離職率が高い企業に共通する特徴とは?原因と対策を徹底解説
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離職率が高く、離職率を下げる方法がないか、お困りの人事担当者の方は少なくないのではないでしょうか。離職率の高さは、採用・育成コストの増加や社内ノウハウの喪失、企業イメージの低下など、さまざまなデメリットをもたらします。
本記事では、離職率の基本的な概念や計算方法、離職率が高くなる原因にはどのようなものがあるのか、対策の実施方法や注意点まで解説します。会社の離職率の高さにお困りの方はぜひ参考にしてください。
離職率とは?
離職率とは、企業や組織内で従業員の離職(退職や解雇)の割合を示す指標で、雇用の安定性や労働者の満足度を示す指針になります。
一般的に、離職率が低い企業は従業員の満足度が高く、逆に離職率が高い企業は何らかの問題を抱えていることが多いです。離職率は人事戦略の見直しや改善点を見つけるための指標として、経営者や人事担当者にとって非常に重要なデータとなります。
一般的には1年間単位で算出されるケースが多く、新卒者や転職者などの対象を限定するなど、企業や組織のニーズや目的に応じて設定することができます。
離職率の計算方法
厚生労働省の雇用動向調査で使用されている離職率の計算方法は以下の通りです。
離職率 = 離職者数÷1月1日現在の常用労働者数×100(%)
新卒における離職率を計算したい場合は、分母に新卒入社人数をあてはめて算出します。
離職率の高さ
離職率の高さを判断する基準とは
離職率の高さを判断するには、厚生労働省が発表している「年雇用動向調査結果の概況」が参考になります。全体数値や産業別、就業形態や雇用形態別に分けた数値も確認できます。
「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、日本企業の常用労働者の平均離職率は15.0%でした。令和3年度は13.9%だったため、1.1ポイント上昇した結果となっています。
業界別離職率
「令和4年雇用動向調査結果の概況」で報告された業界別離職率によると、最も離職率の高い業界は「宿泊業、飲食サービス業」の26.8%となっています。次いで、「サービス業(他に分類されないもの」が19.4%、「生活関連サービス業、娯楽業」が18.7%の順となっています。
一方、離職率の低い業界は、「鉱業、採石業、砂利採取業」、「金融業、保険業」、「学術研究、専門・技術サービス業」の順でした。
新卒採用の3年以内離職率
新卒採用の離職率について、令和5年10月に厚生労働省が発表したデータをご紹介します。 就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が37.0%、新規大学卒就職者が32.3%となっており、前年度と比較していいずれも上昇しています。
新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率を産業別にみると、高卒、大卒ともに離職率の高い5産業は「宿泊業,飲食サービス業」、「生活関連サービス業,娯楽業」、「教育,学習支援業」、「医療,福祉」「小売業」でした。
厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00006.html
離職率が高い原因とは
離職率が高い原因は会社ごとに異なります。しかし、多くの会社でみられる原因には一定の傾向があることも間違いありません。離職率の高さにつながる原因としては以下のものが挙げられます。
・人間関係が悪い
・人事評価制度が適切ではない
・労働環境が悪い
・キャリアプランの問題
・教育の問題
・働き方の多様性が認められていない
・採用時点でのミスマッチ
それぞれの理由について、次で詳しく解説します。
人間関係が悪い
上司や同僚との対立やコミュニケーション不足は、チームワークや業務効率にも悪影響を及ぼし、離職率を上昇させる要因となります。
離職理由の中でも、特に多く見られるのが人間関係の悪さです。HR総研が2021年に実施した調査によると、代表的な退職理由として、「上司との人間関係の問題」が38%、「同僚・先輩・後輩との人間関係」が30%を占めていることがわかりました。
参考:HR総研「人材定着の取り組み」に関するアンケート 調査報告
https://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=313
