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社会構成主義とは?心理学における概念とナラティブアプローチをわかりやすく解説

公開日:2024.11.02 更新日:2025.12.19 360度フィードバック

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社会構成主義とは何なのだろうか」
社会構成主義とはどのようなことを指すのだろうか」

と気になりませんか。

社会構成主義とは、社会に存在するありとあらゆるものは人間が対話を通して頭の中で作り上げたものであるという主義・考え方のことを指します。
人間が議論して「存在する」と考えるから物事は存在するという考え方です。
この記事を読めば、社会構成主義について理解することができます。
社会構成主義について気になっている方はぜひ、最後まで読んでいって下さいね。

社会構成主義とは

社会構成主義とは、「私たちが現実だと思っているものや意味づけは、個人の内面に固定的に存在するのではなく、人と人との対話や社会的な関係性の中でつくられていく」という考え方です。
心理学や社会学を中心に発展してきましたが、近年では人事評価・育成・組織開発の文脈でも注目されています。

この考え方のポイントは、評価・問題・成果といったものに絶対的な正解はないと捉える点にあります。同じ出来事でも、誰が・どの立場で・どんな文脈で語るかによって意味は変わります。
たとえば「主体性が足りない」という評価も、それ自体が事実なのではなく、対話の中で形成された一つの解釈に過ぎません。

社会構成主義では、こうした現実や評価は対話を通じて共同で意味づけされるものと考えます。
評価面談や1on1においても、「評価を下す/受け取る」という関係ではなく、状況・前提・関係性を一緒に見直す対話へと発想を転換することが重視されます。

なお、客観主義的な考え方では、「事実や評価は誰が見ても同じである」という前提に立ちます。一方、社会構成主義は、数値や基準の存在を否定するわけではありませんが、それをどう解釈し、どう共有するかが重要だと捉えます。
人事の文脈では、評価を「決めるもの」から「意味をつくるプロセス」へと再定義する視点として、非常に相性のよい考え方と言えるでしょう。

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社会構成主義の目的

社会構成主義の目的は人事制度上は、評価エラーや思いこみの排除と健全な組織開発が主な目的です。
理由として、社会構成主義では人間同士の思いこみによって人の評価が決定される傾向にあることを指摘しているためです。
仮に社内で重要な人材ではないと考えられている人がいたとしても、より広い視点で見れば社会的には重要な役割を担っている可能性があります。

単に仕事が出来る・出来ないだけではなく、社会構成主義においては「認識は人間が勝手に作り出すもの」であり、評価自体には改善の余地があります。
ハロー効果にも近いものがあり良い評価を得やすい人物がそれほど大きな仕事をしていなくとも理由なく良い評価をされてしまうという現象も人事では起こりえます。
参考記事:ハロー効果とは?人事評価に起こる偏りと5つの対策をわかりやすく解説

つまり、社会構成主義を認識することで特定の社員の評価や処遇などが「本当にこれで正解なのか」を見直すきっかけにもなり得ます。

また、健全な組織開発に関しては会社の風土そのものを見直すきっかけになります。
社会構成主義の考え方に立つと社員の認識がその会社の組織風土を作るとも考えられるためです。
社員が何気なく使っている言葉がその会社の社風を作り、風土を醸造していきます。
社員の会社に対する評価がその会社の真の評価となることもあるのです。
例えば「うちの会社は大手だけど刺激的な仕事は少ない」とマンネリ化に疲れている社員が多ければ言葉通りになってしまう可能性も少なくありません。
認識の考え方を見直し社風を改善する一助にもなる考え方です。

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社会構成主義が注目される社会的背景

社会構成主義が注目されている背景には、組織や社会における「認識のズレ」が、成果や人間関係に大きな影響を与えるようになったことがあります。
制度やルールを整えるだけでは、組織改善が進まないケースが増えているためです。

実際の組織運営では、次のような課題が顕在化しています。

  • 何が問題なのかが共有されず、改善の議題自体が立ち上がらない
  • 部署や立場によって前提となる認識が異なり、議論が噛み合わない
  • 「正解」を決めようとするほど、対話が止まってしまう

こうした状況に対して社会構成主義は、
「現実や問題は、人々の対話や関係性の中で形づくられる」
という視点を提示します。

つまり、組織を変えるには正解を見つけることよりも、
どのような認識が共有され、どのような言葉が使われているのかを見直すことが重要だと考えるのです。

この考え方は、評価制度の見直しや組織風土改革、対話型マネジメントが求められる現代の人事・組織開発と非常に相性がよく、
社会構成主義が再び注目される大きな理由となっています。

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社会構成主義では「対話」が重要とされる理由

社会構成主義では、個人の考えや行動、問題の意味は「頭の中」に固定されているものではなく、人と人との関わりや対話の中で形づくられると考えます。そのため、評価・支援・育成といった場面でも、一方的に結論を与えるのではなく、対話を通じて意味を共有・更新していくプロセスが重視されます。人事やマネジメントの文脈でこの考え方が注目される理由も、まさにここにあります。

