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人事評価におけるアンカリングを防ぐ仕組みと実践3ステップ

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人事評価では、最初の印象や前年のスコアが無意識に基準となる「アンカリング効果」により、公平性や納得感が損なわれることがあります。
本記事では、この心理的バイアスが生じる仕組みと評価への影響を整理し、評価者の思考特性の理解・教育・制度設計の見直しを軸に、組織全体でアンカリングを防ぐための3つの実践ステップを紹介します。
評価の精度と納得度を高めたい人事担当者に向けた、実践的な内容です。

目次

アンカリング効果とは ― 人事評価に潜む心理的バイアス

人事評価の現場では、評価者が知らず知らずのうちに“最初の印象”や“初期の情報”に引きずられることがあります。これをアンカリング効果と呼びます。評価者が一度「この人は優秀だ」と思うと、その後の行動や成果をその印象の延長で見てしまいます。逆に「今年はやや低調だ」と感じれば、多少の成果があっても低めに評価してしまいます。こうした心理的傾向が、評価の公平性や客観性を損なう大きな要因になります。この章では、アンカリング効果の基本的な意味と心理的背景を整理し、人事評価との関係を具体的に見ていきましょう。

アンカリング効果の定義と心理的背景

アンカリング効果とは、最初に提示された情報(アンカー=錨)が、その後の判断や意思決定に強く影響を与える現象のことです。
心理学や行動経済学の分野で広く知られる概念で、人間は「最初の基準」に思考を固定してしまう傾向を持ちます。たとえば買い物の際、「通常価格10万円の商品が7万円!」と書かれていると、7万円が“お得”に感じます。これは、10万円という最初の数字が判断基準(アンカー)として働くからです。

人事評価でも同様です。最初に得た印象や数値が評価者の中で“基準点”となり、それ以降の判断を左右します。これは意識的に避けようとしても起こりやすい、人間の認知バイアスの一種です。評価の信頼性を高めるためには、まずこの無意識の影響を理解することが出発点になります。

人事評価における具体例

人事評価では、アンカリング効果が特に発生しやすい場面がいくつかあります。
代表的なものを見てみましょう。

  • 前年の評価スコアを引きずる
    前回の評価が高かった社員には「今年もきっと良い成果を出すだろう」と無意識に期待し、逆に前回低かった社員には厳しい目を向けてしまう傾向があります。

  • 第一印象が後の判断を左右する
    面談の初回印象や普段の発言トーンなど、初期の印象がアンカーとなり、実際の業績よりも印象面が強く影響するケースがあります。

  • 上司・同僚からの事前情報に影響される
    「あの人は優秀だよ」「最近ちょっと元気ないみたい」などの先入観が、実際の評価観察にも影響します。

こうした状況では、評価者が意識的に客観的データを見ようとしても、心理的な“初期値”の影響から完全に逃れるのは難しいのが実情です。
だからこそ、評価プロセスの中で「最初の情報がどこで形成されるのか」を意識し、構造的に影響を最小化する工夫が必要になります。

ハロー効果・確証バイアスとの違い

アンカリング効果は、人事評価における代表的な評価バイアスの一つですが、他のバイアスとも密接に関係しています。特に混同されやすいのがハロー効果確証バイアスです。

これらのバイアスはいずれも評価の客観性を損なう心理的要因ですが、アンカリング効果は特に「最初に与えられた情報がその後の判断全体を左右する」点で特徴的です。評価者がこの違いを理解し、どの段階でどんな影響が出るのかを意識できるようになると、より公平で再現性のある評価プロセスを構築しやすくなります。

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人事評価でアンカリングが起きる仕組み

アンカリングは、人事評価の流れの中で自然に生まれる現象です。
評価者が最初に得た印象や数値を“基準”として捉え、それを出発点に判断を積み上げていくことが多くあります。
この章では、アンカーが形成される主な場面と、評価者の思考プロセス、さらに制度や面談設計によってどのように影響が強まるのかを整理します。

