人事評価コメントが書けない原因と書き方のコツ【例文つき】
⇒【マンガでわかる】「360度評価」のメリットやデメリット、失敗しないための導入方法が詳しく学べる資料を1分でダウンロード
人事評価コメントを書くとき、「何を書けばいいかわからない」「正しく伝えられているか不安」と感じたことはありませんか?部下の成長やモチベーションに直結するからこそ、コメント作成には慎重になるものです。しかし、評価に必要なのは完璧な言葉よりも“伝えたい視点”と“具体的な表現”です。本記事では、人事評価コメントが書けない理由から、書きにくい場面での例文、言語化のコツまでを網羅的に解説。実務にすぐ使えるヒントをご紹介します。
目次
なぜ人事評価コメントが「書けない」と感じるのか?
人事評価において「コメント欄が空白になってしまう」「何を書いても抽象的になってしまう」という悩みは、多くの評価者が抱える共通課題です。特に評価コメントは、、本人へのフィードバックであると同時に、組織内の情報共有にもつながる重要な記述項目です。ここでは、「書けない」状態の背景にある原因を整理し、どうすれば言葉にできるのかを見ていきます。
評価コメントを書く材料が不足している状態
部下の仕事ぶりや成果を把握するための情報が不足していると、評価コメントは書きづらくなります。特に1on1やミーティングの機会が少ない場合、行動観察が不十分で具体的なフィードバックが困難になります。さらに、日報や進捗報告が曖昧であれば、事実に基づいた評価ができず、無難な表現に逃げがちです。評価コメントが書けない理由のひとつは、そもそも書けるだけの「材料」が手元にないことにあるのです。
伝え方への不安や心理的ハードル
評価者がコメントを書けないもう一つの要因は、「どう書いたら受け取ってもらえるか」という心理的ハードルです。特にネガティブな内容や改善点を記載する場面では、部下を傷つけないように配慮するあまり、結局何も書けなくなるケースもあります。また、相手が年上や実績ある社員である場合、気後れする評価者も少なくありません。表現次第で評価の納得感が左右されるからこそ、言葉選びに迷い、筆が止まるのです。
抽象的な表現に終始してしまう傾向
「頑張っている」「問題なくこなしている」といった抽象的な表現は、評価コメントとしては説得力に欠けます。しかし、多くの評価者がこれらの表現に頼ってしまうのは、具体的な行動や成果の描写が難しいからです。また、抽象的な言葉は無難に聞こえる一方で、被評価者からすれば「何を評価されたのか分からない」と感じる原因にもなります。コメントが抽象的になるのは、言語化の練度や構造化スキルが求められるからこそでもあります。
人事評価コメントに迷う背景には、「評価そのものの目的」や「進め方」が不明確なままコメント作成に取り組んでしまっているケースもあります。
評価の基本から全体像を把握したい方は、評価のやり方|部下・社員評価の基本と具体的な方法を徹底解説もあわせてご覧ください。
高い回答回収率、自動グラフ化機能による課題解決への即効性が期待できます。
- 目的に合わせたセミオーダーメイド設計
- 専任スタッフのサポートでとにかくカンタン手間いらず!
