成人発達理論とは?ロバート・キーガンが提唱する5段階の成長モデルと活用法
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「成人発達理論とはどんな理論なのだろうか」
「成人発達理論という言葉を聞いたけれど、どんな意味なのだろうか」
と気になりませんか。
成人発達理論とは、大人になっても人間は成長を続けることが可能という理論のことを指します。
人材育成に通じる新しい考え方として注目されています。
この記事を読めば、成人発達理論について理解することができます。
成人発達理論について気になっている方はぜひ、最後まで読んでいって下さいね。
目次
成人発達理論とは?
成人発達理論とは、ロバート・キーガン氏が提唱した理論で、成人になっても人は成長を続けるという理論です。
旧来の考え方では人間は成人になると成長がストップし、それ以上の成長は見込めないと考えられていました。
しかし、ロバート・キーガン氏の提唱した理論では成人になっても人は成長し続けることができると主張され、考え方が見直されてきています。
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成人発達理論における成長の2つの軸とは
「大人になっても人は成長できる」といっても、どのような意味での成長なのか気になる方も多いでしょう。
成人発達理論では、成長を「水平的成長(スキル・知識の拡張)」と「垂直的成長(思考の質的変化)」の2つの軸で捉えます。
この2軸を理解することで、「学び続ける社員」と「視座を変えて成長する社員」の違いが見えてきます。
それぞれの特徴を解説します。
水平的成長|スキルや知識を広げる成長
水平的成長とは、知識やスキルを量的に増やす成長を指します。
新しい資格を取得したり、業務スキルを磨いたりといった“できることの幅”が広がる状態です。
例えば、エクセルの操作を覚えたり、営業で新しい提案スクリプトを習得したりすることは、いずれも水平的成長にあたります。
つまり、「既存の思考の枠内でスキルを増やす」イメージです。
水平的成長を続けることで、実務能力や問題解決力が高まり、日々のパフォーマンス向上に直結します。
一方で、次に解説する“垂直的成長”が伴わないと、視野が広がらず応用力に欠ける場合もあります。
垂直的成長|思考の質を高める成長
垂直的成長とは、物事の捉え方や思考のレベルが変化する成長を指します。
これは「スキルの増加」ではなく、「ものの見方が深まる」発達です。
たとえば、若い頃には理解できなかった上司の判断が、経験を重ねるうちに「組織全体を見据えたものだ」と気づけるようになる――
このように、自分や他者、組織を多角的に見られるようになるのが垂直的成長です。
垂直的成長が進むと、対人関係・リーダーシップ・意思決定の精度が向上し、チーム全体の成果にも好影響を与えます。
ビジネスでは、マネジメント層やリーダー職が最も重視すべき発達領域といえるでしょう。
垂直的成長を促すには、上司や同僚との対話を通じた内省支援が欠かせません。特に1on1ミーティングでのフィードバックは、社員の視点を広げ、自律的な成長を支援する重要な機会になります。
成人発達理論における知性の3段階
成人発達理論において、知性には以下の3段階があるとされています。
・環境順応型知性
・自己主導型知性
・自己変容型知性
それぞれについて解説します。
参考:ロバート・キーガン、リサ・ラスコウ・レイヒー(2017)『なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか』中土井僚監訳、池村千秋訳 P91-108
環境順応型知性
環境順応型知性とは確固たる考え方を持っていない人材のことを指しています。
周囲の考え方に敏感であり、自分自身では仕事上の決定ができません。
昨今求められている自立型人材とは正反対の、指示待ちの人材のことを指します。
自己主導型知性
自己主導型知性の段階は、自分なりの考え方を持ち仕事を推進できる人材のことを指します。
仕事上進めるべき羅針盤を手に入れている状態です。
周囲に意見を言われても自分なりに仕事上の考え方を持っており、仕事を進めることができます。
自己変容型知性
自己変容型知性はこれからの時代に求められるリーダー像を指します。
学ぶことによって組織を導くリーダーであり、問題発見能力があり、様々なシステムが完璧ではないことを知っています。
矛盾を受け入れる度量を持っており、変化に強いリーダーであると言えます。
成人発達理論の5段階
成人発達理論には以下の5段階があります。
・具体的思考段階
・道具主義的段階
・他者依存段階
・自己主導段階
・自己変容・相互発達段階
それぞれについて解説します。
具体的思考段階
具体的思考段階は、未成年者のことを指しています。
具体的な思考を持っていますが、形のないものは理解できない状態です。
成人は次の道具主義的な段階からとなります。
道具主義的段階
道具主義的段階は自己中心的な状態のことを指します。
自分自身の要求を満たすことや、関心のある事柄にばかり気持ちが向いています。
