心理的安全性とは?高める方法やメリット、ぬるい組織との違いをわかりやすく解説!
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企業が競争力を維持し、従業員の成長を促すためには、「心理的安全性」という概念がますます重要視されています。心理的安全性の高い職場では、従業員が自由に意見を述べ、新たなアイデアを試し、失敗を恐れることなく挑戦できます。しかし、心理的安全性を誤解して「ぬるま湯のような甘えた環境」を作るリスクもあります。本記事では、心理的安全性の本質や、それを活用して強い組織を作る方法について徹底解説します。
目次
心理的安全性とは
心理的安全性とは、ハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授が提唱した概念で、「職場で自分の意見やアイデアを自由に共有できる環境」を指します。
心理的安全性の高さは、個人だけでなくチームや組織全体のパフォーマンス向上に直結します。従業員が自由に質問や提案を行えるだけでなく、他者からの意見や批判を建設的に受け止める文化が育まれます。その結果、仕事の質が向上し、革新的なアイデアが生まれる土壌が形成されます。
心理的安全性の高い組織と「ぬるい組織」との違い
心理的安全性の高い組織では、従業員は自由に発言できるだけでなく、挑戦や失敗を成長の糧として捉え、積極的に新しいアイデアを試すことができます。一方、ぬるい組織では、従業員はリスクを避け、現状維持に留まりがちです。このような環境では、挑戦に対する意欲が低下し、組織の成長が停滞します。また、心理的安全性が高い組織は、建設的なフィードバックや対話を通じて成長を促し、従業員のエンゲージメントを高めるのに対し、ぬるま湯のような組織は、問題点が見過ごされやすく、最終的には組織の生産性にも悪影響を及ぼします。
心理的安全性が注目されている背景とその理由
心理的安全性の重要性が広く認識されるようになった背景には、Google社が行った「プロジェクト・アリストテレス」の研究があります。この研究では、Googleの高業績チームと低業績チームを比較し、成功するチームの共通点として「心理的安全性」が最も重要な要素であることが明らかになりました。
研究によると、心理的安全性の高いチームでは、メンバーが自由に意見を交わし、ミスを恐れずにチャレンジすることが可能であり、それが生産性とイノベーションを生む大きな要因となっていました。一方、心理的安全性が低いチームでは、メンバーが発言を控え、問題を報告しない傾向が見られ、結果的にチームのパフォーマンスが低下していました。
Googleの研究結果は、心理的安全性が単なる理論ではなく、実際の業務においても組織の成功に不可欠であることを示しています。これにより、世界中の企業が心理的安全性の向上に向けた取り組みを本格的に開始する契機となりました。
参考:Google re:work
心理的安全性を高めることで得られるメリット
心理的安全性がもたらすメリットは、個人と組織の双方にあります。個人に対しては、自己効力感の向上やストレスの軽減といった効果があり、成長を促す土壌を提供します。一方、組織にとっては、多様な意見を活かすことで意思決定の質が向上し、より迅速な問題解決が可能となります。これにより、チーム全体のエンゲージメントと生産性の向上が期待できます。
個人へのプラスの影響
自己効力感の向上
心理的安全性の高い職場では、従業員は安心して自分の意見を発信でき、自らのスキルや知識に対する自信が高まります。自信を持つことで、新しいチャレンジに対する積極性が向上し、結果的に自己成長へとつながります。また、上司や同僚からのフィードバックを前向きに受け入れ、意欲も高まる傾向があります。
創造力の向上
心理的安全性の高い職場では、従業員が自由な発想を持ち、革新的なアイデアを生み出しやすくなります。失敗を恐れずに新しいアイデアを提案できる環境は、創造的なプロジェクトや業務の改善につながります。これにより、組織全体の競争力も強化されます。
ストレスの軽減
心理的安全性が確保された環境では、従業員は失敗を過度に恐れることなく業務に取り組むことができます。この結果、職場のプレッシャーや不安が軽減され、メンタルヘルスの向上につながります。ストレスが少ない環境では、従業員は集中力を維持しやすく、より高い生産性を発揮できるようになります。
