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360度評価を徹底解説!メリット・デメリット、運用方法や評価項目を紹介

360度評価とは?メリット・デメリット、運用方法や企業の導入事例を解説

360度評価とは、評価対象者を上司や同僚、部下といった立場の異なる複数の従業員が評価する人事評価の手法です。

多面的な視点で従業員の評価を行う「360度評価」は、一般的な評価制度と比較して公平性や客観性に優れた方法になっています。

従業員一人ひとりが異なる立場からの評価を受け、そのフィードバックからパフォーマンスを把握することが可能です。さらに、従業員それぞれの能力向上に影響を与えるため、人材育成としても非常に有効です。

この記事では、360度評価を導入する際のポイント、メリットやデメリット、360度評価の導入手順や評価項目(管理職向け・一般職向け)などについて分かりやすく解説していきます。

また、シーベースで独自に調査した360度評価に関するアンケートデータから分かる人事担当者の声や、シーベースの360度評価システム「CBASE 360°」を導入している企業の事例など、現場の声も紹介していますので参考にしてみてください。

【この記事でわかること】
・360度評価とは、上司からの評価だけではなく、同僚、部下、他の部署の社員など、評価対象者に関わるあらゆる立場の人が評価を行うこと制度
・360度評価を正しく実施するためには、360度評価システムの導入が効果的
・客観的で公平な評価ができるようになるなど、様々なメリットがある
・導入から運用までに、時間や費用のコストが発生するといったデメリットがある
・6つのステップで導入できる
・管理職と一般職向けに評価項目が分かれている
・正しく運用できない場合、従業員のモチベーションが低下するといったリスクがある
・導入目的をや運用計画を従業員に周知するなど、効果的に運用するためのポイントがある

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目次

360度評価とは

360度評価とは

360度評価とは、従業員の評価をより多面的なものにする手法です。従来の評価方法とは異なり、上司からの評価だけではなく、同僚、部下、他の部署の社員など、評価対象者に関わるあらゆる立場の人が評価を行うことが特徴です。

360度評価は複数の視点から従業員を評価することで、より客観的で公平な評価が可能になります。上司からの評価だけでは特定の視点や偏った評価が生まれやすく、従業員自身や他の関係者にとって納得しにくい場合があるためです。

しかし、360度評価では異なる視点からの評価が組み合わさるため、より客観的な結果が得られます。

メリットの多い評価方法ですが、実施するためには体制づくりが必要であることや、管理コストも発生します。紙やExcelを使用した手作業での管理だと時間と労力を膨大に必要とするため、360度評価システムの導入や効率化が重要です。

適切なツールを活用し、評価プロセスをスムーズにすることで、360度評価のメリットを最大限に活かすことができます。

360度評価の基礎知識を、下記で詳しく解説していきます。

【360度評価導入前の基礎知識】
・注目される背景
・導入する目的
・360度評価システムで効果的な運用ができる

注目される背景

現代社会は絶え間なく変化している時代であり、この動きの中心には「VUCA」という言葉があります。VUCAは、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)の頭文字をとったもので、現代社会を表している言葉です。

多くの企業や組織がこの変動の中でどのように適応していくかを模索しています。特に注目されているのが、どうやって従業員の業績や貢献を評価し、適切な評価をするかという点です。

元々、企業内での評価は上司の主観に大きく依存していました。しかし、近年の働き方の変化、特にテレワークやリモートワークの拡大により、これまでの評価方法では適切な評価が難しくなってきました。

そんな中、注目を集めているのが360度評価です。一人の上司の意見だけではなく、周りの多くの人、例えば部下や同僚からの意見や評価を取り入れることで、より全体的で公正な評価が可能になります。これまでは年功序列や上司との人間関係が評価の大きな要因となっていましたが、現代社会ではそのような主観的な評価ではなく、公平性や客観性が求められています。

さらに、現代の働き方や組織の構造が複雑化してきており、一方的な評価が難しい現状があるため、多面的な視点からの評価が求められています。このような背景から、360度評価は今、多くの企業や組織で注目されているのです。

これからの時代、企業や組織がさらなる成長や発展を遂げるためには、公平で客観的な評価方法の導入は欠かせない要素となります。

シーベースで独自に調査した360度評価に関するアンケートデータから、下記の通り導入率は全体で6割弱となっており、従業員が多いほど導入率は高まり、5,000名以上の企業では66%が導入済みです。

360度評価の導入率

大企業ほど人材個々の状況が見えにくいため、360度評価を組み込んで可視化していると考えられます。

導入する目的

360度評価の主な目的は、多面的な視点からの公正な評価を行うことです。一般的に考えられる評価制度というと、上司が部下を一方的に評価する形が多いですが、こういったシンプルな評価方法では、上司の主観や偏見、または上司と部下の関係性など、さまざまな要因によって評価が左右されてしまうことが考えられます。

たとえば、部下としては業務における能力は高いのに、上司との関係性が薄いと不当に低い評価を受けることもあれば、逆に関係性が深いと過度に高い評価を受ける可能性もあります。

また、一部のスキルや才能に目を向けがちで、他の大切な点を見落とすリスクもあります。このような偏った評価を避けるために、360度評価は上司だけでなく、同僚や部下、場合によっては外部の関係者からも評価を収集し、評価対象者をしっかりと把握することができます。

360度評価は、評価に対する従業員の納得感が向上します。多くの人の意見や視点が取り入れられるため、評価結果に対しての信頼性が高まるためです。そして、その評価を通じて自分自身の長所や短所、そして改善すべき点を多角的に知ることができます。

特に管理職やリーダー職にとっては、部下や同僚からのフィードバックを元に、日常の業務指示やマネジメントの方法を見直すことができるので、組織全体の効率や生産性向上にも良い影響を与えます。また、この360度評価は公平性が高いため、従業員同士の信頼関係や従業員と企業との信頼関係の強化にも役立ちます。

ただし、360度評価を適切に実施するためには、評価の目的を明確にする必要があります。評価の主な目的が「人事評価」であるのか、「人材育成」であるのかによって、評価の取り組み方やフィードバックの方法が変わってきます。

特に人材育成を目的とする場合は、評価結果を直接の人事評価に使用しないよう注意が必要です。

また、シーベースでは、360度評価を導入している企業の人事担当者241名に「360度評価の実施で満足している点」を聞き、ランキングにしました。

360度評価導入企業に聞いた目的と効果

実際の導入企業では、従業員のパフォーマンス向上や、部署間や異なる立場でのコミュニケーションの活性化など、360度評価が企業内での様々な組織課題に対して効果的であることがわかります。 

360度評価システムで効果的な運用ができる

360度評価では評価者となる社員の数が増えるため、アンケートの作成や回収、結果の集計など、評価に関する事務作業が膨大になります。

具体的には、Excelで評価を管理しようとすると、シートが増えデータが分散して管理が大変になることが考えられます。

そこで、360度評価の運用を効率的に行うために必要なのが、360度評価システムです。

360度評価システムを利用することで、アンケートの配布や回収を自動化でき、集計結果も自動的にレポートを作成することが可能です。管理者の事務作業を大幅に軽減できるため、360度評価の運用に最適なツールとなります。

また、システム上で評価データを一元管理できるので、評価結果を人事考課や社員教育に活用しやすくなります。360度評価の目的の1つである「人材育成」につなげることができるのです。

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360度評価のメリット

360度評価は、上司だけでなく、同僚や部下、時には顧客からの意見も取り入れることで、従業員の活かしきれていない能力や改善点が明確になるだけではなく、従業員のエンゲージメント向上や人間関係の問題解決にも役立つというメリットがあります。

360度評価を導入することによる下記のメリットを、それぞれ詳しく解説していきます。

【360度評価のメリット】
・客観的で公平な評価が可能になる
・改善点や活かしきれていない能力に気づくことができる
・従業員のエンゲージメントを向上させることができる
・上司からの評価だけを気にする必要がなくなる
・パワハラなど職場の人間関係の問題が見つけやすくなる
・管理職の育成に効果的

客観的で公平な評価が可能になる

360度評価は多方面からのフィードバックを取り入れるため、客観的な評価が可能となります。

これまでの評価方法は、大きく上司の主観が色濃く反映されることが多くありました。そのため、従業員としては自分がどのように評価されているのか、不明確で不安に感じることも少なくありませんでした。

