レジリエンスとは?個人や組織のレジリエンスを高めるメリットや方法を徹底解説!
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レジリエンスが高い人はストレスへの適性が高まるだけではなく、変化に対応しやすくなり、パフォーマンスの向上が期待でき、周囲にもよい影響を与えます。しかし、レジリエンスをどのように高めるのか、どのようなものかわからない人も多いのではないでしょうか。
今回はレジリエンスとは何か、ビジネスにおけるレジリエンスの意味や重要性、組織でどのように育てていくかについて、人事・マネジメントの視点を中心に解説します。人材育成にレジリエンスを取り入れたい人事担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
レジリエンスとは
レジリエンスとはポジティブ心理学の観点では回復力を意味する言葉です。具体的には、困難な問題や危険な状態、挫折、ストレスがあっても素早く立ち直れることを示します。
2013年のダボス会議でレジリエンスが取り上げられ、それ以降徐々にビジネスやスポーツの領域で注目を集めるようになりました。このレジリエンスが高いことで、過酷な状況でも対応しやすくなり、変化にも柔軟に対応しやすくなります。
近年では、個人だけでなくチームや組織のあり方としても語られるようになり、レジリエンスは「変化に柔軟に対応しながら成果を生む力」として企業経営の文脈でも注目されています。
レジリエンスとストレス耐性との違い
「ストレス耐性」は外的要因への耐え忍ぶ力を意味しますが、「レジリエンス」はストレスをしなやかに受け止め、自分の価値観や感情を整理しながら前向きに行動を起こす力を指します。つまり、レジリエンスは単なる我慢ではなく、回復と成長の過程を含む適応力であり、現代のビジネス環境では、より能動的な対応ができる人材として評価されやすい特徴です。
レジリエンスと鈍感力との違い
「鈍感力」は気にしすぎずにスルーする力であり、他者の評価や環境の変化に対して感受性を抑えることで自己を守る側面があります。一方、レジリエンスは外部の刺激を受け止めた上で、それにどう向き合い、どう成長に転換するかに焦点を当てています。つまり、鈍感力は防御的な性質が強いのに対し、レジリエンスは自己理解と柔軟性によって積極的に課題に向き合う力です。
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レジリエンスが求められる背景
近年、ビジネスの現場では「レジリエンス」という言葉が急速に注目を集めています。急速な技術革新や社会構造の変化、そして不安定な経済状況の中で、ビジネスパーソンには環境の変化に柔軟に対応できる力が強く求められています。レジリエンスは、従来の能力やスキルとは異なり、予測不能な状況を乗り越えるための内面的な適応力として注目されています。
VUCA時代における適応力の必要性
変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)からなる「VUCA」の時代において、変化に柔軟に対応する適応力がビジネスパーソンに求められています。このような環境では、過去の成功体験が通用しないケースも多く、状況に応じた判断と行動が必要です。レジリエンスは、未知の状況でも自分を見失わずに対応し、組織の一員として持続的に価値を生み出すための基盤となる力です。
ビジネス環境の不確実性への対応力
グローバル競争やテクノロジーの進化、社会情勢の変化によって、ビジネス環境はますます不確実性を増しています。これにより、固定的な戦略やルーティンワークだけでは通用しにくくなっています。予期せぬトラブルや方針転換にも対応できる人材には、自己を立て直し再構築する力が不可欠です。レジリエンスは、組織の変化に対する心理的柔軟性と、成長志向を持った行動力を支える重要な要素です。
心理的ストレスへの対応力
働き方改革やテレワークの普及により、個人のストレスが見えづらくなる中、企業ではメンタルヘルス対策が急務となっています。レジリエンスは、ストレスと向き合いながらも自己回復力を発揮し、健全な精神状態を保つ能力として注目されています。単なる感情の抑制ではなく、自分の感情を理解し、冷静にコントロールすることで、仕事の生産性や人間関係の質を高めるメンタルスキルのひとつとされています。