組織やチームへのプラスの影響
コミュニケーションの活性化
心理的安全性が高まることで、従業員同士の信頼関係が築かれ、率直な意見交換が行われるようになります。これにより、チーム内の意思疎通がスムーズになり、業務の透明性が向上します。さらに、異なる視点が活かされることで、問題解決のアイデアが多様化し、より柔軟な対応が可能になります。
生産性向上
心理的安全性の高い職場では、従業員が安心して業務に集中できるため、効率的に作業を進めることができます。無駄な確認作業や不必要なリスク回避行動が減少し、チーム全体のパフォーマンスが向上します。また、従業員が自由に意見を出し合うことで、業務プロセスの改善やイノベーションの創出が促進され、企業の競争力強化にもつながります。
離職率の低下
心理的安全性の高い職場では、従業員が自分の意見を受け入れられ、評価されていると感じるため、働きがいが向上し、定着率が高まります。職場での信頼関係が構築されることで、ストレスが軽減され、結果として離職意向が低くなります。これにより、採用や研修コストの削減につながり、組織の安定的な成長を支えます。
問題解決能力の向上
心理的安全性のある職場では、従業員がミスや課題を早期に報告しやすくなり、迅速な問題解決が実現します。問題が顕在化する前に対応策を講じることができるため、業務の停滞を防ぎ、組織全体の健全な運営に貢献します。また、従業員が主体的に問題解決に取り組む姿勢が育まれ、長期的な視点での改善活動が促進されます。
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心理的安全性が低い職場で生じる4つの不安要素
職場における心理的安全性が低下すると、従業員は自分の意見を自由に発信することができなくなり、さまざまな不安を抱えるようになります。その結果、コミュニケーションの停滞や、業務の効率低下を引き起こす可能性があります。ここでは、心理的安全性が低い環境で従業員が感じる代表的な4つの不安について解説します。
「無知だ」と思われることへの不安
職場で質問をすることが、自分の知識不足を露呈し、無能と思われるのではないかという恐れです。この不安が高まると、従業員は自らの知識ギャップを埋める努力を怠り、結果としてスキルの向上が妨げられます。例えば、新しいプロジェクトに関する質問を避けることで、業務の理解が浅くなり、パフォーマンスが低下するリスクがあります。心理的安全性が低い環境では、こうした不安が連鎖し、組織全体の知識共有が滞る恐れがあります。
「無能だ」と思われることへの不安
失敗をすると、自分が無能と見なされるのではないかという恐れです。この不安により、従業員は挑戦を避け、現状維持にとどまりがちになります。例えば、新しい業務フローの提案を躊躇し、従来の方法に固執することが多くなります。こうした状況が続くと、組織の成長が停滞し、競争力の低下につながる可能性があります。心理的安全性が高い職場では、失敗を学びの機会として捉える文化が根付いています。
「邪魔だ」と思われることへの不安
自分の意見やアイデアがチームの進行を妨げるのではないかという恐れです。この不安があると、従業員は積極的な意見表明を控え、結果的に創造的なアイデアの発信が少なくなります。例えば、会議での発言を遠慮することで、問題の早期発見や改善策の提案が見送られます。心理的安全性が確保されていれば、従業員が自信を持って発言でき、チームのパフォーマンスが向上します。
「ネガティブだ」と思われることへの不安
問題点を指摘すると、批判的な人物と見なされるのではないかという恐れです。この不安により、従業員は業務の改善提案を控える傾向にあります。例えば、非効率なプロセスに気づいても指摘せず、組織全体の生産性が低下してしまいます。心理的安全性の高い職場では、建設的な批判が奨励され、業務改善の機会が増えます。
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心理的安全性が低い職場で起こり得る問題