360度評価が有効なのは、従業員が公平な評価を受けることができ、自分自身の成長やモチベーション向上に繋がるからです。これは企業にとっても大きなメリットとなります。公平な評価がされることで、社員の能力やスキルを正しく認識し、正しい場所で活躍させることができるようになります。

改善点や活かしきれていない能力に気づくことができる

360度評価の導入により、従業員自身の成長の手がかりを発見することが可能になります。

360度評価では上司だけでなく同僚や部下、時には顧客からの評価も取り入れるため、自分の改善点や持っている能力に気づきやすく、それを活かす方向でキャリアを考え直すきっかけになります。

また、自分で自己評価を行った結果と他者からの評価が大きく異なることもあります。このギャップを知ることで、自分の認識のズレを矯正して、より客観的な自己理解ができるようになります。

これは企業側のメリットでもあり、従業員の意外な能力や改善点を発見し、それをもとに新しい人材育成の取り組みや方針を考えることができます。

従業員のエンゲージメントを向上させることができる

企業や仕事への熱意など、従業員のエンゲージメントを向上させることができます。

360度評価によってポジティブな意見を受けることによって、自分の職場やチームメンバーに対する信頼が深まるようになります。

さらに、自分自身が評価する立場としても参加できるため、従業員は「自分の思いや感じたことが、しっかりと会社に伝わっている」という実感を得ることができます。

こういったエンゲージメントの向上は、企業全体の生産性を高めたり、従業員のスキルアップやチームの連携をより強くする効果があります。さらに、良好な職場環境が作られるようになるため、結果として従業員の退職を防ぐ役割も果たします。

上司からの評価だけを気にする必要がなくなる

これまでの人事評価は、多くが上司による一方的な評価でした。その結果、上司が良ければそれで良しという、多少偏った状況が生まれがちとなっていました。これにより、「上司の気持ちや意向だけを重視する」ような姿勢を持つ社員が多くなってしまいます。

そのような状況を解決するための手段として360度評価が役に立ち、評価の視点が上司だけでなく、同僚や部下、他部署の人、さらには外部の顧客まで、さまざまな角度からの意見や評価が取り入れられます。

つまり、360度評価であれば「多角的な視点」からの評価を受けられるため、公平性が大きく向上します。社員一人ひとりが様々な人からフィードバックを受けることで、自分自身の役割や責任についての認識が深まります。

パワハラなど職場の人間関係の問題が見つけやすくなる

360度評価によって、パワーハラスメントなど職場のさまざまな人間関係の中で起きる問題をすぐに見つけることができます。360度評価は多くの人からの評価を集めるため、これまでの評価方法では見落とされがちな部分もしっかりと評価することができるためです。

例えば、Aさんが部署内で少数派の意見を持っていて、それが多数派の意見と異なるためにいじめの対象になっていたとします。これまでの上司だけの評価では、このような問題は見落とされる可能性が高いですが、360度評価の場合、部下や同僚からのフィードバックによりAさんの状況が明らかになり、すぐに対策を打つことができます。

管理職の育成に効果的

360度評価は管理職の育成に対しても効果的です。管理職が自身の行動やマネジメント手法を、同僚、上司、部下といった様々な視点から評価されることにより、自分の強みや改善点を客観的に把握し、その結果をもとに改善策を立てることができるためです。

管理職は組織の中で重要な役割を担い、チームや部署のパフォーマンスを大きく左右する存在であるため、管理職が成長することは会社全体の成長に繋がります。360度評価を利用することで、管理職は自身の行動や業務へのアプローチを様々な視点から見直し、客観的な自己分析を行うことができます。

これにより、主観的な認識と他人からの認識とのギャップが明確になり、その差を埋めるための行動ができるようになります。

360度評価をされた管理職には、フィードバックが非常に重要です。フィードバックを受けることで具体的な改善策を立てやすくなり、自身の行動やマネジメント手法を改善するきっかけとなります。

また、上司と部下の間の信頼関係の構築にも影響します。360度評価を通じて部下からの評価を受けることで、上司は部下がどういった見方をしているのかを把握することができ、今後はより効果的なコミュニケーションが取れるようになります。

360度評価を実施するには、評価ポイントを明確にし、管理職特有の役割に対する評価を適切に行う必要があります。

リーダーシップやメンバーの育成能力、マネジメントスキルなど、管理職に求められる具体的な能力に焦点を当てた評価を行う必要があります。さらに、フィードバックは具体的に行い、評価された管理職が明確な改善策を実施できるように360度評価を設計することも重要です。

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360度評価のデメリット

360度評価にはメリットだけでなく、いくつかのデメリットも存在します。特に導入初期や運用段階においては、従業員の混乱や評価のズレ、コストの増加など様々な課題が出てくることが予想されます。

また、従業員一人ひとりの評価スキルや意識、上司と部下のコミュニケーション不足、さらには組織内の人間関係まで、360度評価を上手く活用するためには課題も知っておく必要があります。

導入を検討する際には十分な準備が必要です。主に下記のような360度評価のデメリットに焦点を当て、具体的な問題点とその対策方法について詳しく解説していきます。

【360度評価のデメリット】
・導入から運用まで時間や労力が必要
・評価に慣れていない従業員が評価を行うことは難しい
・上司の指導が甘くなってしまう可能性がある
・人間関係によって偏った評価になる場合がある
・従業員の間に不信感が生まれてしまう場合がある

導入から運用まで時間や労力が必要

多くの人が評価に関わることはデメリットにもなり得ます。

各従業員が多くの評価を行う必要があり、多くの時間や労力を必要とします。たとえば、ある部署のAさんを評価するとき、同僚はもちろん、上司や他部署の人までが評価することになるため、評価を集め最終的にまとめるまでの過程はかなりの時間とコストがかかるのです。

さらに、360度評価を正しく実施するためには、人事や専門のチームが導入背景や運用手順などをしっかりと全従業員に伝える必要があります。フィードバックシートの適切な使用方法や、どのように客観的な評価を行うかなど、具体的な案内が必要となります。

導入の初期段階では、360度評価に従業員が慣れるまでの期間や、明確な評価基準を定めるための教育などのコストが発生します。さらに、運用を始めてからも、その運用方法を改良し、より質の高い評価を行うためのPDCAサイクルの実施や、プロジェクトの進行管理など継続的な取り組みが必要です。

評価に慣れていない従業員が評価を行うことは難しい

多くの従業員が「評価を行う」という新たな役割を担うことになりますが、これは簡単なことではありません。というのも、評価を行う上での自分自身の感情や、偏見を全て無くすことは難しいからです。

その結果、親しい同僚や不仲な関係の同僚、さらにはあまり知らない人への評価が事実よりも主観に基づいたものとなるリスクが高まります。

さらに、評価のスキルや経験を持たない多くの従業員が評価に関わることで、その評価がどれだけ客観的であるのか、公平性が保たれているのかという点が疑問視されます。

匿名での評価が行われますが、評価者が誰であるかを被評価者が推測することも考えられます。その結果として正直な意見が伝わらない、あるいは遠慮がちな評価がされてしまうことも無視できません。

加えて、お互い良い評価をするための事前の打ち合わせ、いわゆる「根回し」を行う従業員が現れることも予測されます。このような行動が増えると、360度評価が目指す理想的なフィードバックを得る目的が損なわれてしまいます。

評価の公平性や客観性を確保するための取り組みが360度評価の導入には必要で、従業員一人ひとりの意識向上や教育の徹底を意識する必要があります。

上司の指導が甘くなってしまう可能性がある

上司が部下からの評価を過度に意識し、その結果、指導が甘くなってしまう場合があります。

従業員は、自分の直接の上司の業務内容全てや背景などを完全には把握していないことが多いです。そのため、上司が部下のために厳しい指導を行っても、その背景や目的が部下に十分に伝わらなければ、単に「厳しい上司」という印象を持たれる恐れがあります。

このような状況が続くと、上司自身が「部下からの評価が低くなるのでは?」という危機感から、指導を控えめにする、もしくはその指導自体を避けるようになる可能性が考えられます。

