休日出勤とは?労働基準法と勤務時間・休憩時間のルール【2025年最新】
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休日出勤は会社が従業員に要請できる制度ですが、労働基準法や厚生労働省のガイドラインに沿って適切に運用しなければ違法行為となり、処罰の対象になる可能性があります。 近年は「勤務間インターバル制度」など、働き方改革を踏まえた新しい取り組みも推進されており、休日出勤の管理方法は年々重要性を増しています。
本記事では、休日出勤の定義やルール、割増賃金の考え方、注意点を整理し、さらに2025年の最新ガイドラインを踏まえた実務上のポイントも解説します。企業の労務担当者や働く方が、適切に休日出勤を運用・理解するための参考にしてください。
休日出勤とは
休日出勤とは労働義務がない休日に労働することです。休日には法定休日と法定外休日の2種類があり、それぞれ扱いが異なります。そのため、それぞれの違いを把握することが大切です。
法定休日
法定休日とは、労働基準法で最低限定めなければならない休日です。労働基準法で週1日以上の休日を労働者に与えることが義務付けられています。この休日に出勤した場合には、休日手当が発生します。
また、この休日出勤を従業員にさせる場合、従業員と会社の間で36協定(時間外、休日労働に関する協定届)を締結しなければいけません。この協定を結ばずに休日出勤させると違法行為となります。
逆にこの協定を結び、会社から休日出勤命令が出された場合、労働者は拒否できません。条件を満たしているにもかかわらず休日出勤を従業員が拒否すると、その従業員を会社は処分できる場合があります。
法定外休日
法定外休日とは、労働基準法で定められていない、会社で独自に定めた休日です。例えば土日を休みにしている会社の場合、土日のどちらかは法定休日ですが、片方は法定外休日として扱われます。
この法定外休日に出勤する場合、休日手当は発生しませんが、週40時間以上の労働をしている場合には、その分の割増賃金を残業手当として支払わなければいけません。
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休日出勤のルール
従業員に休日出勤をさせる場合、ルールを守らなければいけません。ここではどのようなルールがあるか、解説します。
割増賃金の支払い義務がある
従業員に休日出勤をさせる場合、その内容に応じて割増賃金の支払い義務があります。主に支払わなければいけないのは、休日手当と残業手当です。
休日手当は法定休日に出勤した場合に支払わなければならない割増賃金です。これに対して、残業手当は休日出勤でも法定外休日に出勤し、かつ週40時間以上労働している場合に支払う割増賃金です。これは休日に1時間だけ出勤した場合でも、適用されます。
なお、休日出勤した場合は、週40時間を超えている場合でも、残業手当は発生しません。また、フレックスタイム制や年俸制の場合でも、休日は定められており、休日の出勤に当てはまる場合には休日手当の支払い義務があります。
休日出勤した場合の休日の扱い
休日出勤をした場合、その休日を代休または振替休日という方法で別の日に振替できます。代休は休日出勤後に別の労働日に休日を取る方法です。代休は労働基準法で定められておらず、取得の方法や期日は企業で設定できます。
振替休日は法定休日に出勤予定だったものを事前に別の日に振り替えることです。この場合は、法定休日が振替後の日にちになり、休日手当は発生しません。ただし、振替によって週40時間を超える場合には残業代が発生します。
代休との大きな違いは事前に休日を交換したかどうかです。振替休日の場合は、事前に入れ替えますが、代休の場合は休日出勤後に手続きされます。
休日出勤の要請がある場合、従業員は原則拒否できない
休日出勤は違法なのかどうか、気になる企業の経営者や人事の方もいるのではないでしょうか。休日出勤は、以下の条件に当てはまる場合、違法行為ではありません。
・就業規則や雇用契約に休日出勤のルールが明記している場合
・36協定を締結している場合
・労働時間が労働基準法の範囲内である場合
これらを事前に周知し、労働契約を結んでいる場合、原則として休日出勤を拒否できません。そのため、休日出勤を従業員にさせる場合には、事前に就業規則や雇用契約で取り決めを行い、労働契約を結ぶ必要があります。
ただし、従業員に、冠婚葬祭や介護の付き添い、引っ越し、通院など休日出勤を拒否するやむを得ない事情がある場合のみ、拒否できる場合があります。
休日出勤に該当するケース
会社が休日出勤として命令していない場合でも、休日出勤に該当するケースがあります。具体的には以下のケースです。
・イベントや研修に参加義務がある場合
・業務上の理由で出勤せざるを得ない場合
この条件に当てはまる場合は、休日にしていても、休日出勤として扱われます。イベントや研修は任意参加であれば、休日に参加しても休日出勤には該当しません。しかし、イベントや研修の内容にかかわらず、参加が義務付けられている場合には、休日出勤に該当します。
また、納期を守るためなど、業務上の理由で出勤せざるを得なかった場合、会社から出社命令が出ていなくても休日出勤に該当します。
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休日出勤したときの手当の扱い方
従業員が休日出勤した場合、正しい額の手当を支払い、適切に処理しなければいけません。休日出勤した場合の手当は、以下のように計算します。
・基礎時給を確認する(月給を1ヶ月の平均所定時間で割る)
・法定休日と法定外休日に出勤した日数と時間を計算する
・定められた割増率をかける
ただし、休日出勤手当が基本給に含まれる場合、休日手当の支払い
