【例文つき】フィードバックの伝え方|シーン別にポジティブ&ネガティブな表現をご紹介
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「ちゃんと伝えたはずなのに、相手がまったく違う受け取り方をしていた」
「フィードバックをしたつもりが、ただの指摘に聞こえていた」
――そんな“伝わらないコミュニケーション”に、心あたりはありませんか?
ビジネスの現場において、成果や成長を後押しするには「フィードバック」が欠かせません。しかし、日本企業では「指摘にならないようにしたい」「相手を否定していると思われたくない」といった心理的ハードルも多く、フィードバックの本来の意義や効果が十分に活かされていない場面も少なくありません。
本記事では、そもそもフィードバックとは何か、どう伝えると効果的なのか、そして現場で実践できる例文や工夫を体系的に解説していきます。
人事担当者やマネージャーの方が「伝え方に悩まなくなる」ためのヒントが詰まった記事として、ぜひご活用ください。
目次
ビジネスにおける「伝え方」の悩み
組織におけるコミュニケーションの中でも、フィードバックは成長支援や信頼構築に不可欠な要素です。しかし、どれだけ丁寧に言葉を選んでも、相手に意図が伝わらなかったり、受け取り方にズレが生じたりすることも少なくありません。特に人事担当者は、評価・面談・1on1など、あらゆる場面で伝え方の工夫を求められる立場にあります。この章では、フィードバックに関する「伝え方の壁」がなぜ起こるのか、ビジネス現場での典型的な悩みを紐解いていきます。
伝えたつもりが伝わっていないすれ違い
フィードバックの場面では、「言ったのに伝わっていなかった」というすれ違いが多く発生します。内容自体が正確でも、相手の心理状態やタイミング、言い回しによっては、全く別のニュアンスとして受け取られてしまうこともあります。とりわけ上下関係のある組織内では、受け取る側が本音を出しづらくなるため、真意を汲み取ってもらえないこともあります。人事部門では、こうしたギャップを解消し、誰もが安心してフィードバックを受け取れる環境づくりが求められます。
日本企業におけるフィードバックの難しさ
日本の職場文化では、直接的な表現やストレートな指摘に抵抗感がある傾向があります。そのため、改善点を伝えたくても、やんわりとした表現にとどまり、結局何が課題だったのかが伝わらないという問題が起こりがちです。また、対面での本音のやり取りに慣れていない若手社員が増えていることも、相互理解を難しくしている要因です。人事担当者には、こうした文化的背景を理解した上で、フィードバックがポジティブに機能する伝え方や仕組みづくりが求められています。
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フィードバックとは?
フィードバックとは、相手の行動や成果に対して、次の改善や継続に役立つ情報を返すコミュニケーション手法です。ビジネスにおいては、成長支援や信頼構築、チームのパフォーマンス向上など、さまざまな場面で活用されています。ここでは、フィードバックの基本的な考え方として、種類や役割、そして組織にもたらす効果について整理します。仕組みとして導入する前に、この章でフィードバックの全体像を掴み、正しく理解しておくことが実践の第一歩です。
ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックの違い
フィードバックには主に「ポジティブ」と「ネガティブ」の2種類があります。ポジティブフィードバックは、相手の良い行動や成果を認め、継続や強化を促すために用いられます。自己効力感やモチベーションを高める効果があり、特に新入社員や挑戦中のメンバーに効果的です。一方、ネガティブフィードバックは、改善点や課題を明確に伝えることで行動の修正を促すものです。ただし、伝え方次第では防衛反応を引き起こすため、配慮や具体性が求められます。状況や相手に応じた使い分けが、フィードバックの質を左右します。
ビジネスにおけるフィードバックの主な役割
ビジネス現場におけるフィードバックの役割は多岐にわたります。まず個人に対しては、行動の良し悪しを言語化することで、改善点や強みを明確にし、次の行動選択を支援する役割があります。また、マネジメントの視点では、部下との定期的な対話を生むことで信頼関係を構築し、エンゲージメントを高める役割も果たします。さらに、組織全体では、目標達成に向けた軌道修正や業務の標準化を促進する仕組みとして機能します。人材育成や離職防止といった経営課題にも直結する、戦略的な役割を担っているのです。
フィードバックがもたらす効果
適切なフィードバックは、個人・チーム・組織の全レベルにおいて多くの効果をもたらします。たとえば、明確な期待値や成果認識が共有されることで、社員一人ひとりのモチベーションが向上します。また、行動と結果が結びついた言語化により、業務の質が安定・向上しやすくなります。さらに、1on1や定期面談などで継続的なフィードバックが行われることで、心理的安全性が育まれ、風通しの良い組織文化が醸成されます。こうした効果は、結果的に離職率の低下や人材定着にも大きく貢献します。
