付加価値とは?意味・例・つけ方をわかりやすく解説【ビジネスで成果を生むポイント】

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「付加価値」とは、企業が生み出す“お金を払う理由”とも言える価値のことです。
商品やサービスが選ばれる背景には、価格以上の魅力や体験があります。
この記事では、付加価値の意味や計算式をわかりやすく解説し、製造・サービス・ITなど業界別にどのように付加価値を高めているかを紹介します。
さらに、付加価値生産性を上げる考え方や、仕事で実践できる工夫のポイントも解説。
「付加価値とは何か?」を理解し、自社や自身の業務の中で“成果を生むヒント”を見つけましょう。
目次
付加価値とは
付加価値とは、企業が事業活動を通じて新たに生み出した価値のことを指します。
より具体的には、「売上高」から「原材料費・外注費などの外部支出」を差し引いた金額で表されることが多く、企業が自らの力で付け加えた価値=付加価値です。
現代のビジネスでは、この「付加価値を高めること」が競争力の源泉となっています。
消費者が商品やサービスを選ぶ際には、単なる価格だけでなく「自分にとってどんな価値があるか」を重視するようになっているためです。
例えば、下記が付加価値となります。
- 見た目やデザインが優れている
- コストパフォーマンスが高い
- 使いやすく、サポート体制が整っている
つまり、顧客がその商品・サービスに“お金を払う理由”こそが付加価値と言えます。
この視点は、後述する「付加価値をつけるということの意味」や「業界別の付加価値のつけ方」にもつながります。
付加価値をつけるということの意味
「付加価値をつける」とは、製品やサービスに独自の魅力や差別化要素を加えることを意味します。
日本企業はこれまで、製造業を中心に「高品質・高信頼性」といった付加価値を武器に成長してきました。
たとえば、下記などは、価格競争に巻き込まれずに利益を確保できる代表例です。
- デザイン性に優れた製品
- 壊れにくく、安全性が高い製品
- 長期間使っても性能が落ちにくい製品
また、付加価値は「時・場所・状況」によって変化する相対的な概念でもあります。
日本では1本100円のミネラルウォーターでも、砂漠で喉が渇いている人にとっては1万円以上の価値を持つ可能性があります。
つまり、付加価値とは単なる「製品の性能」だけでなく、顧客が置かれた状況でどのような価値を感じるかによって決まるのです。
このように、付加価値の本質は「相手の視点で考える価値創造」にあります。
企業が自社の商品・サービスにどんな独自性を加え、どんな顧客価値を届けるか——それが「付加価値をつける」という行為の本当の意味です。
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付加価値の計算式
「付加価値にはどんな計算式があるのだろう?」と感じる方も多いでしょう。
実は、付加価値の算出方法には大きく分けて 2つの代表的な計算式 があります。
- 控除法(中小企業方式)
- 加算式(日本銀行方式)
どちらの方式も最終的に同じ「付加価値」を求めますが、引いて求めるか、足して求めるかの違いがあります。
それぞれの考え方と特徴を見ていきましょう。
控除法(中小企業方式)
控除法は、主に製造業などの「モノづくり企業」で使われる付加価値の算出方法です。
・付加価値 = 売上高 - 外部購入価値
外部購入価値には、次のような項目が含まれます。
- 材料費
- 部品費
- 商品仕入れ
- 運送費
- 外注加工費
つまり、「売上」から「外部に支払ったコスト」を差し引くことで、企業が自力で生み出した価値を明らかにします。
特徴と活用のポイント
- 製造や加工など生産工程を持つ企業に向いている
- コスト構造の見直しや効率化の指標にしやすい
- GA(グロスアドバリュー)を把握する際に使われる
例:
売上高 1億円 − 外部購入価値 6,000万円 = 付加価値 4,000万円
この4,000万円が「従業員の給与・利益・税金など」に分配され、企業が新たに生み出した価値として認識されます。
加算式(日本銀行方式)
加算式は、企業活動によって「内部でどのように価値が生み出されたか」を明らかにする方法です。
日本銀行の統計や経済分析で使われる標準的な考え方であり、企業全体の経済貢献を見える化するのに適しています。
計算式
・付加価値 = 経常利益 + 人件費 + 賃借料 + 金融費用 + 租税公課+ 減価償却費
付加価値を算出するにあたって、加算式(日本銀行方式)ではプラスを繰り返していきます。
特徴と活用のポイント
- 「付け加えた価値の総和」を足し上げて算出する
- 利益だけでなく、従業員や社会に還元される要素も含める
- 経営分析・人件費比率・生産性分析などに応用しやすい
例:
経常利益 1,000万円 + 人件費 2,000万円 + 賃借料 200万円 + 租税公課 300万円 + 減価償却費 500万円
= 付加価値 4,000万円
控除法と同様の結果が得られますが、「価値をどう配分しているか」まで見えるのが特徴です。
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付加価値生産性の計算・求め方
付加価値生産性とは、従業員1人あたりがどれだけの付加価値を生み出しているかを示す指標です。
企業の「効率」や「収益力」を測るうえで欠かせない基本の指標といえます。
計算式:付加価値生産性 = 付加価値 ÷ 従業員数
非常にシンプルな計算式ですが、この数字が企業の生産性や競争力の実態を映し出します。
同じ売上でも従業員数が多ければ生産性は下がり、少人数で高い付加価値を生み出せる企業ほど効率的です。
日本企業の生産性が低いと言われる理由
「日本企業は生産性が低い」とされる背景には、次のような要因があります。
- 長時間労働が多く、時間当たりの付加価値が低い
- 安売りや価格競争に依存し、高付加価値の商品づくりが難しい
- 効率よりも「量」や「根性」でカバーする文化が残っている
一方で、ドイツなどの製造大国は、短時間でも高価格・高品質な製品を提供する仕組みを確立しています。
つまり、「働く時間を減らす」だけではなく、時間内にどれだけ高い価値を生み出せるかが重要なのです。
生産性を高めるためのポイント
付加価値生産性を向上させるには、次の3つの視点を意識しましょう。
- 価格に見合う価値を提供する
単なる安売りではなく、「なぜこの価格なのか」を説明できる品質・体験を設計する。 - 業務効率化とデジタル化の推進
単純作業を減らし、社員が創造的な業務に集中できる環境を整える。 - 顧客視点での価値創造
機能やコストではなく、顧客が「買いたい」と感じる体験・信頼・成果を重視する。
日本企業が今後生産性を高めるためには、残業削減だけでなく、
「付加価値そのものを高める経営」へ転換することが欠かせません。
その基盤となるのが、次章で紹介する「業界別の付加価値のつけ方」です。