なぜ対話が中心になるのか

社会構成主義の立場では、出来事そのものよりも、その出来事が「どのように語られ、理解されているか」が人の行動や感情に影響すると考えます。
つまり、評価や課題は「客観的に存在するもの」ではなく、対話を通じて意味づけされているものです。

上司が一方的に評価を下すだけでは、部下の認識は変わりません。
一方で、対話を通じて認識のズレや前提をすり合わせることで、新しい捉え方や行動の選択肢が生まれやすくなります。

「意味の共有」「再解釈」がもたらす変化

社会構成主義における対話の目的は、説得や指導ではなく、意味の共有と再解釈にあります。

同じ出来事でも人によって受け取り方は異なり、
対話を通じて前提や背景を共有することで、理解はより立体的になります。
これまで固定的に捉えていたストーリーを、別の視点から捉え直すことも可能です。

このプロセスによって、「できない部下」「問題のある行動」といった単純なラベルではなく、
状況・関係性・役割期待を含めた多面的な理解が生まれます。
評価面談や1on1で対話が重視されるのは、行動を変える前提として、こうした意味の再構築が欠かせないからです。

ただし実際のフィードバックの場面では、意図せず相手が「否定された」と感じてしまうことも少なくありません。
社会構成主義的なフィードバックでは、相手の語りを尊重しつつ、その受け止め方にも目を向けることが重要になります。
フィードバックを否定的に受け止めてしまったときの整理の仕方や、成長につなげる考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。

参考:フィードバックの受け止め方|否定と感じたときに整理し、成長につなげる考え方

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社会構成主義と心理学(ナラティブアプローチ)

社会構成主義は、心理学の分野ではナラティブアプローチという形で実践に落とし込まれてきました。このアプローチは、個人の内面や性格だけに原因を求めるのではなく、人がどのような「語り(ストーリー)」を通じて自分や状況を理解しているかに着目します。
理論にとどまらず、対話や支援、マネジメントの現場で活用されている点が、この考え方の大きな特徴です。

ナラティブアプローチとは

ナラティブアプローチとは、カウンセリングや心理支援の現場で用いられる、語り(ストーリー)を重視する心理学的アプローチです。
人は出来事そのものではなく、「その出来事をどう意味づけ、どう語っているか」によって感情や行動を形成します。ナラティブアプローチでは、その語りに耳を傾け、固定化された見方を少しずつ問い直していきます。

この考え方は、「問題の原因は本人の性格や能力にある」という見方から距離を取り、関係性や文脈の中で問題を捉え直す点で、社会構成主義と強く結びついています。

問題を「人」から切り離して捉える考え方(外在化)

ナラティブアプローチの中核となる考え方が、外在化です。
外在化とは、問題を「その人自身」と同一視せず、人と問題を切り離して扱う視点を指します。

例えば、次のような捉え方です。

  • 「この人はやる気がない」ではなく「やる気が出にくい状況が続いている」
  • 「能力が低い」ではなく「能力を発揮しづらい関係性や前提がある」
  • 「性格の問題」ではなく「これまでの語られ方・評価のされ方の影響」

この視点を取ることで、当事者は防衛的になりにくくなり、対話や改善に向けた建設的な話し合いが可能になります。

人事・マネジメントの文脈では、評価面談や1on1、育成支援の場面で特に有効です。個人を責める評価ではなく、状況・関係・前提を一緒に見直す対話へとつなげやすくなります。

実際の現場では、「どう伝えるか」という表現面で悩むケースも少なくありません。
フィードバックの伝え方や、ポジティブ・ネガティブ双方の表現例を具体的に知りたい方は、以下の記事も参考になります。
【例文つき】フィードバックの伝え方|シーン別にポジティブ&ネガティブな表現をご紹介

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社会構成主義の具体例

社会構成主義は抽象的な理論と思われがちですが、実は人事・組織・対話の現場で既に多く活用されている考え方です。この章では、「社会構成主義 例」という検索意図に応えるため、職場・心理支援・組織開発という実務に近い場面での具体例を紹介します。理論と実践を結びつけて理解することで、人事施策やマネジメントへの応用イメージがつかみやすくなります。

職場での具体例(1on1・フィードバック)

職場で社会構成主義が最も分かりやすく表れるのが、1on1や評価フィードバックの場面です。
成果が出ていない場合でも、個人の能力に原因を帰属させるのではなく、「どのような関係性や対話が、この結果を生んでいるのか」を問い直します。

例えば、次のような関わり方が社会構成主義的な実践です。

  • 「なぜできなかったか」ではなく「どういう前提で動いていたか」を一緒に整理する
  • 上司の評価を結論として押し付けず、評価の意味を対話で再構築する
  • 行動そのものより、行動が生まれた背景(期待・認識)を言語化する

このように、評価を対話のプロセスとして扱うことで、納得感や行動変容が生まれやすくなります。
フィードバックの言葉選びや伝え方を工夫したい場合は、【例文つき】フィードバックの伝え方|シーン別にポジティブ&ネガティブな表現をご紹介 も参考になります。

心理支援における具体例(ナラティブアプローチ)