指導の質が低下することは、長期的に見れば組織の成長やその中で働く従業員たちのスキルアップを妨げることに繋がります。

この問題を解消するためには、部下が上司を評価する際の項目の精査や、上司と部下の間のコミュニケーションをさらに充実させることが必要です。具体的には、評価の項目を明確にすることで、部下が上司の業務内容や背景を理解しやすくするとともに、上司と部下の間での意見交換やフィードバックの機会を増やすことで、お互いの理解を深める取り組みが必要です。

人間関係によって偏った評価になる場合がある

社内の人間関係によって偏った評価になってしまう場合があります。人間関係の影響を受けやすく、仲の良い同僚への評価が甘くなるケースや、逆に仲の悪い同僚への評価が厳しくなる傾向があります。

さらに、360度評価の特徴として多くの人からの評価が求められるため、実際に業務内容をよく知らない部署や役職の人からのフィードバックも含まれることがあります。これが原因となり、業務の内容や実績に沿った評価が難しくなる場合もあるのです。

その結果、評価が曖昧になり、フィードバックの価値が薄れてしまうリスクが考えられます。

従業員の間に不信感が生まれてしまう場合がある

評価の過程で、評価者同士の間に不信感が生じるリスクがあります。

不信感が生まれてしまう主な原因の一つは、評価の公平性や透明性欠けてしまうことです。評価基準が不明確であったり、評価プロセスが不透明であったりすると、従業員は自身の評価に対して不信感を持つようになります。これにより、評価し合う従業員同士に亀裂が入ってしまいます。

360度評価の導入手順

360度評価はシステムを導入するだけでは効果的に運用することは難しくなっています。正しく効果的に運用するためには、導入からその運用までの手順を理解しておく必要があります。

ここでは、下記の360度評価の導入から効果的な運用までのステップを分かりやすくご紹介します。

【導入手順】
・STEP1:従業員満足度調査で現状把握
・STEP2:評価方法を検討する
・STEP3:シミュレーションを実施
・STEP4:シミュレーションで出てきた問題点を解決する
・STEP5:360度評価導入の目的や背景を従業員に伝える
・STEP6:360度評価の開始とフィードバック

STEP1:従業員満足度調査で現状把握

まず、従業員満足度調査を行うことで、日々の業務中に社員がどの部分でストレスや不満を感じているのか、その原因や背景を具体的に知ることができます。

こういったデータは、経営者や人事部門にとって非常に貴重な情報です。こうした不満や問題点を先に把握しておくことで、360度評価を導入する際の問題を最小限に抑え、導入をスムーズに進めることに繋がります。

さらに、従業員満足度調査を元に、360度評価の評価項目をより細かく設計することができます。具体的な不満や要望を把握しておくことで、評価の質や精度を高めるための設問を作成しやすくなり、結果として360度評価制度全体の効果や信頼性を上げることができます。

STEP2:評価方法を検討する

従業員満足度調査で得た現場の声や、日常的な不満点や要望などをしっかりと把握し、評価項目の設定や評価方法を調整しましょう。会社がどのような理念を持っているのか、どのような方向性を目指しているのか。これらの視点から、評価の中心となる項目を設定する必要があります。

例えば、社員にどのような役割や業務に焦点を当てて取り組んでもらいたいのか、これらを明確にしておくことで後々の評価が的確に行なえます。

360度評価は多面的な視点からのフィードバックが特徴です。そのため、評価項目や基準が曖昧であると、後々の運用で混乱を招く可能性があります。この運用のスムーズさが、結果として360度評価の品質や効果を高める要因となります。

評価項目や基準を設定する過程に充分な時間をかけ、関係者との議論を重ねることが必要です。様々な意見や視点を取り入れることで、より実践的で有効な評価方法を構築することができます。

STEP3:シミュレーションを実施

設定した評価方法をいきなり現場で適用するのは、様々なトラブルの原因となることが多いのです。

ここで大切なのが「シミュレーション」を行うことになります。シミュレーションとは、ある程度限定された範囲や条件下での模擬評価のことを指します。シミュレーションを行う理由は、現場で起こり得る様々な問題を早めに察知し、その対策を練るためです。

たとえば、360度評価期間中に想定していたフィードバックが期待通りに得られないことや、管理職や担当者が評価方法や手順について迷うといったシチュエーションが考えられます。

そうした事態をあらかじめ防ぐためには、実際の運用前に一部の部署やチームでシミュレーションを行うのがおすすめです。シミュレーションによって、事前に起こる可能性がある課題や問題点を見つけ出し、対策を立てることができます。これにより、評価の実施がスムーズに行われ、計画どおりに進められる確率が上がります。

さらに、360度評価を担当する従業員にとってもこのシミュレーションは効果的です。というのも、実際のデータや状況をもとに、評価項目の妥当性や質問内容の再検討など、より細かな検討が可能になるからです。

段階的に進める方法は、360度評価の質を高めるためには重要な工程です。

STEP4:シミュレーションで出てきた問題点を解決する

シミュレーションから得られたデータをもとに、具体的な問題や課題をリストアップしましょう。その中でも、特に重要な課題に優先的に取り組むことが重要です。

課題ごとにアクションプランを立て、それを基に取り組みを開始します。担当者や期限を設け、計画的に進めることが大切です。

課題に対して実施した解決策の結果を評価し、必要であれば再びシミュレーションを実施して、効果を確認しましょう。

360度評価を成功させるためにはしっかりとした準備と計画が必要で、特にシミュレーションの段階で隠れた問題を早めに発見し、適切に対応することで評価制度の効果的な運用が可能になります。

STEP5:360度評価導入の目的や背景を従業員に伝える

360度評価を実際に導入する段階で、なぜ必要なのか、どのような目的があるのかを従業員に明確に伝える必要があります。評価制度の背景や目的が十分に理解されないまま進められると、単に上層部からの指示として受け止められ、効果的に運用することが難しくなってしまうからです。

さらに、具体的な評価の方法や期間、対象者の範囲など、実際の進行に関する詳細をしっかりと社員全員に伝えることが大切です。これにより、360度評価制度に対する不安や疑念を早い段階で取り除き、スムーズな運用を行うことができます。

360度評価が匿名で行われることも周知しましょう。率直な意見やフィードバックを得るためには、その回答が匿名であることを保証することが欠かせません。

STEP6:360度評価の開始とフィードバック

360度評価のフィードバックレポート

360度評価を開始します。評価のために対象となる社員にアンケートを手渡しする方法や、専用のオンラインページから回答する方法が一般的です。

この際、全員の意見や感想を期間内にしっかりと集めるためには、繰り返しアンケートの回答をするようリマインドする必要があります。

その後は結果を踏まえ、360度評価のフィードバックを開始します。フィードバックの方法は企業や組織によって様々で、被評価者のみに結果を共有するものから、被評価者の上司も交えて結果を共有する方法まであります。

上司を360度評価のフィードバックに参加させることにより、どの部分での改善が必要か、そしてどのようにその改善を進めるべきかについてのアドバイスや指導がスムーズに行われるようになります。さらに、評価の結果に応じて全体の社員に公開する場合や、特定の項目でのスコアが期待値を下回った社員に対して、必要に応じた研修や指導を実施するといった企業もあります。

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360度評価の管理職向け評価項目例

360度評価の評価項目例

360度評価の管理職向け評価項目は、企業での管理職の能力や業績を幅広い角度から評価するための基準や指標です。

管理職としての役割は非常に重要で、組織の方向性を示し、部下をリードし、良好な組織文化を築くためのキーとなるポジションです。そのため、評価項目も幅広く、その中でも特に重要な下記のポイントについて詳しくご紹介します。

【管理職向け評価項目】
・リーダーシップ
・組織づくり・組織運営能力
・人材育成
・自己啓発

リーダーシップ

管理職の評価のひとつはリーダーシップです。

まず最初に挙げられるのは、企業の将来像や目指すべき方向性を明確に示せるかどうかです。これは単に「将来の目標はこうだ」と言うだけではなく、そのビジョンを部下としっかりと共有し、一緒に取り組めるような環境を作り上げる能力も含まれます。

