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ピーターの法則とは?組織への影響と創造的無能の考え方、対策をわかりやすく解説

2025.05.23 その他

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現場で成果を上げた人材が昇進後に力を発揮できなくなる──そんなケースは多くの企業で見られます。これは「ピーターの法則」と呼ばれる現象で、組織構造や人事制度の歪みから生じるものです。本記事では、ピーターの法則の定義や発生要因、組織・個人がとるべき対策、さらに関連する2つの組織論を取り上げます。昇進がキャリアのゴールとされがちな企業文化において、今こそ“適材適所”を見直す視点が求められています。

ピーターの法則とは

ピーターの法則とは、「人は無能になるまで昇進する」という命題で知られる組織行動理論です。1969年にカナダの教育学者ローレンス・J・ピーターが提唱し、成果を上げた人材が昇進を繰り返すなかで、最終的に能力や適性を超えた役職に就いてしまうという構造を示しました。この法則は、人事制度に潜む構造的な盲点を鋭く突いており、現代の企業でも見られる課題です。組織と個人、双方にとっての“適材適所”を見直す視点として、今も重要性を増しています。

ピーターの法則が生じる条件

ピーターの法則は理論上の話にとどまらず、実際に多くの企業で見られる現象です。ただし、この法則が機能してしまう背景には、組織の文化や制度設計に共通した特徴があります。たとえば「成果を出した人は昇進させるべき」といった価値観、マネジメント適性の軽視、そして現場からのフィードバック不足などが挙げられます。本章では、こうした組織内部の構造がどのようにしてピーターの法則を現実のものにしているのか、その条件を具体的に掘り下げていきます。

昇進と評価が直結する人事制度

多くの組織では、優れた成果を上げた社員を昇進させることが“当然の流れ”とされています。しかしこの考え方は、ピーターの法則を引き起こす一因になりかねません。管理職に求められるのはプレイヤーとしての能力とは異なるスキルであり、昇進が必ずしも適職を意味するわけではないのです。昇進を一律の評価軸とせず、多様なキャリアパスや専門職制度を整えることで、本人の適性を活かしながら無理のない人材配置が可能になります。

マネジメント適性への配慮不足

ピーターの法則が現実に起きる背景には、昇進時にマネジメント適性を十分に考慮しない評価制度があります。現場で成果を出した人が、そのまま管理職に抜擢されることは少なくありません。しかし、マネジメントには別のスキルや資質が求められ、プレイヤーとしての実績だけでは対応しきれない場面が多くあります。昇進前にリーダーシップや対人関係能力などを多面的に評価する体制を整えることが、組織の持続的な成長には欠かせません。

現場の声が届きにくい人事運用

ピーターの法則が生じやすい組織には、現場からのフィードバックが人事判断に反映されにくいという共通点があります。上司の評価だけで昇進が決まる仕組みでは、当人のマネジメント力や職場の空気感が見落とされがちです。特に中間管理職の実態は、部下や同僚の声にこそ表れます。多面的な評価制度や、現場を巻き込んだ昇進プロセスを整備することで、適性に合った配置が可能になり、無理な昇進による弊害も防げます。

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ピーターの法則と創造的無能

ピーターの法則が生じる背景には、昇進=成功という一元的な価値観や、マネジメント適性への軽視といった構造的な問題がありました。それに対して注目されているのが「創造的無能」という考え方です。これは、あえて昇進を望まず、今の職務で能力を発揮し続けるという選択によって、自身の限界を超えた配置を避けるという戦略的な姿勢を指します。本章では、創造的無能の基本概念とその価値、そして現代の組織やキャリア形成における意味合いについて解説します。

昇進を断るという選択肢

昇進の話が来ると、それを当然のステップと感じてしまいがちですが、自分の適性をふまえて断ることもひとつの選択です。創造的無能の視点では、自分が最も力を発揮できる領域で働き続けることこそが、長期的な成果や充実感につながると考えます。無理に昇進し、マネジメント不適応に苦しむよりも、今の仕事にやりがいを見出す判断は、個人にとっても組織にとっても建設的なものとなるはずです。

現職で成果を出し続ける価値

創造的無能は、「今いる場所で力を発揮し続けること」に価値を置く考え方です。キャリアアップ=昇進という図式から離れ、自分の強みを活かせる領域で長く活躍することが、組織全体の安定や成果にもつながります。特に専門性が高い職種や、顧客対応の最前線では、現場での実力が継続的に発揮されることが何より重要です。昇進にとらわれず、プロフェッショナルとしての貢献を重視する姿勢が注目されています。