アンカーが形成される場面

アンカリングは、評価が始まるより前の情報によって生まれることが多いです。
たとえば、前年の評価スコアや初回面談での印象、上司や同僚からのコメントなどが該当します。
これらの情報は無意識のうちに「基準点」として固定され、後の判断を方向づけることがあります。

特に数値情報は強い影響力を持ちます。
「営業目標120%達成」「残業時間が前年比30%減」などの数値を最初に見た時点で、評価者の中に“良い”という印象が形成され、その後の判断を左右します。
このように、最初に与えられる情報の質や順序が評価に大きな影響を与えるため、評価プロセス全体の設計段階から注意を払うことが重要です。

評価者の思考パターンとアンカリングの関係

アンカリングが起きる背景には、評価者自身の思考の習慣があります。
人間は多くの情報を効率的に処理するため、最初の印象や数値を基準にして判断を簡略化しようとする傾向があります。
この“思考の省略”が、結果としてバイアスを生み出します。

たとえば、ある社員に好印象を持っていると、ポジティブな情報ばかりを拾い上げやすくなります。
逆に、「課題が多い」と感じた社員については、改善の兆しを見落としがちになります。
このような確証バイアスとアンカリングの連動は、人事評価で特に起こりやすい現象です。

完全に排除するのは難しいですが、自分の判断が初期情報に偏っていないかを一度立ち止まって確認するだけでも、評価の精度は向上します。
アンカリングを防ぐ第一歩は、評価者自身がその存在を自覚することです。

制度や面談設計がアンカリングを助長する場合

アンカリングは心理的な現象であると同時に、評価制度の設計そのものが影響を強める場合もあります。
たとえば、評価フォームに前年のスコアを記載していたり、評価面談の冒頭で前年の結果を振り返る構成にしていると、それがアンカーとして機能します。
また、複数項目を一括で評価するような設計では、最初の印象が全体評価を支配しやすくなります。

こうした仕組み的な要因を抑えるには、評価の順序や情報提示の流れを見直すことが効果的です。
たとえば、「前年の評価確認は最後に行う」「現年度の実績データだけで一次評価を行う」といった手法が挙げられます。

特に面談の進め方は、社員の納得感を左右する重要な要素です。
具体的な伝え方の工夫については、「人事評価面談での伝え方|低評価の伝え方・納得感を高める方法」も参考になります。

評価制度を再設計する際は、心理的・構造的な両面からアンカリングの要因を洗い出すことが、公平な評価運用を実現するための鍵となります。

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アンカリングがもたらす人事評価の歪みとリスク

アンカリングは、評価の信頼性を静かにむしばむ要因のひとつです。
初期情報の影響が残ったまま評価を進めると、実際の成果や成長よりも印象が重視され、社員のモチベーションにも悪影響を及ぼします。
この章では、アンカリングが具体的にどのような歪みを生むのか、そしてそれが組織全体にどんなリスクをもたらすのかを見ていきます。

評価が均一化し、変化を正しく捉えられなくなる

アンカリングの典型的な影響のひとつが、「前年とほぼ同じ評価になる」現象です。
評価者が前回のスコアや印象を基準にしてしまうため、今年の変化を小さく見積もる傾向が生じます。
結果として、改善や成長が十分に反映されず、「頑張っても評価が変わらない」という不満につながります。

特に評価制度が年次単位で行われる場合、前年の情報がそのまま評価基準として残りやすい点に注意が必要です。
本来であれば、直近の成果や行動変化を反映させる仕組みを設けることで、アンカリングの影響を緩和できます。
たとえば、四半期単位のフィードバックや中間レビューの導入は、変化を適切に捉える有効な方法です。

社員の納得感とモチベーションが下がる

アンカリングが評価の中で続くと、社員の「どうせ変わらない」という感覚が強まります。
どんなに成果を出しても、最初の印象や過去の評価に引きずられていると感じれば、納得感のない評価として信頼を失います。
これが続くと、上司への不信感だけでなく、評価制度全体に対するモチベーションの低下にもつながります。

さらに、評価が形骸化すると、成長のための対話が生まれにくくなるという副作用もあります。
人事評価は単なる採点ではなく、成長の方向性を共有するプロセスでもあるため、納得感が失われると制度全体の目的が揺らぎます。
評価の透明性を高め、フィードバック機会を増やすことが、信頼を取り戻す第一歩になります。