また、部下とのコミュニケーションの取り方も大きな評価ポイントです。上手く指示を出すだけでなく、部下の意見や感じていることをしっかりと受け止め、適切なフィードバックをすることが求められます。

このようなコミュニケーション能力を持つ管理職は、部署をよりスムーズに動かすことができるため、高い評価を受けやすくなります。

さらに、企業や組織だけでなく、広く社会に対しても貢献することを意識して行動することも重要な評価項目となります。この点では、顧客や社会のためにどのように行動するか、そしてそのための戦略や方針をどれだけ積極的に実行しているかが重要です。

ただ上司としての指示や管理だけを行うのではなく、部署や組織を前進させるためのビジョンを持ち、その実現のために積極的に行動し、同時に部下とのコミュニケーションを大切にするといった、総合的なリーダーシップを持つ管理職が高く評価されます。

組織づくり・組織運営能力

管理職の能力によって、組織の成果や雰囲気に大きく影響を及ぼします。特に、組織をスムーズに動かす「組織運営能力」や、良好な関係性や協力的なチームを作る「組織作り」は、管理職の評価で重要視される項目です。

「組織運営能力」は、管理職が部署の運営を円滑に行えているか、また、その結果をどれだけ効果的に達成しているかという能力を評価します。例えば、発生した問題を体系的に理解し、それに対する解決策を考え実行に移せるかどうか、といったスキルが求められます。

「組織作り」は、文字通り組織やチームの構築、そしてその維持や発展に関する能力を評価します。例えば、チームのメンバーそれぞれが最大限の力を発揮できる環境を整え、共通のゴールに向かって一丸となって取り組めるかどうか、という点が中心となります。

ここで重要なのは、メンバー同士の連携を促して円滑なコミュニケーションがとれる環境を作ることです。このための取り組みや仕組みがきちんと整っているかは、管理職の能力を評価する際に非常に大切な要素です。

人材育成

管理職として、部下やチームメンバーへのきちんとしたサポートを行えているか、また、その人たちの成長を助けるような適切な目標設定やアドバイスができているかという点が評価されます。

例えば、期待されている成果やタスクの方向性を明確にし、それをもとに継続的なサポートやアドバイスを行う能力が問われます。管理職がこれらの役割をしっかりと果たしていれば、部下やチームメンバーからの信頼や評価は自然と高まります。

しかし、逆に言えばこういったサポートが不十分であれば、部下やメンバーからの評価は低くなります。

こうした理由からも、管理職としての役割を果たす上での大切なポイントは、部下やチームメンバーの成長をサポートすること、そして部下の業務を正しく評価し、必要なフィードバックを適切に行うことです。

自己啓発

管理職は自分のスキルや知識を高め続ける姿勢が求められます。というのも、自分自身の業務を進めるだけでなく、その下で働く部下の成長や指導も大きな役目として担っているためです。

この「自己啓発」という考え方は、自分の能力の向上だけでなく、部下に対しても良い影響をもたらします。

自分自身の成長意欲があるか、または部下に教えるための適切な知識や技術を継続的に学び続けているかどうかという点が、評価のポイントとなります。

360度評価の一般社員向け評価項目例

360度評価に限りませんが、一般社員にとって評価は成長に繋がる指標になります。

一般社員が日々の業務をこなしていく中で、どのようにして成果を上げ、自分のスキルを磨いていくかはその後のキャリア形成にも大きな影響を与えます。360度評価は自己評価だけでなく周囲からのフィードバックも取り入れることで、多角的に業務遂行能力を測り、個人の成長を促す効果的なツールです。

一般社員に求められる具体的な下記の評価項目について、詳しく解説します。

【一般職向け評価項目】
・やり切る力(業務遂行能力)
・論理的思考能力
・創意工夫
・コミュニケーション能力・協調性
・主体性

やり切る力(業務遂行能力)

「業務遂行能力」は、単に仕事を終えることではなく、仕事を進める過程で出てくる課題をどう乗り越え、目標を達成できたかという点が評価されます。たとえば、営業の職種であれば取引先からのアポイントの取得数などが目安となることや、事務職では期日までに必要な書類をいかに正確に仕上げるかが評価の対象となります。

単に与えられた指標を達成するだけでなく、そこに至るまでの工程における質の高さや、準備がスムーズに行われたかどうかなどの適応力が問われます。

さらにこの評価では、自分の仕事が周囲にどのようなプラスの影響を与えているか、というようなことも評価されます。

一人の社員の働きが全体に与える影響は、直接的ではなくとも企業の発展に大きく関わるものです。そこで評価されるのは、自分の業績を上げることはもちろんのこと、それがどうチームの成果や社会に貢献できているかという点です。

論理的思考能力

一般社員が業務を進める上で、単にタスクをこなすだけでは不十分です。それらの業務をどのように効率的に進めるかということも重要であり、そのためのポイントが「論理的思考力」です。

仕事を行う際に一つ一つのタスクに優先順位をつけ、どのようにして最終的な目標を達成するか、という戦略を考える必要があります。これには、情報を整理し、結果を予測し、効率的で効果的な手順を立てる力が求められます。

たとえば、プロジェクトの企画段階であれば、問題が発生する前にリスクを回避したり、仮説を立てて効率的な実行計画を立てたりすることができます。また、日々の業務では、急に問題が発生した際にその原因を素早く特定し、効果的な解決策を出すことができるかが問われます。

さらに、社内外の関係者とのコミュニケーションでは、複雑な情報や指示を明確に伝えるうえで誤解を防ぐためには、状況を論理的に分析し、必要な情報を選択して伝える能力が必要です。チーム内での進捗報告やミーティング、クライアントへのプレゼンテーションなど、様々な場面で論理的思考力は活かされます。

また、管理職になると、さらに高度な問題解決能力が求められますが、その基盤となるのは一般社員として磨いた論理的思考力です。段取りの良さや計画性、チームメンバーへの的確な指示出しは論理的思考力の影響が強く、これにより業務の質やスピードが上がります。

創意工夫

「創意工夫」は、個々の社員がどれほど自分の業務を改善し、より効果的に仕事を進めるための新しい方法やアイデアを実現できているかを評価するものです。

仕事をする上で、今までの作業フローに拘らずに仕事の流れをスムーズに変えていくことができ、成果を上げるための方法を考え出し、それを実践することが重要です。たとえば、面倒な作業を時短するための方法を考えたり、作業レベルを維持しつつ時間を短縮できる新しいツールやソフトウェアを導入するといったことが、高く評価されます。

こうした変化は業務効率を大幅に上げるだけでなく、作業の質を上げることにもつながります。

ここで重要なのは、ただ作業時間を短くするだけではなく、継続可能で質の高い成果を出し続ける能力を伸ばすことにあります。創意工夫をして作業に取り組む従業員は、日々の業務で「もっと良いやり方はないか」と考え続け、そうした姿勢が他の社員のお手本となり、良い影響を与えます。

360度評価により創意工夫を評価することで、社員が自分の仕事に対してより責任を持ち、能動的に改善に取り組む企業文化を作ることができます。

コミュニケーション能力・協調性

一般社員に対しては、チームでの協力性や対人関係におけるコミュニケーションの質が重要視されます。これらは、個人の業務遂行能力だけでなく、職場全体の雰囲気や業績に大きく関わるためです。

まず、「協調性」という面では、同僚が問題に直面した時にどのように関わりサポートするかが重要です。仲間が困ったときにすぐに手を貸す行動力はもちろんのこと、日々の業務の中で同僚や上司と積極的に意見の交換を行い、問題の解決や業務改善に貢献することができるかどうかを評価します。

また、違う考え方を受け入れ、それを業務改善に活かす柔軟性も協調性の一環として評価されます。これはチームが一丸となって目標に向かうために必要な要素で、個々の適応能力やチームとしての結束力を高めるために重要です。

一方で、コミュニケーション能力とは、社員が同僚やクライアントとどの程度コミュニケーションをとり、業務をスムーズに進めることができるかを評価する項目です。

仕事を円滑に進めるためには、周りの人を巻き込みながら動く能力が求められ、これが業務の効率化やプロジェクトを成功させることに繋がります。

コミュニケーションは単に情報を伝えるだけではなく、お互いの理解を深め、より良い成果を生み出すための重要な要素です。

主体性

従業員自身の「主体性」が、個々の成熟度と自律性を表す指標となります。

主体性を持って行動することは、単に独断で物事を進めることではなく、各々の社員が自分の判断力を活かして積極的に業務を進めることを指します。ここで大切なのは、上司からの具体的な指示を待つのではなく、状況を見てその場に合った行動をすること、そしてその結果に対して責任を負うことが求められます。