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レジリエンスの3因子
ビジネスの現場においてレジリエンスが注目される背景には、ストレスや変化に柔軟に対応できる心理的資質への関心が高まっていることがあります。中でも「新奇性追求」「感情調整」「肯定的な未来志向」の3因子は、現代の複雑な環境下で求められるレジリエンスの構成要素として有効です。それぞれの因子が、ビジネスパーソンの適応力や回復力にどう影響するかを解説します。
新奇性追求
新奇性追求とは、新しい経験や刺激に対して興味を持ち、自ら進んで挑戦する姿勢を指します。この因子が高い人は、不確実な状況や未知の課題にも臆することなく前向きに取り組み、環境の変化をチャンスとして捉えることができます。ビジネスでは、変革の波に柔軟に乗り、自己成長の機会を見出す力として評価されやすい特性です。変化を恐れずに行動できるこの資質が、レジリエンスを支える大きな柱となります。
感情調整
感情調整は、ストレスや不安、怒りといったネガティブな感情を適切に処理し、冷静な判断や行動を可能にする力です。この因子が高い人は、自分の感情の波に流されず、状況を客観的に捉え、理性的な対応を維持できます。職場でのトラブルやプレッシャーの高い場面でも安定した対応ができるため、チーム内の信頼にもつながります。レジリエンスにおいては、心の安定と柔軟な思考を支える根幹の要素といえます。
肯定的な未来志向
肯定的な未来志向とは、困難な状況でも未来に希望を見出し、自分の力で状況を変えていけると信じる心理的傾向です。この因子が高い人は、逆境の中でもポジティブな目標を持ち、自らの努力によって未来を切り拓こうとします。ビジネスにおいては、失敗からの立ち直りや長期的な成果への粘り強さに結びつきます。この希望を持ち続ける力が、レジリエンスを持続的に発揮させる原動力となります。
レジリエンスの6つのコンピテンシーの特徴
レジリエンスは内面の特性だけでなく、行動として表れるスキルや能力によっても育まれます。ここでは、レジリエンスを実務で発揮するために必要な「6つのコンピテンシー(行動特性)」を紹介します。これらは、個人の適応力・回復力を構造的に理解し、職場や日常で活かすための視点となります。
自己認識力
自分の思考・感情・行動パターンに気づく力。ストレスや逆境下でも、自分の状態を冷静に把握し、適切な対応に結びつける出発点となります。
自己調整力
感情や衝動をコントロールし、冷静さを保つ力。トラブル時でも一貫性のある行動が取れ、周囲との信頼関係を維持できます。
思考の柔軟性
状況を多角的に捉え、柔軟に対応策を考える力。物事を固定的に見ず、変化を前向きに受け入れる姿勢を支えます。
楽観性
困難な状況でも希望を持ち、未来に可能性を見出す力。単なるポジティブ思考ではなく、現実を見据えた上での前向きさです。
自己効力感
「自分には乗り越える力がある」と信じ、主体的に行動できる感覚。挑戦や問題解決に取り組む原動力になります。
人間関係構築力
信頼関係を築き、必要なときに助けを求められる力。孤立を避け、支援を得ながら行動するための基盤です。
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従業員のレジリエンスを高めるメリット
従業員がレジリエンスを高めることは、ストレス耐性だけにとどまらず、仕事や人生における困難にしなやかに対応し、継続的に成長する力を手に入れることにつながります。自己理解の深化や感情の安定、そして対人スキルの向上は、職場や私生活においてポジティブな影響を及ぼします。ここでは、従業員のレジリエンスを高める代表的なメリットを3つに分けて解説します。
ストレス耐性の向上
レジリエンスが高まると、プレッシャーやトラブルに冷静に対応できるようになります。感情に振り回されず、心のバランスを保てることで、仕事の集中力や判断力の安定にもつながります。小さな不調に早めに気づけるようになるため、心身のセルフケアにも役立ち、長期的に安定したパフォーマンスを維持できるようになります。
