、チームが高いパフォーマンスを発揮できる状態に達した段階です。メンバーは互いの役割を理解し、自律的に行動できるため、意思決定や課題解決もスムーズに行われます。この時期には、現状維持にとどまらず、改善や新たな挑戦を積極的に行うことが求められます。定期的なフィードバックや成果の振り返りを行い、学びを共有することで、持続的な成長を促すことができます。
散会期
散会期は、プロジェクトの終了や組織変更などによりチームが解散する段階です。この時期には、成果を振り返り、学びを次の活動に活かすための記録や共有が重要です。また、解散後も良好な関係を維持することで、将来的な再結成や他のチームでの協力がスムーズになります。お互いの貢献を認め合う場を設けることで、チームの経験が個人の成長や組織全体の知見として蓄積されます。
チームビルディングの手法
チームビルディングの手法は、目的やメンバー構成、実施環境によって最適な形が異なります。研修やワークショップのように計画的に行う方法もあれば、日常業務の中に自然に組み込む方法もあります。最近では、オンラインやリモート環境に適したアクティビティも増えています。それぞれの手法の特徴や効果を理解し、自社の状況に合った方法を選択することが、成果を最大化するための鍵となります。
ワークショップ型
ワークショップ型のチームビルディングは、特定のテーマや課題についてメンバー全員で意見を出し合い、解決策や新しいアイデアを生み出す方法です。短時間で集中して取り組むことで、普段の業務では得られない気づきや発想が得られます。ファシリテーターが進行役を務めることで、全員が参加しやすい環境が整います。課題解決力や創造性を高めたいときに特に効果的です。
アクティビティ型
アクティビティ型は、ゲームやグループ演習、屋外活動などを通じてメンバー間の交流や信頼関係を深める方法です。楽しさを伴うため、初対面や交流が少ないチームでも効果を発揮します。例としては、チームで課題を解く脱出ゲームや、協力が必要なスポーツイベントなどがあります。非日常の体験を共有することで、日常業務に戻った際の連携がスムーズになります。
業務内組み込み型
業務内組み込み型は、日常業務の中で自然にチームビルディングを進める方法です。代表例は定期的な1on1ミーティングや部門横断のプロジェクトです。1on1は信頼関係の構築や課題の早期発見に効果的ですが、やり方次第で成果が大きく変わります。効果的な進め方や話す内容については、こちらの記事をご覧ください。また、1on1でのフィードバック方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。日常業務に組み込むことで、低コストで継続的な効果が得られます。
研修プログラム型
研修プログラム型は、管理職研修や新入社員研修などの一環としてチームビルディングを組み込む方法です。組織の課題や目標に合わせたプログラムを設計することで、実践的なスキルや行動変容を促します。専門講師や外部研修会社のサポートを活用することで、短期間で成果を得やすくなります。長期的な組織力強化にもつながる手法です。
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チームビルディングの効果測定方法
チームビルディングは実施して終わりではなく、その効果を定量・定性の両面から測定することが重要です。成果を可視化することで、施策の改善点や次のアクションが明確になります。アンケートやサーベイでの心理的安全性やエンゲージメントの評価、業務データによる進捗や達成率の確認、参加者の声からの質的分析など、複数の方法を組み合わせることで、精度の高い効果測定が可能になります。
アンケートによる測定
アンケートは、心理的安全性やエンゲージメントなど、目に見えにくい要素を数値化する手段として有効です。実施前後で同じ質問を繰り返すことで、変化を比較できます。質問内容は「安心して意見を言える」「同僚との協力がしやすい」など、行動や感情に直結する項目にすることがポイントです。匿名で実施することで回答の正直さが高まり、より正確な現状把握が可能になります。エンゲージメントを測定する方法については、エンゲージメントサーベイの解説記事をご覧ください。
定量指標による測定
定量的な指標は、業務達成率やプロジェクトの進捗スピード、会議やイベントの参加率など、数字で表せる成果を追跡します。これらのデータは既存の業務管理ツールやプロジェクト管理システムから取得できることが多く、測定コストが低いのも特徴です。特にBtoB環境では、数値データは経営層への報告やROI算出にも活用でき、施策の正当性を裏付ける材料になります。エンゲージメントをスコア化する方法については、エンゲージメントスコアの記事で詳しく解説しています。