心理的安全性が低い職場では、従業員のエンゲージメントが低下し、仕事の質が落ちるだけでなく、組織全体に悪影響を及ぼします。従業員が意見を出しにくい環境では、問題の発見や解決が遅れ、結果として業務効率が悪化します。また、精神的な負担が増加し、従業員の健康やモチベーションに深刻な影響を与えることもあります。ここでは、心理的安全性の欠如がもたらす具体的な問題を解説します。
社員のモチベーションの低下
心理的安全性が低い環境では、従業員が自分の意見を受け入れてもらえないと感じ、次第に発言や挑戦を控えるようになります。その結果、仕事に対する意欲が低下し、業務への関心が薄れていきます。モチベーションが低いと、創造的なアイデアの発信が減り、組織全体の成長スピードが鈍化します。
仕事のパフォーマンスが下がる
職場での心理的安全性が欠如していると、従業員は業務上の問題や課題に対して消極的になり、結果としてパフォーマンスの低下につながります。例えば、疑問点があっても質問を避けることで、作業のミスが増え、業務の効率が著しく低下します。これにより、組織全体の生産性が下がり、最終的には業績にも影響を及ぼします。
トラブルの対応が遅れる
心理的安全性が低い職場では、問題を報告することに対する不安が強まり、トラブルの発覚が遅れることがあります。特に、問題の早期発見が重要な業務においては、迅速な対応が難しくなります。例えば、顧客クレームの対応が遅れたり、内部の不正が見過ごされたりするケースも少なくありません。
社員のメンタルの不調が起こる
心理的安全性が低い職場では、ストレスが蓄積し、従業員のメンタルヘルスに悪影響を及ぼします。職場での発言を控え、自分の意見を押し殺すことで、精神的な負担が増加し、うつ病や燃え尽き症候群のリスクが高まります。最悪の場合、離職につながることもあり、組織にとって大きな損失となります。
心理的安全性を高める方法
心理的安全性を高めるためには、組織全体での取り組みが不可欠です。ここでは具体的な取り組みについて解説します。
オープンな組織文化の醸成
企業のビジョンや価値観を明確にし、社員が安心して意見を述べられる文化を作ることが重要です。経営陣が率先してオープンなコミュニケーションを推奨し、意見の相違があっても尊重し合う姿勢を示すことで、従業員の心理的安全性が高まります。また、経営陣が日常的に現場と関わる機会を増やし、フィードバックを積極的に受け入れることも効果的です。
360度評価の導入
多面的なフィードバックを取り入れることで、上司・同僚・部下の視点から適正な評価が行われ、信頼関係が強化されます。従業員の強みや成長ポイントを明確にすることで、安心して自己成長に取り組める環境が整います。さらに、公正な評価体制が整えば、パフォーマンス向上につながり、組織全体のモチベーションアップにも寄与します。
参考:360度評価とは?メリット・デメリットと実際の活用方法を紹介
従業員エンゲージメント調査の実施
定期的な調査を行い、従業員の心理的安全性の現状を把握し、課題解決につなげることが必要です。匿名のアンケートやインタビューを活用し、従業員の不安や課題を可視化します。その結果をもとに、経営陣が具体的な改善策を講じることで、従業員は自分の声が反映されていると感じ、信頼が深まります。
積極的なフィードバック文化の推進
フィードバックをポジティブなものとし、意見を受け入れることで心理的安全性を向上させます。マネージャーは、部下の成果を認めるだけでなく、改善点についても建設的に伝えるスキルが求められます。頻繁なフィードバックを通じて、従業員が安心して学び続けられる文化を醸成します。
心理的安全性を高める際の注意点
心理的安全性を過度に重視しすぎると、意見の多様性が損なわれたり、業務効率が低下するリスクがあります。例えば、あまりに「安心感」を優先しすぎると、業務上の課題や問題点が見過ごされる恐れがあります。適度なプレッシャーやチャレンジの機会を維持しつつ、心理的安全性を確保するバランスが重要です。
まとめ
心理的安全性の向上は、従業員の成長と組織の発展に不可欠です。経営陣、管理職、従業員が一体となり、信頼できる職場環境を作ることで、チームの生産性や満足度が向上します。今日からできる取り組みを少しずつ導入し、強い組織を目指しましょう。
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