心理支援の分野では、社会構成主義をベースにしたナラティブアプローチが代表的です。
ナラティブアプローチでは、次の点が重視されます。

  • 問題を「個人の性格」ではなく「語られている物語」として捉える
  • 「自分は〇〇な人間だ」という固定的な語りをいったん分解する
  • 別の視点・解釈の可能性を対話の中で探る

この考え方は、メンタルヘルス対応や復職支援など、人事が関わる場面でも応用しやすい視点です。

組織開発・チームづくりでの具体例

組織開発の文脈では、社会構成主義はチームの文化や関係性を見直す視点として活用されます。
社会構成主義的な組織開発では、次の問いが使われます。

  • このチームでは「当たり前」とされている前提は何か
  • どんな会話・評価が、今の空気をつくっているのか
  • 別の語り方・意味づけはできないか

対話を通じて前提を言語化・再定義することで、協働の質や意思決定が変わっていきます。

社会構成主義を360度評価で実践する方法

社会構成主義の考え方は、「人を評価で裁く」のではなく、多様な視点を通じて意味を再構成する点に特徴があります。この思想は、上司一人の判断に依らず、複数の関係者の声を集める360度評価と非常に相性が良いと言えます。ここでは、360度評価を単なる制度ではなく、対話と学習を生む仕組みとして活用する方法を整理します。

360度評価と社会構成主義の相性

360度評価は、上司・同僚・部下など複数の立場からフィードバックを集めるため、単一の物語に評価を固定しにくいという特性があります。
これは、「評価は一つの真実ではなく、関係性の中で構成される」という社会構成主義の前提と重なります。

  • 上司視点だけでは見えなかった行動が可視化される
  • 部下自身の自己認識と、周囲の認識のズレに気づける
  • 「良い・悪い」の二元論ではなく、多面的な理解が生まれる

この構造そのものが、社会構成主義的な学習環境をつくります。

評価を「決める」から「意味を共有する」へ

従来の評価は、「評価を決めて伝える」ことが中心でした。
一方、社会構成主義の視点では、評価は対話の出発点です。

360度評価の結果をそのまま突きつけるのではなく、

  • なぜそのように受け取られたのか
  • どの場面・関係性でそう見えたのか
  • 本人はどう捉えているのか

を一緒に言語化していくことで、評価は「判断」から意味の共有プロセスへと変わります。
これにより、防衛的な反応が減り、行動改善につながりやすくなります。

対話型フィードバックとしての360度評価

社会構成主義を活かした360度評価では、結果そのものよりもフィードバックの対話設計が重要です。
一方的な説明ではなく、問いかけを中心に進めることで、本人が自分のストーリーを再構築しやすくなります。

  • 「このフィードバックをどう受け止めましたか?」
  • 「意外だった点・納得できた点はどこですか?」
  • 「次にどんな関わり方を試せそうですか?」

こうした対話を通じて、360度評価は成長を促すフィードバックの場として機能します。

360度評価をフィードバック文化や人材育成にどう活かすかについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
参考:【例文つき】フィードバックの伝え方|シーン別にポジティブ&ネガティブな表現をご紹介

社会構成主義のまとめ

社会構成主義は、「現実や評価、意味は人と人との対話の中でつくられる」という考え方です。人事や組織運営においては、個人の能力や成果を一方的に判断するのではなく、どのような前提や関係性の中で評価が形づくられているのかを見直す視点を与えてくれます。

本記事では、社会構成主義の基本概念から、対話の重要性、ナラティブアプローチとの関係、職場での具体例、そして360度評価への活用までを解説しました。

評価を「決めるもの」から「意味を共有するプロセス」へと捉え直すことで、納得感のある評価や健全な組織開発につながります。人事施策やマネジメントを見直す際の一つの思考フレームとして、ぜひ社会構成主義の視点を取り入れてみてください。

FAQ(よくある質問)

Q1. 社会構成主義とは、人事や組織マネジメントでどのように役立つ考え方ですか?
社会構成主義は、「評価・意味・現実は対話や関係性の中でつくられる」と捉える考え方です。 人事やマネジメントでは、個人の能力を一方的に判断するのではなく、 評価の前提や背景、関係性を見直す視点を持つことで、 評価エラーの防止や、納得感のあるフィードバックにつなげやすくなります。
Q2. 社会構成主義と人事評価・フィードバックはどのように関係しますか?
社会構成主義では、評価は「決めるもの」ではなく「意味を共有するプロセス」と考えます。 そのため、人事評価や1on1では、結果だけを伝えるのではなく、 どのような認識や前提で評価が行われたのかを対話することが重要になります。 これにより、部下の納得感や成長意欲を高めるフィードバックが実現しやすくなります。
Q3. 社会構成主義は360度評価や組織開発にも活用できますか?
はい、社会構成主義は360度評価と非常に相性が良い考え方です。 複数の視点からのフィードバックを通じて、 「誰が正しいか」ではなく「どのような見方が存在するか」を共有できます。 これにより、評価をきっかけとした対話が生まれ、 組織全体の学習や関係性の質を高める組織開発につながります。

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HRコラム編集部

「CBASE 360°」は、株式会社シーベースが提供するHRクラウドシステムです。経営を導く戦略人事を目指す人事向けのお役立ち情報をコラムでご紹介します。

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