その上で、自分の業務におけるハードルや問題に直面した際に、外部や同僚のせいにせず問題を自分自身で解決すべき課題として受け入れ、解決に向けて主体的に動くことも主体性を評価する要素です。これにより、「この課題は自分で解決すべきだ」という意識が芽生え、自発的なアクションへとつながります。

360度評価で主体性を評価することは、自分の仕事に責任を持ち前進する力を持つ社員を育成することに繋がります。

それは個々の社員だけでなく、組織全体で成果を出しやすい体質へと変えることができます。

360度評価のコメント例文

360度評価を導入したものの、相手の気持ちを考えながらも建設的なフィードバックができるコメントとはどのようなものなのか、実際に評価コメントを書く際に悩んでしまう方は多いのではないでしょうか。

360度評価を進めるうえでの下記の状況別コメント例文について、解説していきます。

・部下から上司へのコメント例文

・上司から部下へのコメント例文
・同僚へのコメント例文

部下から上司へのコメント例文

上司のマネジメント力や育成力を評価する場合のコメント例文は下記の通りです。

・「個々の部下の特徴を理解したうえで、適材適所の人員配置ができている」
・「定期的なミーティングでメンバーの状況把握ができており、正しいサポートが行われている」
・「部下の意見を取り入れながら、業務効率化につながるシステム変更を提案してくれた」


上司のフォロー体制を評価する場合のコメント例文は下記の通りです。

・「担当外の案件でも丁寧にケーススタディをしてくれるため、迷うことなく仕事ができる」
・「休暇中でも必要な判断材料を事前に用意してくれていたので、業務に支障がなかった」
・「急な案件でもスムーズに対応してくれる体制が整っており、頼もしい」


360度評価では、普段評価する立場にない部下が上司を評価できる貴重な機会です。この時のポイントは、上司の仕事ぶりではなく、部下やチーム全体をマネジメントできているかを判断することです。

例えば、上司が部下一人ひとりの特徴や得意不得意を把握し、適材適所の配置ができているかを確認します。ある部下はデータ解析が得意だが顧客対応は苦手、逆にある部下は顧客対応が上手いがスピードが遅い、といった具合です。

こうした傾向がある場合、適切な業務の割り振りとサポートができているかどうかがポイントになります。

また、上司が定期的なミーティングを開き、メンバーの状況把握をできているかも重要です。進捗状況の確認に加え、悩みごとの聞き取りやアドバイスをしているかが評価軸となります。

このように、マネジメント力という観点から上司を評価することが重要です。

上司から部下へのコメント例文

部下を成果だけでなく行動も評価する場合のコメント例文は下記の通りです。

・「目標達成率は80%と低かったが、営業スキル向上のため積極的に研修を受講している点は評価できる」
・「結果を出すことは大切だが、チームとのコミュニケーションをより重視してほしい」


部下の改善点を具体的に指摘して評価する場合のコメント例文は下記の通りです。

・「基本動作の定着がまだ不十分なので、規定に沿ったサービス提供を意識してほしい」
・「損益分岐点を意識した価格設定ができていないので、収益管理の勉強をしてほしい」


下記のように、褒めるコメントも一緒に行いましょう。

・「新メニューを企画した点は高く評価している。今後の売上拡大が期待できる」
・「顧客対応のスキルが高いので、今後は後輩の指導役も期待したい」


上司が部下を評価する場合、成績や結果だけで判断するのではなく、日頃の取り組み方も評価することが大切です。

例えば、売上目標達成率が80%と低かった部下がいた場合、単純に「目標未達だ」と指摘するのではなく、目標達成のためにどのように努力していたかも確認する必要があります。資料作成を熱心に行っていたり、営業スキル向上のため研修を受講していたりしたのであれば、その点は評価できます。

逆に、表面的には目標を達成したようでも、定期的な報告書の提出が行われていない、チームでのコミュニケーション不足が指摘されている、といった日頃の業務への取り組み方に課題が見られる場合には、そちらを優先して指導することが大切です。

このように上司は成績だけでなく日頃の様子も評価し、部下一人ひとりの成長に向けたコメントをしていくことが重要です。

同僚へのコメント例文

同僚のコミュニケーション面を評価する場合のコメント例文は下記の通りです。

・「積極的にあいさつをしてくれるので、明るい雰囲気づくりに貢献している」
・「仕事の優先順位を考えずに相談してくるので、もう少しタイミングをみてほしい」


同僚の業務支援面を評価する場合のコメント例文は下記の通りです。

・「分からないことがあれば、丁寧に教えてくれるので助かっている」
・「相談しづらい雰囲気なので、もう少しフォロー体制を整えてほしい」


同僚の成長意欲を評価する場合のコメント例文は下記の通りです。

・「資格取得のために勉強している姿勢は手本となる」
・「自分から進んで新しいことにチャレンジする姿勢がみられない」


360度評価では、同じ部署の同僚同士も評価をし合います。立場の違いがない分、気兼ねなくフィードバックできるメリットがあります。

例えば、積極的に周囲の同僚とコミュニケーションをとっている人は「チーム全体の雰囲気づくりに貢献している」と褒めるコメントができます。逆に、仕事はできるが人付き合いが苦手な人は、もっと周囲と関わる努力をするようアドバイスすることも可能です。

新入社員に対して丁寧に仕事を教えている先輩社員を見かけた場合も、その行動を評価するコメントを送るとよいでしょう。後輩育成は自分への投資にもつながることを実感できます。

このように、同僚への評価では普段の些細な行動から判断し、時には指摘を、時には励ましの言葉をかけることが大切です。

360度評価の失敗事例

360度評価制度は、多面的な評価によって従業員の成長と企業の発展を目指す評価制度です。しかし、この360度評価制度の導入や運用が適切に行われない場合、社内で様々なリスクが生じる可能性があります。

360度評価の導入、運用が失敗した時に引き起こす下記のようなリスクについて、詳しくご紹介します。

・正しいコミュニケーションが行われなくなる
・従業員のモチベーションが低下する
・現場の業務負担が増える

正しいコミュニケーションが行われなくなる

360度評価制度の導入失敗により、社内のコミュニケーションが正しく行われなくなるリスクがあります。

上司、同僚、部下など様々な視点から従業員のパフォーマンスを評価することを目的としていますが、適切な運用がなされないと逆効果になる可能性があるのです。

社内コミュニケーションが適切に行われなくなる原因は、主に2つの要因により引き起こされることが多くなっています。

1つ目は、「社員同士の忖度」が発生する問題です。360度評価では、従業員が互いに評価し合うため、同僚や部下からの評価を意識しすぎることで、本音を言いづらくなる場合があります。

例えば、部下が上司を評価する際に、厳しい評価を行うことに躊躇し、無難な評価を選ぶことがあるかもしれません。これにより、本来であれば有益なフィードバックが得られるところが建設的な批判がされないことで、企業内の成長と改善の機会が失われます。

2つ目は、「フィードバックが正しく行われない」ことです。360度評価の効果を最大化するためには、率直で建設的なフィードバックが必要ですが、これが適切に行われないと従業員は自分自身の改善点を理解しにくくなります。

また、評価者がどのような視点で評価を行っているのかが分かりづらい場合、評価の受け手は混乱し、その結果、組織内の信頼関係が損なわれることもあります。

このような状況が続くと従業員のモチベーションは低下し、チームワークも乱れてしまいます。オープンで率直なコミュニケーションが行われない職場では、新たなアイデアや創造的な解決策の提案が抑制され、組織全体の活性化が停滞する恐れがあります。さらに、コミュニケーションが不足すると、従業員間の誤解や対立を引き起こす原因ともなり得ます。

従業員のモチベーションが低下する

導入と運用に失敗すると、従業員のモチベーションが低下する可能性があります。

360度評価制度が正しく運用されない場合、従業員が受けるフィードバックの質や評価の透明性に問題が生じ、それが従業員の士気ややる気に悪影響を及ぼす可能性があります。