法定休日に出勤した場合、休日手当の支払い義務があり、1時間あたりの賃金額の1.35倍を支払わなければいけません。法定外休日で週40時間を超える労働の場合、残業手当を支払う義務があり、1時間あたりの賃金額の1.25倍の割増賃金を従業員に支払います。
また、休日出勤を従業員にさせる場合、休日出勤について、就業規則に記載し、労使協定を結ばなければいけません。
休日出勤についての注意点
休日出勤の処理は適切に処理しなければ違法行為となり、処罰の対象になります。ここでは休日出勤についての注意点を解説します。
休日出勤は代休にした場合でも、割増賃金を払う
休日出勤を従業員にさせた場合、その後代休にした場合でも割増賃金が発生します。事前に取り決めをしていない場合には振替休日にもできません。また、1時間の出勤であっても休日手当の対象です。
代休にした日の給料の支払い義務はありませんが、休日出勤させた日については割増賃金を支払う義務があります。
休祝日は関係ない
休日手当の支払いに休祝日は関係ありません。法定休日に出勤したかどうかが問題になります。法定休日は週1日定められており、週休2日制の場合は、就業規則に乗っ取ってどちらか1日が法定休日として扱われます。
そのため、祝日に出勤した場合でも法定休日に該当しない場合は休日出勤には該当しません。
従業員に過度の休日出勤を強制しない
休日出勤は労働者と36協定を締結している場合には、就業規則や労働基準法の範囲内で休日出勤の命令ができます。しかし、過度の休日出勤の命令は労働者の不満の原因になり、離職の原因になりかねません。
また、2019年に働き方関連法が施行され、労働時間の適切な管理が義務付けられており、不当な休日出勤は違法行為として取り締まられる可能性があります。
休日出勤は適切な範囲であれば、違法行為ではありませんが、適切な範囲で運用することが大切です。
2025年の労働時間・休日出勤に関する最新ガイドライン
休日出勤の取り扱いは、労働基準法の基本ルールに加えて、厚生労働省の最新ガイドラインの影響も受けます。2025年現在、企業・労働者が特に意識すべきポイントは次の3点です。なお本章は、厚生労働省『労働時間等見直しガイドライン(PDF)』を参考にしています(厚生労働省:労働時間等見直しガイドライン)。
勤務間インターバル制度の推進
終業から次の始業までに一定の休息時間を確保する「勤務間インターバル制度」の導入が推奨されています。法的な一律義務ではないものの、長時間労働の抑制や健康確保の観点から努力義務として位置づけられ、制度化の機運が高まっています。休日出勤が続くと連続勤務になりやすいため、インターバルを運用して十分な休息を担保することが重要です。就業規則や36協定の運用と合わせ、実務で機能するルール設計(例:シフト設計、呼び出し時の翌勤務調整)まで落とし込むと効果が出ます。
時間外労働の上限規制
時間外労働は原則「年360時間・月45時間」が上限です。臨時・特別の事情があり、特別条項付き36協定を締結した場合でも、年720時間以内、複数月平均80時間以内、月100時間未満(いずれも休日労働を含む)を超えることはできません。休日出勤はこの上限管理に算入されるため、所定外・法定外・法定休日労働の区分を正しく押さえ、実労働時間の通算管理(複数月平均を含む)を徹底する必要があります。繁忙期の見込み段階から計画的に人員・シフトを調整し、超過リスクを未然に防ぐ運用が求められます
年次有給休暇取得の促進
年間10日以上の年休が付与される労働者に対して、使用者は毎年5日を時季指定して取得させる義務があります(働き方改革関連法)。ガイドラインでも、計画的付与や業務平準化など、取得促進の仕組みづくりが重視されています。休日出勤が発生しやすい部署ほど、年休の計画的運用や繁閑に応じた取得計画が重要です。割増賃金の支払いだけでなく、休息と回復を制度面で担保することが、法令順守と生産性維持の両立につながります。
まとめ
休日出勤は従業員と36協定を締結していれば、違法行為ではありませんが、休日手当や残業手当の支払いが義務付けられています。そのため、ルールの範囲で適切な運用をしなければいけません。
また、ルールの範囲内であっても、休日出勤は従業員の不満の原因となり、離職や職場の労働環境悪化の原因になります。そのため、従業員に休日出勤の命令をする場合には、ルールを確認し、適切に要請することが重要です。
この記事を参考に休日出勤を適切に扱うようにしましょう。
FAQ(よくある質問)
Q1. 休日出勤と残業はどう違うのですか?
残業は「法定労働時間(1日8時間・週40時間)」を超えた労働を指します。一方、休日出勤は「法定休日(週1回以上与える義務のある休日)」に勤務することを意味します。したがって、平日の延長勤務=残業、休日に働く=休日出勤となり、割増賃金率も異なります。
Q2. 休日出勤をした場合、代休や振替休日は必ず取れるのですか?
法律上「代休の取得義務」はありません。ただし、休日労働を命じる場合には割増賃金(通常賃金の35%以上)を支払う必要があります。会社があらかじめ「振替休日」として別日に休日を設定している場合は休日労働に該当せず割増賃金の対象外ですが、当日や事後に代休を与える場合は休日労働扱いとなり、割増賃金が発生します。
Q3. 休日出勤が続いても違法にならないのですか?
休日出勤自体は違法ではありませんが、労働時間の上限規制(原則:年360時間/特別条項付き36協定で年720時間以内・月100時間未満、複数月平均80時間以内)に違反すれば違法となります。さらに2025年のガイドラインでは「勤務間インターバル制度」の導入推進が強調されており、休日出勤が連続する場合は健康確保の観点からも注意が必要です。
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