- 企業の持続的成長を目的とした改善サイクルを実現
人事評価コメントを書くために必要な5つの視点
評価コメントに悩んだときは、表現や言い回しを考えるよりも「どこを見るべきか」を整理することが先決です。言語化は観察があってこそ成り立ちます。ここでは、人事評価コメントを的確に書くために必要な5つの視点をご紹介します。成果・変化・行動・周囲の声など、評価対象を多角的に捉えることができれば、コメントの素材が自然と浮かび上がってくるはずです。
成果・プロセス・行動に着目する視点
人事評価では、単なる成果だけでなく、そこに至るプロセスや日常の行動にも目を向けることでコメントが深まります。「成果」は目標や数値の達成度、「プロセス」は取り組み方や工夫、「行動」は責任感や姿勢といった日常の振る舞いです。これらを分けて捉えることで、「〇〇を達成した上で、□□の工夫も見られた」など、具体性のあるフィードバックが可能になります。見落としがちな行動面にも注目してみましょう。
小さな変化や成長をとらえる視点
目に見える成果がないように感じても、日々の業務には小さな成長が積み重なっています。たとえば「以前よりも報連相が早くなった」「ミスの再発が減った」など、変化の兆しはコメントの材料になります。特に新人や若手に対しては、完成度よりも変化の方向性を見ることが大切です。少しずつできることが増えてきた、周囲との関わりが増えてきた――そんな変化を見逃さないことで、前向きな評価コメントが書きやすくなります。
ポジティブと改善点を両立する視点
コメントを書く際には、良い点と改善点の両方に目を向けることが重要です。一方に偏ると評価としての信頼性が低下します。たとえば「〇〇の点は高く評価できる。一方で△△については今後に期待したい」といったバランス型の表現が効果的です。評価とは“ダメ出し”ではなく“期待”です。改善点も「できていない」ではなく「成長余地がある」と捉えることで、相手の納得感とモチベーション維持につながるコメントになります。
過去との比較から成長を描く視点
過去の状況と比較することで、変化や成長がより具体的に見えてきます。たとえば「昨年は報告が遅れがちだったが、現在は自発的に共有ができている」といったコメントは、単なる状態の記述よりも説得力があります。また、本人にとっても「成長している」と実感しやすくなるため、コメントの意味が深く伝わります。特に長く在籍している社員や、数年にわたる評価対象者に対しては、時間軸の視点を加えると効果的です。
周囲の声を取り入れる多面的な視点
自身の観察だけでなく、同僚や他部署の声なども取り入れることで、より信頼性の高いコメントが書けます。たとえば「チームメンバーからの相談が増えている」「他部署からの信頼が厚い」など、他者評価を言語化することで、本人には見えていない価値を伝えることができます。360度評価のような制度があれば活用し、なければ日常のちょっとした声かけやSlackのやりとりなども有効な情報源になります。
書きにくい場面別|評価コメントの例文
人事評価コメントにおいて特に迷いやすいのが、“書きにくい状況”に直面したときです。成果が見えにくい、改善点をどう伝えたらいいか分からない、年上の部下へのフィードバックに戸惑う――こうしたケースでは、伝え方や視点の工夫が求められます。この章では、評価コメントを書くのが難しいとされる代表的な場面ごとに、表現のヒントや例文を紹介します。共通の型を知っておけば、言葉選びがグッと楽になります。
成果が出ていない部下への評価コメントの例
成果が出ていない部下への評価コメントは書きづらくなりがちですが、「努力」や「改善行動」に焦点を当てると前向きに伝えやすくなります。
例1: 「目標には未達となりましたが、課題に対して自ら調査・提案を行う姿勢が見られました。失敗からの学びを次に活かせる力があると感じています。今後は計画段階での精度を高めることで、成果にも結びつけてくれることを期待しています。」
例2: 「数値としての結果は出なかったものの、顧客のニーズ把握や資料作成において丁寧な対応が印象的でした。継続して振り返りを重ねる姿勢があり、次のチャンスに期待が持てます。」
例3: 「計画に対する実行力が今期は伸び悩みましたが、都度課題を共有し周囲と協力して改善に努めていました。粘り強く取り組む姿勢は評価でき、次期に成果へとつながることを期待しています。」