ただし、人間関係の悪さの背景には、ストレスがかかる職場環境など別の要因が背景にある可能性もあります。そのため、人間関係の悪さの背景にどのような原因があるのか、追求することが大切です。
人事評価制度が適切ではない
人事評価制度の不備は、従業員のモチベーションや成長意欲に大きな影響を与えます。以下の場合、離職する可能性が高まります。
・仕事に対して適切な評価がされていないと感じる
・評価が具体的になっていない
・フィードバックが得られない
評価制度が不適切な場合、従業員は自らの努力や成果が正当に評価されないと感じ、不満を抱くことがあります。また、偏りや主観的な評価が行われると、公平性や信頼性が損なわれます。
これに対処するためには、明確な評価基準や目標設定、フィードバックの頻度や透明性の向上、従業員の能力や成果を客観的に評価する仕組みの導入が必要です。公平で適切な評価制度を確立することで、従業員のモチベーションを向上させ、離職率の低下につなげることができます。
労働環境が悪い
以下のような労働環境の問題がある場合、離職率は高まります。
・長時間労働が常態化している
・パワハラやセクハラなどのハラスメントが問題になっている
・給料が全体的に低い
・休みが少ない
・職場環境に問題がある
・従業員のモチベーションが低い
このような会社の場合、従業員のモチベーションは下がりやすくなり、離職率が上がってしまいます。
キャリアプランの問題
HR総研が2021年に実施した調査によると、「社内でのキャリアアップが見込めない」を離職理由に挙げている人は22%おり、キャリアプランに問題があることで、離職する人も少なからず存在します。
組織内でのキャリアパスや昇進条件が不明確である場合、従業員は自らのスキルや経験を活かす機会を見失い、モチベーションが低下します。また、キャリアの方向性や成長に関する情報が不足している場合、従業員は自己成長の機会を見逃したり、組織外でのキャリアチャンスを模索する可能性が高まります。
この問題に対処するためには、組織が従業員と積極的にコミュニケーションを取り、キャリアパスや昇進の基準、教育・トレーニングの機会について透明性を高める必要があります。
明確なキャリアプランの提示や、従業員の成長を支援するプログラムの提供によって、従業員のモチベーションや満足度を向上させ、離職率の低下につなげることができます。
教育の問題
企業が人材育成に力を入れていないことで、離職率が上がる場合があります。人材育成に取り組んでいない場合、仕事をする中で生じる問題の解決方法がわからなくなり、ストレスが高まる可能性があるためです。
また、従業員の能力と業務内容のミスマッチが発生している場合にも、同様の問題が起こります。研修などの教育体制だけではなく、日常業務でもフィードバックや相談できる環境が整っていることが重要です。
働き方の多様性が認められていない
働き方の多様性が認められていないことで、離職する可能性もあります。近年では副業に対する意識が高まっており、副業そのものが可能かどうか、副業がしやすい環境であるか意識している従業員も少なくありません。
フレックスタイム制の導入やテレワークの推進、時短勤務制度の導入などがされていると、さまざまな働き方が可能になり、離職率は下がるでしょう。
採用時点でのミスマッチ
HR総研が2021年に実施した調査によると、退職理由として「業務内容のミスマッチ」を挙げている人が38%いました。特に採用時点で「会社のポジティブな側面」ばかりを伝えすぎているとミスマッチが発生しやすくなります。
求人情報の内容を見直し、よい部分だけをフォーカスするのではなく、悪い部分や特に事前に確認しておきたい部分を伝えつつ、会社本来の姿を可能な限り正確に伝えることで、ミスマッチは減少するでしょう。
また、職場体験や話ができる場など、数字で具体的に示せない社風や職場の雰囲気などについて、リアルな体験ができる仕組みをつくるとより納得感を得やすくなるでしょう。
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離職率が高い企業の特徴
長時間労働や残業が多い
離職率が高い企業の特徴として、長時間労働や残業が多いことが挙げられます。
長時間労働や残業が続くと、従業員のワークライフバランスが崩れ、仕事とプライベートの充実度が低下します。その結果、ストレスや疲労が蓄積し、心身の健康が脅かされる可能性があります。また、残業や長時間労働が当たり前とされる環境では、従業員のモチベーションや生産性が低下し、仕事への満足度も低くなります。