組織の公平性が揺らぎ、離職リスクが高まる

アンカリングの影響が長期化すると、組織全体の公平性の認識にも影響が及びます。
「誰がどの基準で評価されているのか分からない」「上司によって基準が違う」といった声が増えると、社員間の心理的な不均衡が広がります。
これが評価への不信や、離職のトリガーになるケースも少なくありません。

特に、評価者ごとの判断基準がばらつく企業では、アンカリングの影響がより顕著になります。
このような歪みを放置すると、結果的に優秀な人材ほど組織を離れやすくなるという悪循環に陥ります。
全体の一貫性を保つためには、評価データの見直しと、評価者同士のキャリブレーション(すり合わせ)が欠かせません。

また、評価バイアス全体を俯瞰して整理したい場合は、「人事評価のエラー・バイアス10選|不公平を防ぐ仕組みと改善策を解説」も参考になります。
アンカリング以外のバイアスとの関連を理解することで、自社の評価制度のどこに改善余地があるかをより明確にできます。

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アンカリングを防ぐための具体的な対策

アンカリングは“なくす”ことよりも、“起きにくくする環境を設計する”ことが重要です。
評価者の心理だけでなく、制度やプロセスの側面からも働きかけることで、バイアスの影響を最小限に抑えられます。
ここでは、実務で取り入れやすい5つの対策を紹介します。

評価基準を明確にし、判断基準を共有する

アンカリングが起こる根底には、評価者が“何を基準に判断すべきか”を明確に持てていないという問題があります。
あいまいな基準のまま評価に入ると、自然と最初の印象や数値を頼りにしてしまいます。

そのため、まず行うべきは評価基準の定義と共有です。
評価項目ごとに具体的な行動例や成果レベルを明文化し、全評価者が同じ認識で判断できる状態を作ることが基本です。
「結果」「プロセス」「行動」を分けて評価することも、主観を減らす有効な方法です。

たとえば、コンピテンシー評価(職務行動特性に基づく評価)を導入することで、個人の印象に左右されにくいフレームを持たせることができます。
詳しくは「コンピテンシー評価とは?人事評価との違い・導入方法とメリット・デメリット」も参考になるでしょう。

面談の順序と構成を見直す

面談の流れそのものがアンカリングを誘発しているケースもあります。
多くの企業では、面談の冒頭で前年の評価や目標達成度を確認しますが、これが強いアンカーとして作用します。
最初に過去の数字を見せてしまうことで、「去年と比べてどうか」という相対的な視点に引きずられてしまうのです。

効果的なのは、現年度の成果や具体的な行動エピソードから先に確認する構成に変えることです。
評価者が“今の情報”を基準に対話できるようにすれば、過去の印象に影響されにくくなります。
また、評価を伝える場では、社員の受け止め方にも配慮が必要です。
伝え方によって納得感や信頼度が大きく変わるため、「人事評価面談での伝え方|低評価の伝え方・納得感を高める方法」も併せてチェックしておくとよいでしょう。

評価者トレーニングで“気づく力”を育てる

制度設計だけでなく、評価者自身の意識改革も欠かせません。
アンカリングは多くの場合、評価者本人がその存在に気づいていないことが問題です。
「なぜそう判断したのか」「どの情報を根拠にしているのか」を言語化できるようになることで、バイアスの影響を減らすことができます。

トレーニングでは、実際の評価シートを使い、複数の評価者で同一ケースを採点・比較してみると効果的です。
自分の判断の傾向や他者とのズレを可視化することで、どこに主観が入りやすいかを理解できます。
また、評価結果をフィードバックする際に、「自分がどの情報をもとに結論を出したか」を明確に説明できる状態を目指すことが理想です。
こうしたプロセスを継続的に繰り返すことで、評価者の“メタ認知”(自分の思考を客観視する力)が高まり、アンカリングを抑制する文化が根づきます。

