業務遂行能力とは?意味・評価方法・具体例をわかりやすく解説【テンプレ付き】
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「業務遂行能力」とは、業務をやり遂げるための力を「保有能力」と「発揮能力」の2軸で捉える考え方です。知識やスキルをどのように行動へ転換し、成果につなげるか——。
本記事では、その意味と評価方法、さらに実際の行動例やテンプレートを交えてわかりやすく解説します。人事評価や人材育成の現場で、すぐに活用できる実践的な指針を紹介します。
目次
業務遂行能力(職務遂行能力)とは
「業務遂行」とは、与えられた業務について責任を持って最後までやり遂げることです。
そして、業務遂行の際に発揮される能力を「業務遂行能力」と言います。
例えば、上司の指示でコピーを100部取る業務であれば、いつ、どこで、どういう目的で使用され、いつまでに用意しなければならないかを理解した上、上司の望む形でコピーを取る必要があります。
コピーを依頼した上司が何を望んでいるかを把握するためには、上司の言葉から状況を読み取る理解力、上司の指示で不明な点があれば質問するコミュニケーション能力が必要です。
この能力はさまざまな要素を含んだ概念で、パーソナリティや資質に関係なく、努力次第で向上するものと言われています。
高い回答回収率、自動グラフ化機能による課題解決への即効性が期待できます。
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業務遂行能力(職務遂行能力)= 保有能力×発揮能力
業務遂行能力とは、任された仕事を計画的かつ確実に完遂する力を指します。
単なるスキルの有無だけでなく、「状況判断力」や「協働力」「主体性」など、仕事をやり抜くための総合的な能力を含みます。
この力は、次の2つの要素によって構成されます。
業務遂行能力 = 保有能力 × 発揮能力
つまり、知識やスキルをどれだけ持っているか(保有能力)と、それを実際の業務でどの程度発揮できているか(発揮能力)の掛け合わせが、最終的なパフォーマンスを決定づけます。
「保有能力」とは
「保有能力」とは、業務を遂行するために必要な知識・技能・経験などの基礎的な力を指します。
言い換えれば、「どの程度の力を持っているか」を示す静的な能力です。
主な要素の例
・知識:業務に必要な理論・手順・ルールの理解度
・技能:ツール操作や事務処理など、反復によって身に付いたスキル
・経験知:過去の実務経験をもとにした判断力や企画力
・精神的成熟度:安定した思考・姿勢・責任感
これらの能力を保有していても、実際に行動として発揮できなければ「成果」にはつながりません。
そのため、保有能力は「成果の前提条件」であり、発揮能力と組み合わせることで初めて仕事の結果を生み出すといえます。
「発揮能力」とは
「発揮能力」とは、自分が持つ知識やスキルを最大限に活かし、成果に結びつける力です。
同じスキルセットを持つ人でも、発揮能力の高い人は行動力や影響力を通じてより高い結果を出します。
主な要素の例
・主体性・積極性:自ら課題を見つけ、行動に移す姿勢
・責任感:成果に対して最後までやり抜く意識
・協調性・コミュニケーション力:周囲と連携し、チームとして目標を達成する力
・課題解決力:現状分析から改善提案・実行までを一貫して行う力
・柔軟性:環境変化や多様な価値観に適応する力
これらは、日常業務やプロジェクトにおいて他者と関わりながら成果を出す上で不可欠な要素です。
特に現代の組織では、「一人で完結する力」よりも「周囲を動かして成果を出す力が重視される傾向にあります。
観点 | 保有能力 | 発揮能力 |
---|---|---|
性質 | 静的(持っている力) | 動的(使いこなす力) |
例 | 知識・スキル・経験・資格 | 主体性・協調性・実行力 |
評価の焦点 | 能力の水準・習熟度 | 行動・成果・影響範囲 |
評価方法 | テスト・面談・業務実績 | 行動観察・360度評価・KPI達成度 |
保有能力が高くても発揮できなければ成果は出ず、発揮能力だけ高くても知識が伴わなければ品質が安定しません。
両者をバランス良く育成・評価していくことが、組織のパフォーマンス向上の鍵になります。
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業務遂行能力を高めるには
業務遂行能力を高めるには、保有能力(知識・スキル)を伸ばすだけでなく、
それを職場で効果的に発揮できる「行動力」「主体性」「協調性」を磨くことが重要です。
業務改善提案や、チーム内でのフィードバック文化の醸成、
さらには1on1や360度評価を通じた自己理解の促進も有効な手段です。
業務遂行能力の評価方法(実務テンプレ付き)
業務遂行能力を効果的に評価するには、「何をどのように評価するか」を構造的に整理し、誰が評価しても一貫性が保たれる仕組みをつくることが重要です。
このセクションでは、人事評価や育成面談などでそのまま活用できる実務テンプレート型の評価方法を紹介します。
評価設計の基本構造
業務遂行能力の評価は、以下の3つの視点をバランスよく取り入れることで、納得感と精度が高まります。
評価視点 | 内容 | 評価例 |
---|---|---|
成果評価(What) | 目標達成度や定量的な結果 | 売上目標達成率、納期遵守率、KPI進捗など |
行動評価(How) | 成果を出すための行動・姿勢 | 主体性・協調性・問題解決力などの発揮度 |