企業は長時間労働や残業を減らすために、業務の効率化や適切な業務配分、労働時間の管理、柔軟な勤務制度の導入など、労働環境の改善に取り組むことが重要です。
人事評価制度が整っていない
離職率が高い企業の特徴として、人事評価制度が整っていない点が挙げられます。
適切な人事評価制度が整っていない企業では、従業員のモチベーションが低下しやすくなります。評価が不透明で不公正であると、従業員は自分の努力や成果が正当に評価されていないと感じ、不満が蓄積されます。
また、評価基準が曖昧で一貫性がない場合、従業員間での競争が不健全なものとなり、チームワークの低下を招く可能性があります。これにより、職場の雰囲気が悪化し、さらに離職率が上昇する要因となります。
福利厚生が充実していない
離職率が高い企業では、福利厚生が不十分であることが多いです。従業員が安心して働ける環境を提供するためには、健康保険や年金、育児休暇制度など、基本的な福利厚生を整えることが必要です。
また、最近ではリモートワークの導入やフレックスタイム制の採用など、柔軟な働き方をサポートする制度も求められています。福利厚生を充実させることで、従業員の生活の質を向上させ、離職率の低下につながります。
社員のモチベーションが低下している
社員のモチベーションが低下していることも、離職率が高い企業の特徴です。モチベーションが低下すると、業務の効率が悪くなり、生産性も低下します。社員のモチベーションを維持・向上させるためには、適切な評価制度とキャリアパスの明確化が重要です。定期的な面談を行い、従業員の目標設定とその達成度を評価し、フィードバックを提供することで、モチベーションを高めることができます。
ハラスメントの蔓延
離職率が高い場合、ハラスメントが発生している場合があります。
ハラスメントは受けている従業員の心身の健康が損なわれるだけでなく、その行為を目撃する他の従業員にも悪影響を与えます。職場全体の士気や生産性の低下、コミュニケーションが阻害されることも少なくありません。
また、ハラスメントを適切に対処していない企業は、外部からの評判も悪化し、人材確保に困難をきたす可能性が高まります。
ハラスメント防止研修の実施や、匿名の通報制度を整えるなど、従業員が声を上げやすい環境を整備してハラスメントを防止しましょう。
参考記事
職場で取り組むべきパワーハラスメント対策とは?パワハラ防止策と事例について徹底解説!
離職率が高いデメリット
企業における高い離職率は、さまざまなデメリットを引き起こします。従業員が頻繁に辞めてしまうと、企業の成長や生産性に悪影響を及ぼします。ここでは、離職率が高いことによる具体的なデメリットについて解説します。
採用・育成コストがかかる
離職率が高いデメリットとして、採用コストや育成コストが余分にかかることが挙げられます。
離職率が高いと、従業員の継続的な入れ替わりが多くなるため、新たな人材を募集・採用するコストが発生します。さらに企業研修や現場での教育などの育成コストもかかるだけでなく、これまでかけてきた育成コストも無駄になってしまいます。
社内にノウハウがたまらない
離職率が高いことで、社内にノウハウが蓄積されにくくなります。
経験豊富な従業員が退職すると、その人が持っていた知識やスキル、業務のノウハウが失われるだけでなく、知識やスキルが外部へ流出してしまう場合があります。また、新しい従業員が一から学び直す必要があるため、業務の効率が低下します。企業全体の競争力の低下や長期的な成長に悪影響を及ぼします。
業務の安定性が損なわれる
従業員が頻繁に辞めることで、業務の安定性が損なわれます。特に、重要なプロジェクトの途中で従業員が辞めると、計画が大幅に遅れたり、品質が低下したりするリスクがあります。こうした状況は、顧客満足度の低下や取引先との信頼関係の悪化を引き起こす可能性があります。
残業や業務過多の増加
離職率が高いと、残された従業員に負担が集中しがちです。少ない人員で業務をこなさなければならないため、残業が増え、業務過多の状態が続くことになります。
これにより、残された従業員のストレスが増加し、さらなる離職の連鎖を引き起こすことになります。この悪循環は、企業全体の生産性を低下させる大きな要因となります。
企業イメージの低下
離職率が高いことで、企業のイメージが低下する可能性があります。外部から見ると「働きやすい環境ではない」という印象が与えかねず、優秀な人材が応募を躊躇する原因となります。
離職率の高さはSNSや口コミなどを通じて広がり、企業のブランドイメージにまで悪影響を与え、人材確保においても及ぼす可能性があります。