多面評価(360度評価)を取り入れて印象の偏りを防ぐ

アンカリングは、評価者が一人に偏るほど強くなります。
そのため、複数の視点から評価を行う多面評価(360度評価)を導入することで、特定の印象に引きずられるリスクを減らせます。

多面評価では、上司・同僚・部下・自己評価など複数の立場からフィードバックを収集します。
一人の評価者の主観では見落とされる行動面・協働姿勢・チーム貢献といった側面が補完され、より公平な判断が可能になります。
導入の流れや評価設計の考え方については、「多面評価とは?メリット・デメリット・導入手順・評価項目を解説」で詳しく紹介しています。

多面的な視点を持つことは、アンカリングの分散だけでなく、組織文化の健全性にもつながります。
“一人の判断に依存しない評価構造”を整えることが、制度的アンチバイアスの第一歩です。

定期的なフィードバックで「最新の基準」を更新する

年に一度の評価だけでは、どうしても過去の印象がアンカーとして残ります。
この問題を軽減するには、短いサイクルでのフィードバック機会を増やすことが効果的です。

たとえば、月次や四半期ごとに10〜15分の対話を設定し、直近の行動・成果・変化を確認します。
定期的に情報を更新することで、評価者の記憶にある「過去の印象」を上書きでき、より精度の高い判断が可能になります。

また、フィードバックの伝え方そのものも重要です。
伝え方を誤ると、改善意欲よりも防衛反応を引き出してしまうことがあります。
実践的な伝え方の例は、「【例文つき】フィードバックの伝え方|シーン別にポジティブ&ネガティブな表現をご紹介」が参考になります。

“頻度×質”の両面から対話を設計することが、アンカリングを防ぎながら成長を支援する評価文化の土台になります。

アンカリングを防ぐ人事評価制度の作り方

アンカリングを根本的に抑えるには、評価者個人の注意だけでなく、制度そのものを構造的に見直すことが欠かせません。
制度設計・運用・改善を一体で考え、判断が初期印象や過去データに引きずられない仕組みをつくることがポイントです。

評価制度の目的と設計原則を明確にする

制度を設計する際は、まず「何を評価したいのか」を明確にします。
成果を重視するのか、行動変化を評価するのか、その目的を定義しないまま項目を作ると、評価者の主観が入り込みやすくなります。

評価項目は「結果」「プロセス」「行動」の3軸で整理すると、判断がブレにくくなります。
また、評価スケジュールも重要です。年1回のみの査定ではアンカリングが強まるため、中間レビューや定期面談を制度化することで、情報が最新の状態で判断できるようになります。

評価基準の可視化と運用ルールの統一

評価基準を明文化し、誰が見ても同じ解釈ができる状態にしておくことが、アンカリング防止の前提になります。
評価者研修で事例を用いたすり合わせを行うと、評価の方向性が統一されやすくなります。

行動基準の策定には、コンピテンシー評価を活用する方法もあります。
職務ごとに求められる行動特性を定義しておくことで、印象よりも具体的行動に基づく判断が可能になります。
詳しくは「コンピテンシー評価とは?人事評価との違い・導入方法とメリット・デメリット」も参照ください。

PDCAで評価制度を継続的に改善する

制度を作って終わりにせず、運用結果を定期的に振り返ることが重要です。
評価結果の分布を分析し、部門間・評価者間で偏りがないかを確認します。
もし特定の評価者だけスコア傾向が極端であれば、アンカリングの影響を受けている可能性があります。

データをもとに制度を見直し、評価プロセスを毎年更新する姿勢が、長期的に公平性を維持する鍵になります。
“運用の検証を仕組みにする”ことこそ、アンカリングを制度レベルで抑える最も確実な方法です。

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納得感のある人事評価を実現するステップ

アンカリングなどの評価バイアスを抑える取り組みは、制度設計や評価者教育を整えるだけでは十分ではありません。
重要なのは、こうした取り組みを納得できる評価プロセス”として日常的に機能させることです。
ここでは、社員が納得し、評価者も自信を持って説明できる人事評価を実現するための3つのステップを紹介します。