自分以外の他社のことを考えられません。
他者依存段階
他者依存段階は自分自身の意思決定の基準を持っていません。
所属している組織が判断基準となっている状態です。
他者に依存する形での意思決定をする状態であり、自分自身での意思決定ができず、いわゆる指示待ち社員のような状態となります。
自己主導段階
自己主導段階は自律的な行動ができる状態です。
自分自身の中に確固たる価値観があり、自分自身の意見を述べることができます。
自律的に仕事をこなせる状態の社員に近い段階です。
自己変容・相互発達段階
自己変容・相互発達段階では、他者の価値観を受け入れ、自分自身の意見や考え方・価値観に囚われることなく仕事を進めることができます。
自分自身の成長だけではなく他者の成長にも目が向いている段階であり、リーダーとして高い資質を身に着けているという段階でもあります。
また、他者の考え方を積極的に知るために交流等を積極的に行います。
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成人発達理論のビジネス・キャリアでの活用法
成人発達理論は、単なる心理学的理論ではなく、企業の人材育成や組織開発にも応用できる実践的なフレームワークです。
ここでは、ビジネス現場で特に活用される3つの領域 ― 「リーダー育成」「キャリア開発」「組織変革」 ― に分けて解説します。
リーダーシップ育成への活用
成人発達理論の上位段階である「自己主導型」「自己変容型」は、リーダーに求められる資質と重なります。
多様な価値観を理解し、他者と協働して成果を出すためには、固定観念を超えて学び続ける姿勢が欠かせません。
この理論を取り入れたリーダー研修では、単なるスキル習得ではなく、内省を通じて思考構造を発達させることが目的になります。
上司・部下関係の改善にも効果があり、部下の発達段階に応じて「指示型→支援型→対話型」へとマネジメントスタイルを変えることで、
チームの自律性と成果を同時に高めることができます。
キャリア形成・コーチングへの応用
成人発達理論は、キャリア支援やコーチングにおいても強力な理論基盤です。
社員が「自分がどの発達段階にいるのか」を客観的に理解することで、次の成長に向けた課題を明確化できます。
コーチングや1on1面談に取り入れることで、「上司の指導」ではなく「本人の内省による成長」を促進できる点が特徴です。
また、キャリアの偶然性を前向きに活かす考え方として、
プランドハップンスタンス理論とは?キャリア形成に役立つ考え方と実践方法
もあわせて参照すると理解が深まります。
組織変革と評価制度への活用
成人発達理論の考え方は、組織文化や評価制度の設計にも応用可能です。
社員一人ひとりの発達段階を理解し、それに応じたフィードバックを行うことで、「成果主義」から「成長支援型」へと評価の質を変えることができます。
特に、360度評価はこの理論との親和性が高く、上司・部下・同僚など複数の視点から評価することで、個人の成長を多面的に可視化できます。活用方法については、以下の記事で詳しく紹介しています。
関連記事:360度評価とは?メリット・デメリットと実際の活用方法を紹介
このように、成人発達理論は「個人の発達 × 組織の学習」をつなぐ架け橋となり、持続的な人材育成と組織成長の両立を実現するための有効なフレームワークです。
成人発達理論を達成するための研修であるコーチング
成人発達理論を達成するための研修として、コーチングがあります。
コーチングは1対1で対話を通して自ら積極的に仕事を進めることができる人材への成長を促す手法となっているため、成人発達理論と相性の良い研修となっています。
コーチングでは質問形式で対話を行い、自ら答えを出していくような対話になります。
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成人になっても社員は成長する
成人になっても人は成長するということが成人発達理論では説かれていました。特に人材領域に関しては自立型人材を育成することが重要となっています。
成人発達理論をしっかりと理解し、人材開発を行うことで自立型人材の育成も可能となります。
成人発達理論のまとめ
今回は、ロバート・キーガン氏が提唱する成人発達理論について解説させていただきました。
成人発達理論では以下の2軸の成長があります。
・水平的成長
・垂直的成長
成人発達理論において、知性には以下の3段階があるとされています。
・環境順応型知性
・自己主導型知性
・自己変容型知性
成人発達理論には以下の5段階があります。
・具体的思考段階
・道具主義的段階
・他者依存段階
・自己主導段階
・自己変容・相互発達段階
成人発達理論では人間は大人になっても成長するという考え方がありました。
成人発達理論を理解し、コーチング等の手段で人材育成が出来るようになれば自立型人材を育成する上でも役立ちます。
FAQ(よくある質問)
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