定性評価による測定
定性評価は、参加者の感想や行動の変化など、数値だけでは測れない部分を把握する方法です。ワークショップ後の自由記述や、1on1でのヒアリングなどが有効です。例えば「他部署との会話が増えた」「アイデアを出しやすくなった」といった具体的な変化は、組織文化の醸成度合いを知る手がかりになります。定性評価は、定量データと組み合わせることでより説得力のある分析になります。
チームビルディングの活用シナリオ
チームビルディングは目的や状況に応じて、さまざまな場面で活用できます。特にBtoB企業では、部署間の連携やリーダー育成、新入社員の定着といった課題解決に有効です。ここでは、現場で想定されるシナリオごとに、どのようにチームビルディングを組み込めば効果を最大化できるかを紹介します。自社の状況に近いケースを参考に、施策の検討に役立ててください。
管理職研修に組み込むケース
新任管理職やリーダー候補の育成では、チームマネジメントスキルの習得が不可欠です。チームビルディングを研修の一部に組み込むことで、メンバーとの信頼構築や意思決定の練習が実践的に行えます。例えば、課題解決型のワークショップやロールプレイを通じて、対話力やリーダーシップを磨くことが可能です。研修後の現場適用を想定し、具体的な行動計画を作成することで定着率が高まります。
部署間プロジェクトで活用するケース
複数部署が関わるプロジェクトでは、専門分野や文化の違いから連携が難しいことがあります。こうした場合、プロジェクト開始時にチームビルディングを行うことで、相互理解を深め、協働しやすい関係を作れます。例えば、役割や期待値を明確にするワークや、短時間で達成可能な共同タスクが効果的です。信頼関係が構築されると、情報共有や意思決定がスムーズに進み、成果の質も向上します。
オンボーディングに活用するケース
新入社員が早く職場に馴染むためには、スキル習得だけでなく、チーム内での関係構築が重要です。入社直後のオンボーディング期間にチームビルディングを実施することで、心理的安全性が高まり、業務への主体性も促進されます。具体的には、アイスブレイクや小規模な共同プロジェクトを通じて、先輩社員との接点を増やします。早期に信頼関係が築けることで、離職防止やエンゲージメント向上にもつながります。
まとめ
チームビルディングは、単なる交流イベントではなく、組織の生産性や創造性を高めるための重要な施策です。目的に合わせて適切な手法を選び、効果測定を行うことで、継続的な改善が可能になります。心理的安全性やエンゲージメントの向上など、長期的な組織力強化にもつながる要素を意識することが大切です。本記事で紹介した手法や活用シナリオを参考に、自社に合った取り組みを設計してみてください。より詳しい施策例は、心理的安全性の記事やエンゲージメント向上の記事も併せてご覧ください。
FAQ(よくある質問)
Q1. チームビルディングとは何ですか?
チームビルディングとは、メンバー同士の信頼関係を築き、協働しやすい環境を整えるための施策です。研修や日常業務、イベントなど、多様な形で行われます。目的に合わせて方法を選ぶことが成果につながります。
Q2. オンライン環境でもチームビルディングは可能ですか?
可能です。オンラインゲーム、バーチャルワークショップ、リモート1on1など、物理的距離を超えて交流を促す施策があります。ツール選びと進行の工夫が成果を左右します。
Q3. チームビルディングの理想的な頻度はどれくらいですか?
年数回の大規模施策に加え、月1回程度の小規模な取り組みを行うのが理想です。継続的な1on1や部門横断プロジェクトも有効です。重要なのは回数よりも継続性と目的適合性です。参考:1on1ミーティングのやり方・話題・対策
Q4. 管理職向けのチームビルディングはどのように行いますか?
管理職研修に組み込み、リーダーシップや意思決定スキルを実践的に鍛えます。実務課題と連動させることで現場適用力が高まります。
Q5. チームビルディングを始めるタイミングはいつが良いですか?
新しいプロジェクトの立ち上げ時や、組織再編・メンバー入れ替えのタイミングが効果的です。大きな変化があった直後に実施すると、早期の信頼構築と連携強化が期待できます。
Q6. 部署間交流に活用できるチームビルディング施策はありますか?
部門横断プロジェクト、交流イベント、情報共有会などが有効です。部署間の壁をなくすことで、業務効率や創造性が向上します。
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