主体性の強化
困難な経験を乗り越える力がつくことで、「自分ならできる」という感覚が養われ、行動への自信と意欲が高まります。他人や環境に依存せず、自ら課題に取り組む姿勢が身につくことで、キャリア形成にも前向きな影響を与えます。状況に応じた判断や選択がしやすくなり、より主体的で柔軟な働き方が可能になります。
主体性の強化
困難な経験を乗り越える力がつくことで、「自分ならできる」という感覚が養われ、行動への自信と意欲が高まります。他人や環境に依存せず、自ら課題に取り組む姿勢が身につくことで、キャリア形成にも前向きな影響を与えます。状況に応じた判断や選択がしやすくなり、より主体的で柔軟な働き方が可能になります。
人間関係の向上
レジリエンスが高い人は、人間関係によい影響を与えます。感情のコントロールができ、ポジティブな考えができること、自己肯定感が高いことが主な要因でしょう。人間関係のトラブルがあった場合にも、相談役になれ、前向きな解決につながりやすくなります。
レジリエンスが高い人がいることで、周囲の人のレジリエンスも高めます。
組織でレジリエンスを高めるメリット
変化の激しい時代において、組織全体のレジリエンス向上は、安定した経営基盤の構築に欠かせません。心理的安全性の確保、離職リスクの低減、危機への柔軟な対応力といった複数の面で、組織全体に持続的な好影響をもたらします。
心理的安全性の向上
組織でレジリエンスが育つと、失敗や不安を共有しやすい環境が生まれます。メンバー同士が本音で話し合えることで、心理的安全性が高まり、チーム内の信頼や連携も強化されます。こうした風土は、挑戦や創造的な意見を後押しし、職場全体の活性化につながります。変化の多い時代にこそ求められる組織の土台です。
離職防止と定着率の向上
レジリエンスの高い職場では、ストレスや不満の早期対応が可能となり、従業員が安心して働き続けられます。職場への信頼感が強まることで、離職のリスクも下がり、人材の定着率が上がります。結果として、採用・育成のコスト削減やチームのノウハウ蓄積が進み、長期的な組織の安定性にも貢献します。
危機対応力の強化
変化の激しいビジネス環境において、レジリエンスの高い組織は予期せぬトラブルにも柔軟に対応できます。従業員一人ひとりが前向きに行動できることで、組織全体が迅速かつ一体的に動けるようになります。不測の事態にも崩れにくい体制が整えば、競争力の維持や事業継続性の確保にもつながります。
レジリエンスにおける危険因子と保護因子
レジリエンスの育成には、単にスキルを高めるだけでなく、それを支える「土壌」を整える視点が欠かせません。実際には、個人や組織を取り巻く環境や要因が、レジリエンスを高めることもあれば、逆に妨げることもあります。ここでは、レジリエンスに影響を与える2つの重要な視点、「危険因子」と「保護因子」について整理し、育成の基盤を考察します。
危険因子(リスクファクター)
危険因子とは、レジリエンスの発揮を妨げる要因のことを指します。たとえば、慢性的な業務過多、曖昧な役割分担、不安定な人間関係、心理的サポートの欠如、あるいは過去の失敗体験やトラウマなどが該当します。こうした環境では、個人が本来持つ回復力や前向きさが発揮されづらくなり、離職やバーンアウトといった深刻な影響につながる可能性があります。組織としては、こうしたリスク要因の早期把握と改善が不可欠です。
保護因子(プロテクティブファクター)
保護因子は、レジリエンスを支えるポジティブな環境・資源のことです。たとえば、心理的安全性のある職場、上司や同僚からの信頼・支援、自己効力感を育む経験、明確な役割期待、柔軟な働き方などが該当します。保護因子が豊かな環境では、個人は困難に直面しても安心感を持って対応でき、むしろ成長の機会として活かせます。組織が意識的に保護因子を整備することが、長期的な人材の安定と成果につながります。
従業員のレジリエンスを高める方法
レジリエンスは生まれつきの資質だけでなく、後天的に育てることができる力です。従業員が変化や困難にしなやかに対応し、安定したパフォーマンスを発揮するためには、レジリエンスの育成が欠かせません。企業としては、特別な能力のある人材だけに頼るのではなく、誰もが回復力を発揮できるような支援が必要です。ここでは、従業員のレジリエンスを高めるために有効な3つのアプローチを紹介します。