360度評価では、様々な立場の人が従業員を評価しますが、評価者が評価スキルを十分に持っていない場合、主観的で不適切なフィードバックが行われることがあります。例えば、個人的な感情や先入観に基づいた評価が行われると、評価を受ける従業員は不公平感を感じることがあります。

このような評価は、従業員の自己評価や自信に影響を与え、結果としてモチベーションが低下してしまう可能性があります。

さらに、360度評価の透明性が不足している場合、従業員は自分がどのような基準で評価されているのか、またどのように改善すれば良いのかを理解できなくなります。評価基準が明確でないと、従業員は自分の業務上の成果や努力が適切に評価されていないと感じることがあり、その結果、仕事への意欲が低下することもあります。

評価者のスキル不足や評価基準の不明確さにより、従業員は自分の仕事に対する方向性や目標を見失い、職場での自分の役割に疑問を持つようになるかもしれません。これにより、職場の雰囲気やチームの結束力にも悪影響を与え、全体の生産性の低下につながる恐れがあります。

現場の業務負担が増える

360度評価システムの導入に伴い、現場の業務負担が増えるリスクがあります。

従業員一人ひとりが多角的に評価されるため、多くの従業員が評価プロセスに関わることになります。この評価プロセスが複雑で時間が必要な場合、それが直接的に業務の負担増加につながる可能性があるのです。

具体的には、各従業員が複数の同僚や上司、部下からの評価を受けるため、評価を行う側も受ける側も多くの時間とエネルギーを費やす必要があります。評価シートの記入、フィードバック、評価結果の分析といった一連のプロセスには、想定以上の時間がかかります。

これにより、本来の業務に対する時間が削がれ、業務効率の低下を招くことが懸念されます。

また、360度評価システムの導入初期には、従業員や管理者が新しいシステムに慣れるまでの時間も必要です。特に、360度評価が新しく導入される場合、その運用方法や評価の基準を理解し、適切に活用するまでには一定の時間と努力が求められます。

さらに、360度評価プロセスが複雑な場合、現場のストレスを増加させることもあります。評価を行うための準備、実施、フォローアップに多くの時間と精神的エネルギーが必要となり、これが従業員のワークライフバランスや職場の雰囲気に影響を与えることも考えられます。

このように、360度評価は多面的な視点からのフィードバックを通じて従業員の成長を促す有効なツールである一方で、現場の業務負担増加というリスクを伴います。このリスクを軽減するためには、評価プロセスを簡単にすることや効率的に運用すること、従業員への十分なトレーニングとサポートが重要です。

360度評価を実施する時のポイントや注意点

360度評価を実施する際にはいくつかのポイントと注意点があり、意識せずに進めると360度評価の導入効果は半減してしまいます。

効果を最大限に発揮するためには、その目的や運用計画を明確にすることや、従業員との共有が欠かせません。

下記のポイントについて、詳しくご紹介します。

・導入目的や運用計画を明確にして従業員と共有する
・評価基準を統一する
・評価後に適切なフォローアップを行う
・評価を行う適切な人物選び
・従業員の理解と協力を得る
・設問数を過剰に多く設定しない
・フィードバックと合わせて改善策を伝える
・評価は全従業員を対象にする
・日常的な業務態度や職務遂行能力を評価する

導入目的や運用計画を明確にして従業員と共有する

どのように360度評価を活用するかということを、導入前から具体的に計画を立てておくことが重要です。

目的を明確にすることで、360度評価が期待通りに機能しているかどうかを後々検証する際に、客観的な基準で判断がしやすくなります。

仮に目的が曖昧な状態で導入を進めた場合、360度評価の効果検証が困難になるだけでなく、結果が期待したものとかけ離れてしまう可能性があります。さらに、360度評価システムを導入する理由を従業員にしっかりと説明できない場合、従業員の協力を得ることが難しくなります。

360度評価の導入と運用を成功させるためには、従業員が360度評価の導入目的を理解し、自発的に評価への取り組みに参加することが重要です。

そのため、導入から最大の効果を引き出すためには、計画段階から実行に至るまでの一連の流れを、すべての従業員と共有する必要があります。導入の意図と目的を社員全員が理解し、共感することで、360度評価システムはただの形式的なものではなく成果に結びつく効果的な仕組みになります。

評価基準を統一する

従業員が違和感なく360度評価を受け入れ、日常業務に落とし込めるような環境をつくることが重要です。そのためには、360度評価での評価方法をしっかりと定め、それを従業員一人ひとりが把握し、理解する必要があります。

評価基準が統一されていなければ評価者によって意見が分かれ、不公平な結果が生まれる原因になり得ます。特に360度評価の場合、通常は評価側に回ることのない社員も評価者として参加することになります。

これまで評価を行ったことがない社員にとっては未知の領域ですので、不安を感じることなく、公平に評価に加わるためにも、分かりやすい評価基準が必要となります。

公平な評価を進めるためには、評価者が自分自身の意見を匿名で述べられるようにすることも必要です。これにより、誰の意見かを判別することなく本音のフィードバックを行うことができるようになります。

評価後に適切なフォローアップを行う

評価が完了した後の適切なフォローアップも重要です。評価シートを回収しただけでは、その効果を最大限に活かすことはできません。

360度評価は、収集した評価をもとにした具体的な行動の改善までを行う必要があります。360度評価を行う側は、自分が行ったフィードバックが実際になんらかの形で良い変化に繋がることを望んでいます。

そのため、もし評価者がフィードバックが単なる形式的なものに過ぎないと感じれば、今後360度評価の積極的なフィードバックを行わないようになってしまうかもしれません。

評価結果の分析を終えた後は、個々の被評価者と向き合う時間をつくりましょう。この個別面談では、改善が必要とされる部分について話をすることはもちろん、評価者たちから高い評価をもらっているポイントについても具体的に伝えましょう。

一方的に欠点のみを指摘してしまうと、被評価者はネガティブな感情を持ってしまうためそれが仕事に対する熱意を削ぐだけでなく、360度評価への協力意欲を無くすことに繋がります。

加えて、360度評価が設定した目標に対して成果を上げているかを常に確認し、改善の余地があればPDCAサイクルを活用して改善を進めていきましょう。

評価を行う適切な人物選び

360度評価を行う人物選びが重要です。評価者は、被評価者と職務上の関係を持つことはもちろん、公平な視点で客観的なフィードバックを行える必要があります。

評価に参加することで、被評価者は自分自身について様々な視点からの意見を聞くことができ、主観と客観との間にあるズレに気付くことができます。この気付きがあることで直すべき部分の改善ができ、成長に繋がります。

さらに、評価する側も他人を評価する際の冷静な判断力が身につくことや、自分自身を振り返る良い機会となります。

加えて、360度評価は職場内の人間関係にも良い影響を与えます。互いに評価し合うことで、職場での協力の仕方やコミュニケーションの方法を見直すきっかけとなります。

また、360度評価の導入企業に対してシーベースが独自に取ったアンケートによると、360度評価対象者の職位について、下記のような結果となりました。

360度評価の対象職位

組織の要である管理職(部長、課長・係長)を主な対象として活用することで、組織により大きな影響力・効果を与えたいという狙いがあることがわかります。

従業員の理解と協力を得る

全従業員の理解と協力を得られるようにしましょう。

実施する背景や目的、そして重要性を社内の全員が理解し、共有することで360度評価の失敗を避けることができます。

導入から運用において、従業員からの質問や疑問に対して適切に回答し、不安や懸念を払拭することが重要です。さらに、運用中は継続的にコミュニケーションを取り、従業員が360度評価に対する理解を深めていくことが成功に繋がります。

これにより、360度評価を企業文化として定着させ、従業員のモチベーション向上や職場環境の改善に繋がります。

設問数を過剰に多く設定しない

設問数を適切に設定することも、360度評価では重要です。

設問数が過剰に多い場合、従業員が評価にかける時間と労力が増えてしまい、結果として業務効率に悪い影響を与えてしまう可能性があります。360度評価の作業が、本来の業務で使うべき時間を奪ってしまうのです。