キャリアを自分で選ぶという発想

創造的無能を支えるのは、他人の期待や肩書きではなく、自分の価値観に基づいたキャリア設計です。自分にとっての働きがいや成長を主軸にキャリアを築く発想が求められます。これは消極的な選択ではなく、納得のいく働き方を自ら選び取る“能動的な判断”です。仕事との向き合い方が多様化する今、こうした視点は一人ひとりのキャリアの持続可能性を高める鍵となります。

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ピーターの法則による組織への影響

ピーターの法則が実際に組織内で生じると、その影響は個人のパフォーマンス低下にとどまらず、チーム全体や経営層の意思決定にまで広がります。特にマネジメント適性のない人材が管理職に就くことで、現場の混乱、部下の成長停滞、組織文化の硬直化といった問題が表面化します。本章では、ピーターの法則を放置した場合にどのような悪影響が起こるのかを具体的に見ていきながら、組織として向き合うべき課題の輪郭を明らかにしていきます。

意思決定の質の低下

マネジメントの適性を欠いた人材が昇進すると、判断の遅れやブレが生じ、現場の業務に混乱を招きます。方向性が曖昧になれば、メンバーは迷い、行動に一貫性がなくなります。リーダーが指針を示せない職場では、意思決定が現場レベルで止まり、チームの機動力が損なわれます。これにより業務効率や成果の低下が引き起こされ、最終的には顧客対応や外部評価にも悪影響が及びます。

モチベーションの喪失

不適切な人事配置は、社員のやる気を大きく損ねます。「頑張っても評価されない」「上司の言動に納得できない」といった不信感が蓄積されると、チームの士気は確実に下がります。特に若手社員ほど、納得感を重視する傾向が強く、理不尽な状況が続けば早期離職にもつながりかねません。モチベーションの低下は成果に直結するため、現場での空気感を見逃さない姿勢が求められます。

変化を受け入れにくい組織文化

ピーターの法則が慢性化すると、組織内に変化を避ける空気が広がり、新しい挑戦や改善の動きが生まれにくくなります。適性を欠いた管理職が意思決定層にとどまることで、現場からの提案が無視されやすくなり、イノベーションの芽が摘まれてしまいます。その結果、社員は「言ってもムダ」と感じ始め、発言や行動が消極的に。こうした文化が定着すれば、組織の成長は鈍化し、優秀な人材の流出や競争力の低下を招くリスクが高まります。

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ピーターの法則を防ぐ人事施策

ピーターの法則を未然に防ぐためには、個人の自覚だけでなく、組織としての制度設計が重要です。特に、昇進が唯一の成功ルートとされる評価体系や、マネジメント適性を見極めない人事運用は、結果的に人材の“無能化”を引き起こしかねません。そこで必要になるのが、多面的な視点を取り入れたフィードバック制度や、昇進以外のキャリアパスを整備する仕組みです。本章では、ピーターの法則を回避するための実践的な人事施策について、組織が取り組むべき3つの観点から紹介します。

昇進基準にマネジメント適性を組み込む

プレイヤーとして成果を上げたからといって、必ずしも管理職に向いているとは限りません。ピーターの法則を防ぐには、昇進判断の段階でマネジメント適性を評価軸に含めることが不可欠です。リーダーシップ、共感力、チーム運営力など、実績とは異なる視点から資質を見極める仕組みを整えることで、適性のない昇進を防ぎ、本人のキャリアも組織の健全性も守ることができます。

出世重視の働き方からの転換

昇進や肩書きが評価のすべてだとされる組織では、ピーターの法則が起こりやすくなります。成果を出していても、昇進しない限り認められにくいという空気は、社員に「無理にでも上を目指さなければ」という圧を与えがちです。この状況を変えるには、出世以外にも力を発揮できる役割やキャリアパスを明確に示す必要があります。多様な成長や貢献を評価できる制度を整えることで、個々が自分に合った働き方で組織に貢献できる土壌が生まれます。

360度評価で多面的なフィードバックを活用する

360度評価は、昇進や査定の材料ではなく、マネジメント適性や日常の行動に関する気づきを得るためのツールとして有効です。上司だけでなく、部下や同僚など、さまざまな立場からのフィードバックを集めることで、本人の強みや課題が立体的に見えてきます。こうした情報は、育成や対話のきっかけとしても活用でき、組織全体での相互理解や信頼関係の醸成にもつながります。運用目的を明確にすることで、現場の協力も得やすくなります。
参考記事:360度評価とは?メリット・デメリットと実際の活用方法を紹介

