人事評価面談での伝え方|低評価の伝え方・納得感を高める方法
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目次
なぜ「伝え方」が人事評価で重要なのか
人事評価の価値は、評価結果そのものではなく、どのように伝えられるかによって大きく左右されます。評価が正確であっても、伝え方が一方的・否定的であれば、受け手の信頼や意欲は損なわれます。逆に、たとえ厳しい評価であっても、建設的かつ成長を前提にした伝え方を行えば、本人の学びや行動意欲を高められます。つまり、評価は判定ではなく「成長支援の起点」であり、その成否を分けるのが伝え方です。
評価の納得感を左右する伝え方
評価の納得感は、結果の良し悪しではなく伝え方の質に大きく左右されます。社員が評価を受け入れるには、自身の努力や成果が正しく理解されているという安心感が欠かせません。単に点数やランクを提示するだけでは、「評価された」という事実しか残らず、「成長につながる学び」が生まれません。背景や理由、具体的な行動例を伝えることで、自分事として評価を理解でき、納得感が高まります。納得感は、離職防止や定着率向上にも直結する重要要素です。
行動変容を促す伝え方
伝え方は、評価を単なる結果通知から行動変容のトリガーに変える力を持ちます。評価を聞いた直後は、多くの社員が感情的になりやすいため、指摘や改善点だけを伝えると防御的な反応を引き起こすことがあります。そこで、まず肯定的な要素を伝えたうえで、具体的な改善行動へと導く伝え方が有効です。例えば「今後〇〇を伸ばすことで△△が実現できる」と未来志向で話すことで、前向きに受け止めやすくなります。伝え方ひとつで、行動意欲に大きな差が生まれます。
信頼関係を築く伝え方
評価面談は、上司と部下の信頼関係を再構築する場でもあります。不十分な伝え方は、「自分を理解してもらえていない」という不信感を生み、エンゲージメント低下や離職意向の高まりにつながります。逆に、相手の話を傾聴し、共感を示しながら評価を伝えることで、評価そのものよりも「自分を成長させようとしてくれている」という安心感が生まれます。信頼関係が築かれた状態では、厳しい評価も素直に受け止められ、成長行動に移しやすくなります。
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人事評価面談でよくある「伝え方」の失敗例
人事評価面談では、内容そのもの以上に伝え方によって評価の受け止め方が大きく変わるため、細心の注意が必要です。評価の納得感を高めるには、面談前から伝え方を設計し、感情的・主観的にならず、行動改善につながる対話を目指さなければなりません。とくに、自己評価を踏まえて対話する際は、あらかじめ部下に自己評価を記入してもらうことが有効です(→参考:人事評価シートでの自己評価の例文を紹介!評価項目や職種別で徹底解説)。ここでは、評価面談で起こりがちな失敗例を整理します。
結果だけを伝えてしまう伝え方
人事評価面談でよくある失敗が、評価結果だけを伝えて説明を終えてしまうことです。点数やランクを告げるだけでは、本人が努力や成果を理解してもらえたという実感を得られず、モチベーションを下げる要因になります。また「なぜその評価になったのか」が不明確なままだと、改善に向けた行動もとれません。評価を伝える際は、結果だけでなく、そこに至った過程や具体的な行動事実を丁寧に示すことで、納得感と行動意欲を引き出せます。
主観的・感情的になってしまう伝え方
評価面談は緊張感が高いため、上司側が無意識に主観的・感情的な表現をしてしまうことがあります。「やる気が足りない」「もっと頑張るべき」といった抽象的な指摘は、受け手に不当感を与え、反発や防御的態度を招きます。主観的表現を避け、事実ベースの観察や具体的行動に基づくフィードバックを行うことが重要です。また、感情的な語調や表情も影響するため、落ち着いたトーンで伝えることで、評価が攻撃ではなく支援であることを伝えられます。
改善行動に結びつけない伝え方
評価を伝えただけで終わってしまい、次に何をすればよいかを一緒に考えないのも典型的な失敗です。改善点が示されず、本人が「結局どうすればいいのか」が分からなければ、評価は単なる過去の判定に終わってしまいます。評価面談は、過去を振り返る場ではなく、未来の成長を描く場にすることが重要です。「今後は〇〇を意識すると△△の成果につながる」といった具体的な行動目標を設定することで、評価を行動変容の起点にできます。
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低評価を伝えるときのステップ
低評価を伝える場面は、人事評価面談の中でも特に慎重さと準備が求められる重要局面です。伝え方を誤ると、受け手が防御的になったり、評価そのものへの不信感が高まり、モチベーション低下や離職意向につながる恐れがあります。しかし、適切な手順で伝えれば、低評価も成長の糧に変えられます。ここでは、低評価を伝えるときに押さえておきたい3つのステップを紹介します。