フィードバックを効果的に伝えるための工夫
フィードバックの効果を高めるには、「どう伝えるか」という構造と手順が非常に重要です。単に感想や意見を述べるだけでは、相手の行動につながりにくく、誤解や反発を招くこともあります。そこで活用されるのが、フィードバックの基本フレームです。SBIモデルやサンドイッチ型、ペンドルトン型など、実践で使える枠組みは複数ありますが、ここではそれらの詳細説明は省き、効果的に活用するための視点と実践ポイントにフォーカスします。
フレームの詳しい解説は下記記事をご参照ください。
参考記事:フィードバックとは?ビジネスでの意味と効果をわかりやすく解説
伝える内容の具体性を高める
フィードバックの成否は、相手にどう「受け取られるか」で決まるといっても過言ではありません。正しい内容でも、相手の状況や気持ちを無視すれば、信頼関係を損ねることがあります。特に上司から部下へのフィードバックでは、言い回しやトーンに配慮が必要です。
ペンドルトン型は、まず相手に自己評価を促してから、必要に応じて補足・提案をする対話型のフィードバック手法として知られています。
このように「まず相手に語らせる」アプローチは、受け入れられやすさを高める有効な手段です。
相手視点を取り入れた言葉選び
フィードバックは一方通行ではなく、相手との信頼関係を前提とした対話です。どれだけ正しい指摘でも、相手の立場や状況を無視した言い方では、防衛的な反応を引き起こしてしまう可能性があります。そこで重要なのが「相手視点」です。「何を伝えるか」以上に、「どう伝えるか」「どう受け取られるか」を意識することが鍵となります。ペンドルトン型のような“対話前提”のフレームを参考にすれば、相手の自己認識を尊重したフィードバックが実践しやすくなります。
行動と成果につながる設計の視点
フィードバックのゴールは、相手の行動や習慣がポジティブに変化することです。ただの「感想」や「良し悪し」だけでは変化は起こりません。重要なのは、次にどうすれば良いかがイメージできるかという点です。たとえば「この提案は面白かった。次回は数値根拠を添えると説得力が増すかもね」といった形で、未来への視点を加えるのが効果的です。
サンドイッチ型は、ポジティブ→改善点→ポジティブという順に構成され、相手の安心感を保ちつつ前向きに行動を促せる手法です。
参考記事:フィードバック施策が定着しない原因と仕組み化の方法|制度設計と支援サービスまで解説
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シーン別・フィードバック例文集
フィードバックは「どう伝えるか」に加えて、「どんな言葉で伝えるか」も重要です。特に人事や管理職にとって、場面や関係性に応じた言い回しの選択は、チームの信頼関係や行動変容に直結します。この章では、よくあるビジネスシーンごとに、実際に使いやすいフィードバック例文を紹介します。1on1や面談、日常業務、メール・チャットなどの場面に分けて構成し、ネガティブなフィードバックにはサンドイッチ型を取り入れ、相手に配慮した伝え方にしています。
1on1や面談でのフィードバック例文
1on1や面談では、相手の成長と信頼関係を両立させる伝え方が求められます。前向きに捉えてもらえる構成を意識しましょう。
✅ ポジティブフィードバック例文
・「先月の商談対応、顧客の質問に即答していたのが印象的でした。事前準備が丁寧だったのだと感じます」
・「新人へのフォロー、自然に声をかけていてチームとしても助かっています。〇〇さんの柔らかい雰囲気が活きていますね」
・「数字だけでなく、行動プロセスまで振り返って説明できていたのは素晴らしかったです」
✅ ネガティブフィードバック例文(サンドイッチ型)
・「今期の報告資料、とても分かりやすく工夫されていました。一点だけ、数値データの根拠がもう少し明記されていると、見る側にも安心感があるかもしれません。そこを意識できると、説得力がさらに増しそうです」
・「自分から報告してくれたのは助かりました。もう少し落ち着いた話し方ができると、伝わりやすさもさらに増すと思います。ご自身でも振り返って、気づいたことがあれば次回に活かしていければと思います」
・「行動量がしっかり出ている点は本当に印象的でした。もし可能であれば、今後はタスクの優先順位も少し意識してみると、さらに動きやすくなるかもしれませんね」
日常業務でのカジュアルなフィードバック例文
日常業務でも、ちょっとした声がけがモチベーションや安心感を生み出します。気づいたらすぐに言葉にすることが大切です。
✅ ポジティブフィードバック例文
・「今日の社内チャット、内容が簡潔で助かりました。あのスタイル、チーム全体に良い影響出そうですね」
・「今朝の雑談、場が和んでありがたかったです。自然に空気を作れるのは強みですね」
・「ミスをすぐ共有してくれたの、すごく信頼できる行動だったと思います。ありがとうございます!」
✅ ネガティブフィードバック例文(サンドイッチ型)
・「資料作成、スピード感があって助かっています。フォントサイズが少し小さく感じたので、もう少し大きめだと見やすくなるかもしれません。ちょっと意識してみると良いかもです!」