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離職率が高い場合の対策
適切で納得感のある評価制度の導入
離職率を低下するためには、適切で納得感のある評価を行うことが大切です。
自分の業績や成果を適切に評価されることで、やりがいやモチベーションが向上し、離職率の低下につながります。また評価制度の納得感が低いと「いくら頑張っても評価されない。頑張るだけ無駄。」と考える人が出てくる可能性があるため、納得感を高めることも重要です。
360度評価は上司からの評価だけではなく、同僚、部下、他の部署の従業員など、評価対象者に関わるあらゆる立場の人が評価を行うことが特徴です。異なる立場の人からもどのように見えているかが可視化できるため、評価制度の納得感を高めるのに役立ちます。
風通しのよい職場環境
風通しのよい職場環境は、従業員が意見を自由に述べられる雰囲気を作り出します。上司や同僚とのコミュニケーションが円滑であることは、従業員がストレスを感じにくくなる要因の一つです。
定期的なミーティングや1 on 1の導入により、従業員の声を積極的に聞き入れる環境を整えることが重要です。このような環境は、従業員のエンゲージメントを高め、離職率の低下に寄与します。
ワークライフバランスの整備
従業員が長期間にわたって働き続けるためには、ワークライフバランスの整備も重要です。
長時間労働や過度な業務負荷は、従業員の健康を損ない、離職の原因となります。フレックスタイム制やリモートワークの導入、十分な休暇の取得を推奨することで、従業員の生活と仕事のバランスを取りやすくします。これにより、従業員のストレスが軽減され、離職率が低下します。
参考記事:
働き方改革とリモートワーク。360度評価で評価制度を強化しよう
労働環境の見直し
労働環境の見直しは、従業員が快適に働ける環境を提供するための基本的な対策です。
オフィスのレイアウトや設備の改善、労働時間の適正化、適切な休憩時間の確保など、物理的な環境を整えることが重要です。また、ハラスメント防止のための対策を徹底し、従業員が安心して働ける環境を提供することも必要です。これにより、従業員の働きやすさが向上し、離職率が低下します。
定期的な社内アンケートの実施
社内アンケートの実施は、従業員の満足度や不満点を把握するための有効な手段です。定期的にアンケートを実施し、従業員の意見を収集・分析することで、問題点を早期に発見し、改善策を講じることができます。また、アンケート結果を透明に公開し、フィードバックを基に具体的な改善を行うことで、従業員の信頼感を高めることができます。
参考記事:
社内アンケートで本音が聞きたい!①~最適なアンケート形式~
離職率を下げる施策の注意点
離職率を下げる施策を実施する際には、以下の点に注意が必要です。
・従業員からのフィードバックを積極的に収集し、原因調査を丁寧に行う
・施策は一時的なものではなく、持続的に取り組む
・施策の効果を定期的にモニタリングし、改善を行う
離職率を下げるためには、従業員からのフィードバックを積極的に収集し、丁寧なヒアリングを行うことが大切です。施策を実施する際には一方的な決定ではなく、従業員とのコミュニケーションを重視し、共感を得ることが大切です。
また、施策は一時的なものではなく、持続的な取り組みが必要です。短期的な対処ではなく、長期的な視点で計画を立てることが重要です。
最後に、施策の効果を定期的にモニタリングし、必要に応じて改善を行うことが不可欠です。継続的な評価と改善を通じて、離職率の低下を維持・向上させることが可能です。
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まとめ
離職率が高い原因は労働環境の問題や、キャリアプランの問題、人間関係など、会社によって抱えている原因は異なります。
そのため、離職率を下げるためには、会社の課題は何か分析し、会社の実情に合わせた離職防止策を実施することが大切です。会社の抱えている課題をどのように把握すればよいのかお困りであれば、CBASEの組織診断の導入もご検討ください。CBASEの組織診断は組織の課題を視覚的に把握し、離職率を下げる解決策の実施をサポートします。
離職防止策については、下記資料もぜひお役立てください。
これから始める「離職防止」施策ガイドブック
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