また、設問が多すぎるとそれぞれの設問を深く考えることがなくなり、結果として360度評価の質が低下してしまうことが懸念されます。各設問に対して浅い回答になると評価は表面的なものとなり、360度評価の目的であるフィードバックの効果を得ることが難しくなります。

そのため、設問数を適切に設定することは評価作業を効率化させるだけでなく、評価の質を高めるためにも重要です。

設問数は最低限に留め、各設問が特定の評価目的に沿っていることを確認しましょう。最低限の設問には、評価される従業員の職務内容や能力、役割等を踏まえ、関連性の高い設問を選定することが重要です。

最終的には、設問数を適切に管理することによって、360度評価の作業が従業員の業務効率やモチベーションに与える悪影響を最小限に抑え、同時に評価の精度を高めることができます。

フィードバックと合わせて改善策を伝える

360度評価では、フィードバックと共に改善策を提示することが重要です。

フィードバックによって得られた評価の内容は、具体的な改善行動に移すためのきっかけになると同時に、従業員が自分の成長の方向性を決める上での重要な情報となります。具体的な改善策を提示することにより、フィードバックが活かされます。

例えば、360度評価で従業員が「協調性が低い」というフィードバックを受けた場合、ただその点を伝えるだけでは、その従業員は自分がどのように行動を改めれば良いのか具体的なイメージを持ちにくいでしょう。

しかし、「プロジェクトチーム内で意見が異なる同僚の提案にも耳を傾け、積極的に議論に参加する」などの改善策を同時に提示することで、具体的な行動目標が明確になります。これにより、従業員は行動を見直し、実際にコミュニケーションが改善されるように行動することができます。

また、改善策を提示することで、フィードバックがネガティブな内容であっても、それをポジティブに成長できる機会と捉えることができます。

評価は全従業員を対象にする

360度評価を導入する際は、評価の公平性と客観性を確保するためにも、全従業員を対象にすることが重要です。

全従業員を対象にすることで、個々の従業員の強みと弱みがより明確になり、自身を改善するための取り組みが促進されます。

管理職も360度評価の対象に含めることで、リーダーシップ力を育成することにも繋がります。部下からのフィードバックにより、管理職の自己認識と改善が促進されるため、部下が率直な意見を述べやすい環境を作ることが重要です。

全従業員で実施する際には、評価基準やルールを明確にし、適切なフィードバックを実施することが重要です。これにより、従業員間の不信感を減らすことが可能です。

日常的な業務態度や職務遂行能力を評価する

従業員の日常的な業務態度や職務遂行能力を評価する項目を設けるようにしましょう。

具体的な評価項目は、業務遂行の効率、問題解決能力、チーム内での協調性、コミュニケーションスキルなど、日常業務に直接関連する項目を設定することが重要です。

これにより、従業員は自分の業務に対する多角的な視点を持つことができ、自身の業務の進め方や職務遂行方法を客観的に評価できるため、改善するための具体的なきっかけを掴むことができます。

360度評価の導入事例

360度評価の導入実績

360度評価は、多面的な視点から社員のパフォーマンスを測り、職場でのコミュニケーションの質を高めるために、多くの企業に採用されています。

その導入事例は様々で、各社の具体的な状況に合わせた運用が行われています。

ここでは、シーベースが提供している「CBASE 360°」の異なる業界での下記企業の実践的な導入事例を通じて、360度評価が企業文化や組織運営にどのような影響を与えているのかを掘り下げていきます。

・株式会社ぐるなび
・住友三井オートサービス株式会社
・株式会社マネーフォワード
・株式会社アンミッコ

株式会社ぐるなび

ぐるなび

株式会社ぐるなびでは、マネジメント力の向上と社員の気づきを促すために360度評価を導入しました。

2019年に初めて実施した後、コロナ禍の影響でPDCAサイクルを十分に回すことができず、2020年は実施せず、2021年に再び実施しました。この施策は、リモートワーク中心の働き方においてマネジメントがしっかりとできているかを確認する目的も兼ねています。

360度評価を導入した狙いは主に下記の通りです。

・本人が気づきを得ること
・行動変革を促すこと
・企業理念の実践度合いの確認
・社員の心理的安全性の確保
・働き方改革の推進

そして、施策を実施するうえで、下記のようなポイントを意識しているようです。

・企業理念に基づく役割定義を反映した設問を作成すること
・4段階評価へ変更すること
・回答者の匿名性を確保すること
・誹謗中傷を回避すること
・360度評価の内容を実用的に活用するために工夫すること

こういった工夫のもと、マネージャーたちは実際の気づきの機会を得て、行動改善が進んだと報告されています。360度評価の結果はPDFで配布され、各マネージャーが上司と個別に面談を行い、改善策を進めています。

今後ぐるなびでは同じ設問で継続的に360度評価を実施することで、マネジメントスキルを向上させることを目指しています。

マネジメントを可視化することや周囲の意見を聞くことが、社員の成長や企業の発展には重要としています。

住友三井オートサービス株式会社

住友三井オートサービス株式会社

住友三井オートサービス株式会社では、社内のコミュニケーションを改善し、上司と部下の相互理解を深めるために、2010年から360度フィードバックを実施しています。

社内では「多面観察」と呼んでおり、これまでの一方的な評価ではなく、上司も部下からの評価を受けて自分自身の行動や管理方法について考える機会を設けています。これにより、部下からの率直な意見を経営層に届け、社内の意思決定に役立てる体制を作っています。

特に、自動車リース市場における潜在的な成長余地を活かすために、部下の意見を反映したマネジメントの改善が重視されています。360度フィードバックを通じて、部下の育成に力を入れ、組織全体の競争力強化を図っています。

運用上では、回答の質を担保するために回答者の選定に条件を設けています。また、フィードバック後の上司から部下へのフィードバックも推奨しており、それによって組織内での前向きな改善姿勢を促進しています。

このような取り組みには、具体的な改善点や意見を伝えるための例文をつくるなど、360度評価をスムーズに進めるためのサポートも行われています。

360度評価システムである「CBASE 360」を使用した結果、自己評価と他者評価のギャップに気づき、改善につなげることができたとしています。また、他社との比較データを通じて自社の強みや改善点が明らかになり、組織としての成長に繋がっていると評価しています。

株式会社マネーフォワード

株式会社マネーフォワード

株式会社マネーフォワードは、企業成長に伴いマネジメント層の強化を重視しました。急速に増加した従業員数の中で、一人一人の能力向上が必要と判断していたためです。

特に、多くがマネジメント経験が未熟なメンバーや新しい文化に適応しなければならない中途採用者で構成されていたため、統一されたマネジメントスキルの向上が求められていました。

この課題に対応するため、リーダー向けの合宿が企画され、そのプログラムとして360度フィードバックが実施されました。

この合宿では、マネーフォワードの基盤となるMVVC(ミッション、ビジョン、バリュー、カルチャー)の深い理解などを目的としており、会社の創業理念や成長過程を共有するセッションから始まり、個々の課題を自己分析し、すぐに実行可能な行動計画を策定するワークショップで構成されていました。

合宿の際には、特に参加者が自分自身を見直すための工夫がなされました。360度フィードバックでは効果的なフィードバックを得るために、参加者自身が評価者を選ぶようにした点が挙げられます。

360度評価実施後のフィードバックでは、多くの参加者がこのプログラムを通じて新たな気付きがあったと報告しており、行動変容につながる具体的なアクションプランが立てられたと感じていました。

株式会社アンミッコ

株式会社アンミッコ

保育サービスを展開する株式会社アンミッコは、児童数100名を超える2園を運営し、35名の保育士を含むスタッフが活躍しています。待機児童問題が指摘される中、アンミッコでは職員が働きやすく成長できる環境作りに注力し、それが安定した運営には必要だと認識しています。

人事評価の納得感を高めるため、アンミッコでは360度フィードバックを導入しました。これにより、保育士同士からの評価を得て、客観性を持った評価体制をつくっています。これは保育の現場特有の困難さ、評価基準の不明確さや、保育士ごとの考え方の違いに対応するための工夫の一つです。