自己理解を深める内省と対話
レジリエンスを育てるには、まず自分自身の感情や思考、ストレス反応を把握する「自己認識」が重要です。そのためには、日報や内省ワークシートの活用、1on1での対話機会の提供などが効果的です。上司や同僚とのフィードバックの場を通じて、自身の状態に気づきやすくなり、対処スキルが身についていきます。定期的な内省の機会を用意することは、レジリエンス育成の第一歩です。
自己効力感を育てる
「自分にはできる」という実感=自己効力感は、レジリエンスの中核を成します。その感覚を育てるには、業務の中で達成可能な課題を設定し、成功体験を積むことが重要です。いきなり大きな目標を立てるのではなく、1日1つ「やれた」と思える小さな行動を決めてみましょう。この成功体験の積み重ねが「自分はやれる」という感覚=自己効力感を育て、困難にも前向きに取り組む心の基盤になります。
小さな習慣による継続的な積み上げ
レジリエンスを高めるには、日々の小さな行動を継続することが大切です。たとえば、十分な睡眠や運動、感謝の習慣、ポジティブな言葉を意識することなど、心と体の健康を保つ工夫が効果的です。また、困難を乗り越えた経験を振り返り、自分の成長として捉える姿勢もレジリエンスを強化します。特別なことではなく、日常生活の中にある習慣が、しなやかな心を育てる土台となります。
組織全体でレジリエンスを高める方法
組織の課題を把握し改善する
組織の課題を把握し、改善することがレジリエンスを高めるのに効果的です。組織の制度や環境に不満がある状態にあると、組織としてのレジリエンスが低い状態といえます。労働環境が整っていなければ、レジリエンスを高めようとしても、効果が十分に発揮されません。
しかし、組織の課題を適切に分析するのは簡単ではありません。そのような場合は組織診断のサービスを利用し、客観的に課題を把握するのが効果的です。
悩みや課題を相談しやすい環境
悩みや課題を相談しやすい環境であれば、レジリエンスが高まります。何らかの発言や相談を安心してできると、心理的安全性を感じることが大きな要因です。
具体的には組織風土として「挑戦を奨励する環境を作る」、「社内コミュニケーションを活性化する」などの取り組みがあるでしょう。また、メンター制度やフィードバック面談もおすすめです。下記の参考記事もご参照ください。
参考:心理的安全性で強い組織を作ろう ぬるま湯ではない良い組織の作り方を徹底解説!
レジリエンスが高い人の5つの特徴
レジリエンスが高い人は、変化や逆境に直面しても前向きに対応し、再び立ち上がる力を持っています。こうした人々には共通する行動や思考のパターンが見られ、ビジネスシーンでも高く評価される傾向にあります。以下は、レジリエンスが高い人に見られる代表的な特徴です。
1.感情をコントロールできる冷静さ
ストレスやプレッシャーに直面しても、感情的に反応せず、冷静に状況を判断して行動できます。
2.柔軟な思考と現実の受容力:
予想外の事態にも対応し、自分の考えを修正したり新たな視点を受け入れる柔軟さがあります。
3.前向きな姿勢と行動力
困難を乗り越える過程を「成長の機会」と捉え、すぐに次の行動に移す力を持っています。
4.人とのつながりを大切にする姿勢
他者と信頼関係を築き、必要に応じて支援を求めるなど、孤立せずに協力することができます。
5.自己理解と内省に基づく対応力
自分のストレス傾向や価値観を把握しており、その時々の状況に応じて行動や思考を調整できます。
これらの特徴を持つ人材は、変化の激しい時代において組織を支える重要な存在となります。
まとめ
レジリエンスを高めることで従業員は変化に柔軟に対応でき、パフォーマンスを発揮しやすくなります。特に変化が多い業界では重要な資質の一つです。大切なのは、特別な才能に頼るのではなく、日常の中で気づきと実践を積み重ねることです。これからの変化の時代を生き抜くために、レジリエンスを「育てるべき力」として、個人・組織ともに意識して取り組むことが求められます。
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