・「ミーティングの進行、スムーズに進めてくれていましたね。もう少しアイコンタクトがあると、さらに伝わりやすくなるかもしれません。このまま少しずつ磨いていきましょう」
・「文章のトーンがいつも丁寧で安心感があります。少し長めになっているときがあるので、箇条書きも試してみるとさらに伝わりやすくなるかもしれませんね」
メールやチャットでのフィードバック例文
テキストコミュニケーションでは、感情が伝わりづらい分、構成と言葉選びが重要です。ポジティブな前置きや結びで、やわらかく伝えましょう。
✅ ポジティブフィードバック例文
・「〇〇の件、迅速な対応ありがとうございます!次の工程もスムーズに入れました」
・「昨日の資料、構成が明快で非常に読みやすかったです。いつも助かっています」
・「週報、数字と所感のバランスが絶妙でした。要点がつかみやすくてありがたかったです」
✅ ネガティブフィードバック例文(サンドイッチ型)
・「提出ありがとうございました。全体的に見やすくまとまっていました。1点だけレイアウトが崩れていた箇所があったので、こちらで調整しました。今後も何かあれば遠慮なく相談してくださいね」
・「日報、丁寧に書かれていて読みやすかったです。進捗の記載がやや曖昧に見えたので、もう少し具体的だと共有もしやすくなりそうです」
・「対応ありがとうございました!一部リンクが開けなかったようなので、再送いただけると助かります。いつもやり取りがスムーズでとても助かっています」
フィードバックを日常に根づかせるための習慣づくり
フィードバックが組織に定着するかどうかは、制度や評価システムだけで決まるものではありません。実際には、日々のちょっとした言葉のやり取りや、上司や同僚のふるまい、チーム内の空気感といった「職場の習慣」が重要な鍵を握っています。この章では、制度に頼らずとも、自然とフィードバックが生まれるような職場文化を育てるヒントを紹介します。人事担当者やマネージャーが今日からでも取り入れられる、“小さな工夫”と“続けられる習慣”に焦点を当てます。
日常会話にフィードバックを組み込む習慣
フィードバックを「特別な行為」にしないためには、日常の中で当たり前のように言葉を交わす工夫が有効です。たとえば、あいさつに一言添える形で「昨日の対応、気が利いてたね」と伝える。Slackで「助かった!ありがとう」と明確に労いの意図を示す。それだけでも十分なフィードバックになります。重要なのは、完璧な表現を目指すのではなく、気づいたらその場で口に出すこと。形式にとらわれず、自然に「良い点」や「改善点」に触れる空気が生まれれば、それが組織にとっての文化の土台となっていきます。
マネージャーが“見せる”フィードバックの影響力
フィードバック文化を育てるうえで、マネージャーのふるまいは非常に大きな影響力を持ちます。特に大切なのが、“フィードバックしている姿を見せる”ことです。たとえば1on1のあとに「〇〇さん、今日の対話すごく建設的だった」とメンバーにシェアする、会議で「この進め方、私も真似したい」と口にする——こうしたふるまいは周囲にとって学びとなり、「フィードバックは歓迎される行為なんだ」という認識を広げます。やっていることをあえて見せる、言葉にして残すことが、マネジメントによる文化形成の一歩です。
フィードバックが生まれる「場」のつくり方
制度が整っていなくても、フィードバックが自然と生まれる「場」をつくることは可能です。たとえば、定例MTGの冒頭1分だけ「今週、感謝を伝えたい人はいますか?」という問いかけを入れてみる。プロジェクト終了時に「振り返りの時間」を5分だけ設けて、良かった点や学びをシェアする。こうした小さな仕掛けは、強制ではなく自然な対話を促し、フィードバックのきっかけになります。場づくりは習慣づくりの第一歩。人が集まる“余白”にこそ、文化は育ちます。
加えて、日常的なやりとりだけでなく、より多様な視点を取り入れたい場合には、「360度フィードバック」のような仕組みを活用するのも一つの方法です。 上司だけでなく同僚や他部署からのフィードバックを取り入れることで、対話の幅が広がり、信頼や学びの循環が生まれやすくなります。
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フィードバックは「伝え方」より「伝わり方」
フィードバックは、言葉のテクニックや評価の制度といった枠組みだけでは本質を発揮しません。大切なのは、「何を伝えるか」ではなく、「どう伝わり、どう活かされるか」。そのためには、具体性や相手視点、タイミングや言葉選びといった要素に意識を向けながら、日常的に対話を積み重ねる習慣が欠かせません。
本記事では、フィードバックの基本や種類、伝え方の工夫、そして実際の文例、文化として根づかせるためのヒントをご紹介してきました。これらはすべて、現場でのちょっとした行動から始められるものばかりです。
人事担当者やマネージャーの方にこそ、まずは一言から始めていただきたい。フィードバックは、文化になってこそ真価を発揮します。 今日の声かけが、明日の成長を育てる最初の一歩になるかもしれません。
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