人事評価では、年度目標とその達成度を評価し、アンミッコ選手権と呼ばれるテストや360度フィードバックを通じて、スタッフにABCDEの総合評価を行っています。客観的な自己評価が難しい職員に対しては、適性テストの導入や同僚によるフィードバックが有効であることを発見しました。

適性テストでは、個人の特性を明確にし、職員間の理解を深める効果がありました。また、保育に特化した具体的なフィードバックのための設問作成は、保育観を改めて考えることにもつながりました。

こういった施策の結果、離職率が低下し100%の有給取得率を達成しています。これにより、職員が休暇を取りやすい環境が生まれ、保護者の気持ちを理解する保育士が増えるという好循環が生まれています。

360度評価のよくある質問

360d度評価のよくある質問

これから360度評価の導入を検討している方の中で、

「360度施策を導入しても、やりっぱなしになってしまうのではないか。」
「導入・実行に手間がかかると聞いたので、少人数では運用できないのではないか。」
「新しい制度を導入することで、社内から反発の声が上がったりしてしまうのではないか。」

といった声を聞くことが多くあります。

そこで、下記内容の360度評価の導入前によくある質問と回答をご紹介します。施策が成功するためのポイントやありがちな失敗パターンに陥らないために、導入検討にお役立てください。

・360度評価はどのような目的で実施されることが多いのでしょうか?
・360度評価導入時前に準備した方が良いことはありますか?
・回答者は何名くらいが適切ですか?
・回答者はどのような方を選んだら良いのでしょうか?
・他の人に回答を知られることを警戒して、率直な回答が得られないことはありますか?
・対象となる管理職から不満の声がありますが、このまま導入しても大丈夫ですか?
・360度評価の結果で落ち込む社員が出てしまいますが、どうすればいいですか?

360度評価はどのような目的で実施されることが多いのでしょうか?

能力開発目的の実施が最多で、人事評価や昇進昇格・異動配置で活用する際には補完材料・参考情報として扱われることが多くなっています。

実際の導入においては、能力開発面、特に人材育成を主目的として始める企業が多くなります。

人事管理面に関しては、補完情報としての位置づけから始めて、360度フィードバックを複数回運用して組織に定着した上で本格的な活用に至る傾向が多く見られます。

能力開発目的の方が従業員の抵抗感が少なくメリットを還元しやすいため、そして、従業員が360度フィードバックに慣れないうちにいきなり人事評価や処遇に結び付けてしまうと、率直なフィードバックにならなかったり、対象者の反発や不信を招いたりして、出だしから運用が破綻してしまうリスクが考えられるためです。

360度評価導入時前に準備した方が良いことはありますか?

自社としての「施策導入目的」や、「結果の用途」を検討しておくこと、対象者・回答者に向けた丁寧な説明を行う「事前準備」が重要です。

360度評価では、事前に以下を準備しておくとスムーズに導入しやすくなります。

・自社の課題感と組織の実態を踏まえた上で、導入目的を明確にして決裁者と合意形成する
・活用事例を中心に情報収集を行なった上で、自社での運用イメージを明確にする
・事務局人員と役割分担、予算、スケジュールを固める
・対象者・回答者に向けた丁寧な広報や説明を行う

回答者は何名くらいが適切ですか?

対象者1名に対して、5~15名の回答者が目安です。また、同じ職場の人数が少ない場合は、業務上の接点が多い人を選びましょう。

多数の他者から評価することで、個々人が持つ評価バイアス(厳しめに評価する人、甘めに評価する人等)が平準化されますので、ある程度多くの人のデータがあるほうが良いといえます。

その一方で、被評価者の普段の仕事ぶりやふるまいをよく知っている人でないと観察・回答の精度は低くなること、多数になると結果が平準化されすぎて捉えにくいといった現象が起きます。

回答者はどのような方を選んだら良いのでしょうか?

360度評価の回答者の選び方は、下記の3通りです。

・人事などの第三者が選ぶ方法
・対象者本人が選ぶ方法
・それ以外の方法


実施の目的や時期、会社や組織の状況などによっても適した選択方法は異なり、総合的に検討する必要があります。

例えば、人事などの第三者が選ぶ場合ですが、実際の運用では”人事が選ぶパターン”が一番多く見られます。この方法だと第三者が選ぶがゆえに公平感がありますが、人事に作業や手間が集中するため作業時間の確保が必要です。

また、人事が選ぶ場合には普段目が届きづらい現場の状況を把握している対象者を正しく回答者に選定できているか注意する必要があります。

そのほか、対象者本人が選ぶ場合は対象者自身が決めるため結果を受け入れやすくなりますが、一方で回答者の人選に偏りが生じる懸念もあります。

好き嫌いや高い評価をしてくれそうな人だけを選ぶことは避けるためにも、普段の業務で接点がある人たちをできる限りそのまま選ぶように対象者本人に説明し、ルールを明確化する必要があります。

他の人に回答を知られることを警戒して、率直な回答が得られないことはありますか?

外部の専門機関を利用することや、事前に回答者への説明を丁寧に行なうことで、組織内の懸念が解消されます。

まず、事前に回答者への説明を丁寧に行うことは必須です。

360度評価の導入背景・目的、活用用途、回答に必要な考え方や留意点等の説明と併せて、個人がどんな回答をしたかが特定されることはない旨を丁寧に説明しましょう。

評価することで自身に不利益が生じることがないという安心感を醸成し、率直で誠実な回答協力を得ることが重要です。

また、自社内ツールで実施するのではなく、外部サービスを利用することがおすすめです。

外部サービスを利用して360度評価施策を実施することを社内に公表することで、個人別の回答内容が社内データベースに蓄積されたり、組織内の悪意ある方から漏洩させたりするといった懸念がなくなるため、回答者はより安心感を持って取り組むことができます。

対象となる管理職から不満の声がありますが、このまま導入しても大丈夫ですか?

そのような状態の中でこそ、360度評価の導入がおすすめです。ただし、「事前説明」を丁寧に行った上で導入することが重要です。

360度評価は、このような組織状態を改善するのに効果を発揮しやすいツールです。上司(管理職)に対する不満を放置し続けると、従業員のモチベーション低下や職場の関係性・風土の悪化が進み、メンタル不全や離職などに繋がりやすくなります。

そして、組織コンディション悪化のスパイラルにはまり込むほど、どんどん改善が難しくなっていき、その悪影響は結局上司自身にも降りかかってくることになります。

そのような手遅れな状況になる前に、上司(管理職)自らが自分の姿勢や行動が周囲に与える影響に気づき、内省を深めて改善に繋げていくことが必要なため、本人に重要な気づきや示唆を提供する 360度評価は有効な施策となります。

ただし、導入時には必ず対象者と回答者に対して、導入背景・目的、活用用途、回答に必要な考え方と留意点が伝わるような事前説明を丁寧に行ってください。これらのことが伝わらないと、十分な回答協力が得られない可能性があります。

360度評価の結果で落ち込む社員が出てしまいますが、どうすればいいですか?

360度評価で落ち込む社員が出る主な理由は以下の3つです。

・評価があまりにも悪い
・評価内容が批判ばかりでフォローがない
・上司や周囲からの評価が怖くなり部下が委縮してしまう


そのため、努力して仕事をしてきた過程をしっかりと評価したり、批判をしたら必ず評価をした人がフィードバック面談でフォローしたりといったことが重要です。

360度評価のまとめ

360度評価は従業員のパフォーマンスを多面的に評価する方法であり、その多面的なフィードバックが自己認識の改善に繋がります。

上司だけではなく、同僚や部下といった幅広い関係者から意見を集め評価することにより、従業員自身がまだ認識していない能力や改善点を明確にすることができます。

社員一人ひとりが自分自身の成長を実感し、組織全体の発展に繋がる行動をとるようになることは、組織にとっても大きなメリットです。特に、一般職員が管理職の評価を行うことで、自分が組織運営の一端を担っているという意識が高まります。

シーベースの360度評価システム「CBASE 360°」を導入することで、従業員個々の成長はもちろんのこと、組織全体を成長させることができるため、戦略的な人材マネジメントのため導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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HRコラム編集部

「CBASE 360°」は、株式会社シーベースが提供するHRクラウドシステムです。経営を導く戦略人事を目指す人事向けのお役立ち情報をコラムでご紹介します。

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