ピーターの法則を防ぐ個人のアプローチ

ピーターの法則を防ぐには、制度や評価の仕組みを整えるだけでなく、個人の意識と行動も重要な鍵を握ります。とくに昇進を当然とするような風土のなかでは、自分の適性や価値観を見失い、思わぬミスマッチを招く可能性があります。本章では、マネジメントに昇進するかどうかを判断する際や、納得のいくキャリアを描くために意識したい視点について紹介します。組織の構造に左右されすぎず、自分の働き方や強みを主体的に見直すことが、無理のないキャリア形成の第一歩になります。

自分の適性と強みを言語化する

ピーターの法則を避ける第一歩は、自分の得意領域や苦手なことをきちんと把握しておくことです。昇進や異動のチャンスが巡ってきたとき、自分がその役割に適しているかを判断できる基準が必要です。過去の成功体験や他者からのフィードバックをもとに、自分の強みや特性を言語化しておくことで、意思決定の軸がブレにくくなります。納得感のあるキャリア選択には、まず自己理解が欠かせません。

昇進=成功という思い込みから距離を取る

出世や昇進がキャリアの成功とされる価値観に、知らず知らずのうちに縛られていないでしょうか。自分に合わない役職を選ぶことで、やりがいや能力を失うことは少なくありません。キャリアの正解は一つではなく、「今の仕事にやりがいを持ち続けること」も立派な選択肢です。昇進そのものを目的にせず、自分の働き方や価値観に合った選択をする意識が、ピーターの法則を遠ざける鍵となります。

継続的にフィードバックを受け取る習慣を持つ

自分の強みや課題に気づくには、定期的にフィードバックを受け取る姿勢が欠かせません。上司や同僚、部下など、さまざまな立場からの意見に耳を傾けることで、自己認識の精度が高まります。特に昇進のタイミングでは、ポジティブな評価だけでなく「不安に思われていること」もヒントになります。360度評価のような仕組みがなくても、信頼できる相手に相談する習慣が、適切なキャリア判断を支える力になります。

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ピーターの法則と関係の深い組織の法則

ピーターの法則を理解するうえで、あわせて知っておきたいのが「ディルバートの法則」と「パーキンソンの法則」です。これらは、それぞれ異なる視点から組織における非合理な構造や人材配置の矛盾を描き出しており、ピーターの法則と同様に、職場で起きがちな“構造的問題”を的確に突いています。極端に見える内容の中にこそ、リアルな組織課題が潜んでいることも少なくありません。本章では、これらの法則の概要と、ピーターの法則との共通点・補完関係について解説します。

ディルバートの法則

ディルバートの法則は、「最も無能な人が管理職に昇進するのは、有能な人材を現場に留めるためである」という逆説的な組織論です。成果を出す人材ほど昇進させにくく、あまり成果が見えにくい人ほど“余っているから”という理由でマネージャーになる、という構造が風刺的に描かれています。実際の組織でも、成果が属人化した現場では昇進判断が歪みやすく、ピーターの法則と同じように“適材不適所”が常態化する危険があります。

パーキンソンの法則

パーキンソンの法則は、「仕事は、与えられた時間や資源を使い切るまで膨張する」という原則です。これは、仕事の量にかかわらず、時間や人数が増えるほど業務が複雑化・細分化してしまうという傾向を指摘しています。特に大規模組織では、非効率な会議や不明瞭なタスクが増殖しやすく、ピーターの法則が示す「役割と能力のミスマッチ」に拍車をかける要因となることもあります。組織設計を考えるうえで示唆に富んだ法則です。

3つの法則に共通する組織の課題

ピーターの法則、ディルバートの法則、パーキンソンの法則はいずれも、組織の中で起きがちな構造的な課題を浮き彫りにしています。共通しているのは、評価制度や人材配置、業務設計といった仕組みが実態とズレて機能してしまっている点です。こうしたズレが積み重なることで、無理な昇進や非効率な業務、形骸化した組織文化が生まれやすくなります。これらの法則は、単なる風刺ではなく、組織を見直すきっかけとなる“気づきの視点”として活用することができます。

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まとめ

ピーターの法則は、単なる理論ではなく、私たちの働く現場で日々起きうる現実です。適性を見極めない昇進や、評価制度の偏りは、個人にも組織にも大きな影響を及ぼします。本記事で紹介した創造的無能の考え方や360度評価の活用、多様なキャリアの選択肢は、そうしたリスクを和らげるヒントとなります。大切なのは、組織も個人も「自分に合った役割とは何か」を見つめ直し、納得感のある働き方を選ぶこと。ピーターの法則は、私たちの意識と仕組みで防ぐことができます。


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HRコラム編集部

「CBASE 360°」は、株式会社シーベースが提供するHRクラウドシステムです。経営を導く戦略人事を目指す人事向けのお役立ち情報をコラムでご紹介します。


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