他の評価バイアスも理解して全体像をつかむ

アンカリングだけに注目すると、他の心理的バイアスを見落とす可能性があります。
評価の歪みを正しく把握するためには、ハロー効果(一部の印象が全体に影響する)や確証バイアス(自分の信じたい情報を重視する)など、他の偏りも併せて理解しておくことが欠かせません。

評価者が複数のバイアスを体系的に学ぶことで、「どの場面でどんな判断の傾きが起きやすいか」を自覚しやすくなります。
詳しくは、以下の記事も参考になります。

複数のバイアスを理解することが、組織としての「判断の安定性」を高める土台になります。

ナレッジ共有とコメント力向上で評価リテラシーを育てる

評価スキルは、一度の研修で身につくものではありません。
人事担当者や管理職が継続的に情報共有し、学び合う場を持つことで、評価の精度と再現性が高まります。
また、評価コメントの表現力を磨くことも重要です。
言葉の選び方次第で、社員の受け止め方や納得感が大きく変わります。
具体的な表現方法は、「人事評価コメントが書けない原因と書き方のコツ【例文つき】」で確認すると理解が深まります。

評価者の“言葉の精度”が上がることで、評価全体の信頼度が自然と向上していきます。

制度・教育・文化を連動させて「公平な評価」を根づかせる

制度を作り、評価者を育てても、それを文化として維持する仕組みがなければ長続きしません。
公正な評価を定着させるためには、次の3つの方向からの取り組みが有効です。

観点 主な取り組み 目的
制度 年次+中間レビューや定期面談を標準化 判断の鮮度を維持し、アンカリングを防ぐ
教育 評価者研修やケーススタディでスキルを強化 バイアスに気づく力を育てる
文化 フィードバックを通じたオープンな対話を促進 評価を「査定」から「成長支援」へ転換

この3層を循環させることで、評価が単なる点数付けではなく、組織の学習プロセスとして機能するようになります。
アンカリング対策をきっかけに、制度から文化へと発展させることが、公平で信頼される人事評価を実現する鍵です。

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まとめ ― アンカリングを抑え、納得感のある評価を実現するために

アンカリングは、人事評価の中で無意識に判断をゆがめる代表的なバイアスです。
完全に防ぐことは難しくても、評価基準の明確化・評価者教育・多面評価や定期フィードバックの仕組み化によって影響を最小限に抑えることができます。
重要なのは「評価を公平に行うこと」だけでなく、社員が納得し、次の成長につながるプロセスに変えていくことです。
制度・教育・文化の3つを連動させ、評価を“信頼される仕組み”として根づかせていきましょう。

FAQ(よくある質問)

Q1. アンカリングは完全に防ぐことができますか?
残念ながら、アンカリングを完全に防ぐことはできません。
これは人間の認知バイアスの一種であり、誰にでも起こる自然な心理現象です。
ただし、評価基準の明確化・多面評価(360度評価)・定期的なフィードバックを組み合わせることで、 無意識の影響を大幅に抑えることが可能です。
制度と教育の両面から仕組みを整えることが最も現実的な防止策です。
Q2. アンカリング以外に注意すべき評価バイアスはありますか?
はい。人事評価では、アンカリングのほかにも複数のバイアスが影響します。
代表的なのはハロー効果(印象が全体に影響する)や、 確証バイアス(自分の考えに都合の良い情報を重視する)などです。
これらは互いに重なりやすく、制度設計や評価者教育を通じて全体的に理解・対策することが重要です。
関連記事:
ハロー効果とは?人事評価に起こる偏りと5つの対策をわかりやすく解説
人事評価に潜む確証バイアスとは?公平性をゆがめる心理の仕組みと防止策
Q3. フィードバックの場面でアンカリングを意識するには?
フィードバックでは、「過去との比較」ではなく「今とこれから」を中心に話すことがポイントです。
過去の評価や印象を前提にすると、再びアンカーが強化されてしまいます。
事実・行動・改善提案の順に伝えることで、相手が前向きに受け止めやすくなります。
具体的な伝え方の工夫は、 【例文つき】フィードバックの伝え方|シーン別にポジティブ&ネガティブな表現をご紹介 が参考になります。


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HRコラム編集部

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