成長評価(Will) | 成長意欲や改善姿勢 | フィードバックの受け止め方、学習意欲など |
これらを組み合わせることで、単なる「結果主義」ではなく、能力の発揮プロセスと今後の伸びしろまで把握できます。
評価設計の手順(5ステップ)
業務遂行能力を正しく評価するには、「何を・どのように・誰が・どう使うか」を明確にすることが重要です。
感覚的な判断ではなく、組織全体で統一された基準に沿って評価を行うことで、納得感と再現性のある評価制度を構築できます。
目的定義(何を良くしたいか)
評価の目的を明確化します。昇給・昇格判断だけでなく、社員の成長支援や行動変容を促す目的を明示することで、評価軸のぶれを防ぎます。
項目設計(保有/発揮に分解)
評価項目を「知識・スキル(保有)」と「行動・成果(発揮)」に分けます。この2軸で整理することで、成果とプロセスの両面を公平に評価できます。
基準化(S〜Dなど段階定義+KPI)
各評価項目に対し、S〜Dなどの段階基準を設定し、定量指標(KPI)を明確にします。例:S=目標の120%達成、B=基準通り、D=行動未実施。
評価者トレーニング(観点統一)
評価者によるばらつきを防ぐため、観点共有やケーススタディを用いた研修を実施します。観察ポイントを明文化し、主観的判断を排除します。
フィードバック(行動に落とす)
評価結果を本人に伝え、次の行動計画に結びつけます。改善点だけでなく、良い行動を具体的に称えることで、成長意欲を引き出せます。
評価テンプレート活用例
人事考課シートや1on1面談記録に以下のようなフォーマットを組み込むと、実務でスムーズに運用できます。
評価項目 | 評価観点 | 評価ランク | コメント |
---|---|---|---|
業務知識 | 担当業務に必要な専門知識・理解度 | B | 日常業務は問題なく対応しているが、新規案件対応力の強化が課題 |
主体性 | 自ら課題を発見し行動に移せる | A | 改善提案が増え、部署全体の効率化に貢献 |
チーム貢献 | 協調性・サポート姿勢 | S | 他メンバーの成果支援が顕著で、リーダー候補として期待大 |
行動評価にオススメな「360度評価」
業務遂行能力の行動面を公平に評価するには、360度評価(多面評価)の導入が効果的です。
これは、上司・同僚・部下・本人といった複数の立場からのフィードバックを通じて、
本人の行動特性や発揮能力を多角的に可視化する仕組みです。
本人の「自己認識」と他者の「他者評価」を比較することで、気づきや行動変容につながります。
保有能力を測定できる行動例
習得能力:担当業務に必要な知識や情報を自ら収集している
習熟能力:スケジュール通りに進めるため、事前に課題やリスクを把握して準備している
創意工夫力:既存業務に改善策や新しいアイデアを自ら試している
発揮能力を測定できる行動例
責任性:当事者意識を持ち、課題に最後まで責任をもって取り組んでいる
協調性:自発的に意見を出し、チーム全体に良い影響を与えている
積極性:失敗を恐れず、高いレベルの目標に挑戦している
業務遂行能力は、保有能力(知識・スキル)と発揮能力(行動・実践力)の掛け合わせで成り立ちます。そのため、360度評価を用いてこれらを細分化した設問設計を行うことで、「成果だけでは見えない努力や行動の質」を定量的に把握できます。
また、この評価結果をフィードバック面談やキャリア支援に活かすことで、社員の自己理解・主体的な成長・組織エンゲージメント向上にもつながります。
多面的なフィードバックは、業務遂行能力を伸ばすための最も実践的な仕組みの一つです。
業務遂行能力評価のQ&A
Q1.業務遂行能力を評価する際、業務難易度で評価基準を変えますか?
業務遂行能力を評価する際には、必ず業務難易度を考慮して評価をしましょう。なぜなら、業務を最後までやり遂げることは重要ですが、難しい仕事と簡単な仕事では評価されるべきレベルが異なるためです。例えば部署内だけで使われる簡単な資料作成と、営業職が高い売り上げを上げるために行う営業活動や販売促進キャンペーンなどの目標達成は同じやり切ったという言葉で一括りにすることは難しいです。難易度によって評価に差を設けなければ不公平感を生みます。
Q2.業務遂行に関して指示が頻繁に変わる場合はどう対処するべき?
業務遂行に関して上層部の指示が頻繁に変わる場合、最終的な命令を履行できたかどうかで評価を決定しましょう。なぜなら、トップの指示が頻繁に変わることはどの会社でもあるためです。途中で変更された仕事内容をいかに最後まで粘り強く取り組み、達成できたかどうかを評価するようにしましょう。トップの指示をしっかりと判断して仕事に取り組める人材は優秀な傾向にあります。
Q3.業務遂行能力を評価する上で重要なポイントは?
業務遂行能力を評価する上で重要なポイントは実績と実績を残すために費やした時間をしっかりと計測することです。確かに最後までやり切ったということは重要ですが、仕事をやり切るために他の社員の2倍も3倍も時間がかかっていては本末転倒です。社員の適性を計測するためにも、必ず業務遂行にかかった時間を測るようにしましょう。社員にとって明らかに苦手な業務は他の社員よりも時間がかかっているため、適性を考えて仕事を割り振るようにすれば社員は得意業務だけに専念でき、さらに評価を上げることが可能になります。
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