業界別で見る付加価値のつけ方
製造業の付加価値のつけ方
製造業では、品質向上・生産工程の効率化・独自技術の開発が主な付加価値源です。
同じ製品でも、設計精度・耐久性・安全性・カスタマイズ対応などによって「顧客が感じる価値」が大きく変わります。
付加価値を高める代表的な取り組みは以下の通りです。
- 高品質化:素材や部品を見直し、製品寿命を延ばす。
- 省人化・自動化:生産コストを削減しながらスピードを上げる。
- 小ロット・多品種対応:顧客の細かなニーズに合わせる柔軟性を持つ。
これらは「付加価値=売上−外部購入費用」で見たときの粗付加価値率(GVA率)を上げる代表的なアプローチです。
サービス業の付加価値のつけ方
サービス業では、人が生み出す体験価値が中心となります。
顧客は「物」ではなく「体験」「満足」「信頼」を買っているため、接客・スピード・安心感・パーソナライズといった非価格要素が重要です。
付加価値を高める具体例:
- 顧客体験の最適化:予約のしやすさ、問い合わせ対応の速さ、フォロー体制の充実。
- データ活用による再来促進:顧客履歴をもとに次の提案を自動化。
- ブランド体験の統一:ロゴ・店舗・接客トーンなどを一貫化して信頼を積み上げる。
たとえば飲食業であれば「料理の味」よりも「空間・接客・再訪したくなる体験」を作ることが、最終的な付加価値の差につながります。
IT・情報サービス業の付加価値のつけ方
IT業界では、データ・技術・スピードが付加価値を生む軸です。
単なるシステム提供ではなく、顧客の課題を可視化し、改善を支援するソリューション力が求められます。
主な付加価値の源泉は以下の通りです。
| 付加価値要素 | 具体的な取り組み例 |
|---|---|
| 技術的独自性 | AI・自動化・クラウド最適化など他社にない機能を提供 |
| データ分析力 | ユーザーデータを活用して成果を定量化・レポーティング |
| UX/UI改善 | 操作性や導線を最適化して顧客の工数を削減 |
| カスタマーサクセス | 導入後の成果支援・活用教育によって契約継続率を高める |
業界別の共通点と違い
| 業界 | 主な付加価値源 | 強化の方向性 |
|---|---|---|
| 製造業 | 品質・技術・効率性 | コスト構造の見直しと技術革新 |
| サービス業 | 体験・信頼・対応力 | 顧客満足・再来率向上 |
| IT業 | データ・UX・サポート | 継続支援・成果最大化 |
どの業界でも共通しているのは、「顧客が感じる価値」を中心に再設計すること。
単にコストを下げるのではなく、「どうすれば顧客がより満足するか」を起点に考えることが、付加価値向上の第一歩です。
付加価値を高める仕事の進め方を考えよう
生産性を高めるには、まず自分の仕事で付加価値をどう生み出すかを意識することが大切です。
付加価値を意識せずに作られた製品やサービスは、顧客に選ばれにくくなります。
また、総務・人事・経理などの間接部門も同様です。
たとえば、現場がすぐに使える申請フォーマットを作成したり、手続きを自動化したりすることで、
他部門の業務効率を高める「間接的な付加価値」を生み出せます。
付加価値とは、顧客や社内の“誰かの時間や手間を減らすこと”でも生まれるものです。
日々の業務の中で「この工夫は誰の役に立つか?」を考えながら、
自分なりに付加価値を高める行動を積み重ねていきましょう。
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まとめ
付加価値とは、企業が生み出す「お金を払う理由」であり、ビジネスの競争力を左右する重要な要素です。
売上から外部費用を差し引く控除法や、利益や人件費を加算する加算式で算出できますが、
本質は顧客が感じる独自の価値をどれだけ高められるかにあります。
付加価値生産性を上げるには、価格ではなく価値で選ばれる仕組みづくりが欠かせません。
製造・サービス・ITなど業界ごとに方法は異なっても、共通して重要なのは「顧客視点での価値創造」です。
日々の業務の中で「誰のために、どんな価値を加えているか」を考えることが、
生産性向上と企業の成長を両立させる第一歩となります。
FAQ(よくある質問)
サービス業:来店予約の即時可決、パーソナライズ提案、返金保証。
人事・バックオフィス:入社手続きの完全オンライン化、1on1設計で定着率向上、問い合わせの一次回答SLA設定。いずれも「顧客や社内ユーザーの体験が良くなるか」を軸に考えると効果的です。

「CBASE 360°」は、株式会社シーベースが提供するHRクラウドシステムです。経営を導く戦略人事を目指す人事向けのお役立ち情報をコラムでご紹介します。





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