行動が良いが成果が伴わない場合の例
行動やプロセスが評価できるものの、成果が出ていないときは「プロセスの質」と「今後の伸びしろ」に注目したコメントが有効です。
例1:「計画的な進捗管理とチームへの貢献は安定しており、業務プロセスの最適化にも主体的に取り組んでいました。現時点では成果には結びついていないものの、今後の継続的な改善で結果につながると期待しています。」
例2:「顧客対応において丁寧で安定した対応が継続されており、信頼感の醸成に寄与しています。目標達成には至っていませんが、改善活動が実を結ぶ可能性が高く、今後の成果に期待しています。」
例3:「試行錯誤を続けながらタスクの優先度や手順の最適化に取り組んでいました。チームの意見を積極的に取り入れており、過程の質は確実に向上しています。」
若手・新人社員に対するコメントの例
新人や若手社員に対する評価では、成果よりも“伸びしろ”や“習得のスピード”に注目したコメントが効果的です。
例1: 「業務の理解が進み、指示に対する反応が徐々にスムーズになってきました。特に、同じミスを繰り返さない姿勢から成長意欲が感じられます。今後は、他メンバーへの働きかけにも取り組めると、さらに活躍の幅が広がると期待しています。」
例2: 「入社時と比べて作業のスピード・正確性ともに向上が見られ、日々の努力が実を結びつつあります。分からないことを素直に聞ける姿勢も評価できます。」
例3: 「業務の優先順位付けや対応の工夫が見られるようになってきました。特に忙しい時期に落ち着いた対応ができるようになった点は大きな進歩です。」
年上の部下やベテラン社員へのコメントの例
年齢やキャリアの長い部下に対しては、尊重を前提にした具体的なフィードバックが必要です。言葉選びには注意が求められます。
例1:「豊富な知見を活かして後輩への指導を実施いただき、チーム全体の安定に貢献していただきました。これまでの経験をベースに、今後は組織視点での提案やリーダーシップ発揮にも期待しています。」
例2:「経験に基づいた判断力と的確な対応力が随所に発揮されており、他メンバーの良き手本となっていました。周囲からの信頼も厚く、安心して任せられる存在です。」
例3:「チームの課題に対して自発的に意見を出し、建設的な提案をしていただきました。ご自身の役割にとどまらず、周囲を巻き込むリーダーシップも強く感じられました。」
ネガティブな内容をやわらかく伝える表現例
改善点や課題を指摘する際は、“否定”ではなく“期待”として伝える表現に置き換えると、受け手の納得度が高まります。
例1:「業務の正確性は引き続き安定しています。一方で、タスクの優先順位づけに課題が見られるため、今後は業務全体の流れを意識した対応が求められます。」
例2:「対外対応については一定の丁寧さがありましたが、やや反応が遅れる場面もありました。今後は初動の早さを意識できると、より信頼度が高まると考えます。」
例3:「資料作成の丁寧さは評価できますが、情報の要点をより的確に整理する工夫が求められます。視点を変えることで、さらに伝わりやすい資料となるでしょう。」
評価コメントを言語化するためのコツ
人事評価コメントにおいて多くの人がつまづくのが、「言いたいことはあるけれど、うまく言葉にできない」という壁です。ここでは、抽象的な表現を避け、具体的かつ前向きに伝えるための言い換えテクニックや構文の工夫を紹介します。「何となく頑張っている」や「特に問題ない」では伝わらない微妙なニュアンスも、表現を少し工夫するだけで、読み手にしっかりと届くメッセージに変わります。
抽象的な言葉を具体的な行動に置き換えるコツ
「頑張っている」「問題なくできている」といった抽象的な表現は、伝えたい意図がぼやけてしまうことがあります。具体的な行動や成果、変化の様子に言い換えることで、受け手に伝わりやすい評価コメントになります。具体的なエピソードや数字を添えるだけで、コメントの説得力は格段に向上します。
例1:「業務に前向きに取り組んでいる」→「毎朝一番に出社し、業務開始前の準備を欠かさず行っている」
例2:「特に問題なく業務をこなしている」→「納期を順守し、上長への報告・相談もタイミングよく実施している」
例3:「チームに貢献している」→「会議では必ず発言し、他メンバーの意見をまとめる調整役として機能している」
改善点を前向きに言い換えるコツ
ネガティブに受け取られがちな指摘も、伝え方を工夫すれば建設的なフィードバックになります。「できていないこと」を指摘するのではなく、「こうなればもっと良くなる」という視点で言い換えるのがポイントです。
例1:「段取りが悪い」→「業務全体の流れを意識した計画づくりが求められる」
例2:「報連相が足りない」→「チーム全体の連携を強化するために、情報共有の頻度向上が期待される」
例3:「集中力が続かない」→「業務に波が出やすいため、リズムを保てる工夫を取り入れるとより安定した成果につながる」
否定ではなく期待として伝える表現に変えることで、受け手のモチベーションを損なわずに改善を促せます。
評価コメントを構造的に整理するコツ
評価コメントがまとまらないときは、テンプレートやフレームワークを使って構造化すると書きやすくなります。代表的な構成は「事実→評価→期待」の3段階です。
テンプレート: 「〇〇の場面で、△△という行動が見られた。(事実)その姿勢は□□の点で評価できる。(評価)今後は◇◇な場面での発揮にも期待したい。(期待)」
例1:「顧客対応において、相手の意図をくみ取る提案が多く見られた。丁寧なヒアリング力は高く評価できる。今後はその強みを活かし、顧客への提案書作成にも挑戦してほしい。」
例2:「資料作成の場面で、目的に沿った構成でまとめられていた。限られた時間でも要点を押さえる力があり、今後は部内資料だけでなく社外文書への応用にも期待したい。」
例3:「リーダー不在時に、チーム内の状況を把握し自然に役割分担を進めていた。主体的な行動はチーム全体に良い影響を与えており、さらに広い視点での行動に期待が持てる。」
このように、論理構成を持たせることで、読み手にも伝わりやすく、かつ抜け漏れのないコメントになります。
⇒初めての360度評価導入でも安心!専任担当のサポートでカンタン導入・運用~改善も手間いらず。
人事評価コメントに関するよくある質問(Q&A)
人事評価コメントの作成においては、多くの人が「表現方法」や「書き方のルール」に戸惑います。この章では、特に質問の多いテーマについて、実務に役立つ観点から回答します。
Q1. 評価コメントを書く際に避けるべき表現はありますか?
A. 否定的すぎる表現や、意味が曖昧な言葉は避けるのが望ましいです。たとえば「やる気がない」「普通」「特に問題なし」といった言い回しは、受け手にとって不明確で、誤解を招く可能性があります。コメントには客観的な事実や観察した行動を添え、具体的かつ建設的な内容にすることが基本です。
Q2. 改善点や課題をコメントに含めるのは適切ですか?
A. 適切です。評価コメントは、強みだけでなく改善の方向性も示すことで、本人の成長につながります。ただし、伝え方には注意が必要です。課題を指摘する場合は「〜を期待する」「〜に取り組むことでより良くなる」といったポジティブな言い換えを活用するのが効果的です。
Q3. 評価コメントの文字数に目安はありますか?
A. 明確な決まりはありませんが、1コメントあたり150〜250文字程度が目安とされています。短すぎると具体性に欠け、長すぎると意図が伝わりづらくなるため、「要点+補足説明」という2〜3文程度の構成が適切です。テンプレートを使って構造化すると、バランスよくまとめやすくなります。
Q4. 「問題なし」「特に支障はない」などの表現は使ってもよいのでしょうか?
A. 使用は避けた方が無難です。これらの表現は一見ネガティブではありませんが、具体性に欠けるため、受け手に伝わる情報が少なくなります。「納期遵守を継続しており、作業の安定感がある」など、事実を踏まえて評価することで、より伝わるコメントになります。
人事評価コメントは視点と表現でスムーズに書ける
人事評価コメントに悩んでしまうのは、多くの人が「正解」にとらわれすぎているからかもしれません。しかし、評価の本質は事実に基づき、相手の成長を支援することです。抽象的な表現は具体的に、ネガティブな指摘は前向きに――ちょっとした視点の工夫で、伝わる言葉に変えることができます。本記事で紹介した視点や例文、テンプレートを活用すれば、どんな状況でも評価コメントに迷わず対応できるはずです。
「CBASE 360°」は、株式会社シーベースが提供するHRクラウドシステムです。経営を導く戦略人事を目指す人事向けのお役立ち情報をコラムでご紹介します。