事実に基づいて評価理由を明確に伝える
まず重要なのは、感情や印象ではなく事実に基づいて評価理由を伝えることです。評価が低かったという事実だけを伝えても、相手には納得感が生まれず、不満や不信感を残すだけになりかねません。具体的な行動事実や成果指標を示しながら、「〇〇という目標に対して△△の結果だった」と構造的に伝えることが必要です。事実ベースで伝えることで、受け手は自分がどの部分でつまずいたのかを冷静に理解し、次の行動へと意識を向けやすくなります。
強みと伸びしろをセットで伝える
低評価を伝える際には、強みと課題をセットで伝えることが有効です。弱点だけを指摘されると、防御的な反応が強まり、成長意欲を削いでしまいます。一方、「ここはうまくできている」「ただし、ここを伸ばせばさらに活躍できる」という形で伝えると、評価が個人攻撃ではなく成長支援として受け止められやすくなります。強みを認める姿勢は、相手の自己効力感を高め、改善行動への前向きな姿勢を引き出す重要な要素になります。
今後の行動目標を一緒に設定する
最後に欠かせないのが、評価結果を今後の行動目標に結びつけることです。過去の評価を伝えただけでは、「どうすれば改善できるのか」が不明確なままで終わってしまいます。評価面談の締めくくりに、上司と部下が対話を通じて具体的な改善目標を設定することで、評価が「未来につながるフィードバック」に変わります。また、この際に多面的な視点からの成長支援(360度評価など)を活用すれば、本人の納得感も高まりやすくなります。
伝え方を改善するために上司が身につけたいスキル
人事評価面談の質は、評価者である上司の「伝え方スキル」に大きく左右されます。どれほど評価制度を整備しても、伝え方が未熟であれば、受け手の納得感や成長意欲は高まりません。評価結果を一方的に告げるのではなく、部下が自ら考え・行動したくなるよう導く対話に変えていくことが重要です。そのために上司が身につけておきたい、3つの伝え方スキルを紹介します。
心理的安全性を高める傾聴と共感
伝え方の基盤となるのが、相手の話を傾聴し共感を示す姿勢です。評価を伝える場面では、防御的になりやすい部下の感情を受け止めることが欠かせません。相手の言葉を遮らず最後まで聞き、感情に共感を示すことで、「自分を理解してもらえた」という安心感が生まれます。この心理的安全性が確保されることで、部下は評価を攻撃ではなく支援として受け取り、建設的な対話に応じやすくなります(→心理的安全性とは?高める方法やメリット、ぬるい組織との違いをわかりやすく解説!も参考になります)。
内省を引き出す質問力の習得
評価面談では、一方的に伝えるのではなく相手に考えさせる質問力が求められます。「今回の結果をどう感じている?」「どの業務に最も力を入れた?」といったオープンクエスチョンを投げかけると、部下は受け身にならず主体的に振り返ることができます。質問を通じて本人の思考を深めることで、上司から言われた改善策よりも、自ら導き出した気づきの方が行動に結びつきやすくなります。評価結果を伝えるだけでなく、学びと行動意欲を引き出す質問力を磨くことが重要です。
伝え方を体系的に学ぶ研修の活用
伝え方スキルは経験だけに頼らず、体系的に学習・練習することで習得スピードと精度を高められます。フィードバック研修やコーチング研修では、事実に基づく伝え方やポジティブ・ネガティブ両方の伝達法、対話的な面談進行などをロールプレイ形式で学べます。特にネガティブ内容を伝える場面では、【例文つき】フィードバックの伝え方|シーン別にポジティブ&ネガティブな表現をご紹介で紹介されている表現パターンを事前に身につけておくと有効です。研修による体系的学習は、評価面談の質を底上げする近道です。
組織全体で「成長支援型の評価文化」を根づかせるには
評価を単なる判定ではなく従業員の成長を後押しする仕組みとして機能させるには、個々の上司のスキルだけでなく、組織全体で文化として根づかせることが欠かせません。評価制度と評価者教育の両輪を回し、「評価=育成の一環」という意識を全社的に共有する必要があります。ここでは、成長支援型の評価文化を定着させるために人事部門が取り組むべき主要な施策を紹介します。
評価制度を成長支援視点で再設計する
成長支援型の文化を定着させるには、評価制度そのものを再設計することが出発点です。現状の制度が成果のみを重視している場合、プロセスや行動面が評価されず、挑戦や学習が軽視されがちです。定量指標と定性指標を組み合わせることで、成果と行動の両面を評価し、成長過程を可視化できます。たとえば、MBOの評価方法を徹底解説|定量・定性のバランスと実務運用のポイントで紹介されているようなMBO手法を活用すれば、業績と成長を両立する指標設計が可能になります。
多面的評価を取り入れて納得感を高める
評価の納得感を高めるには、一方向ではなく多面的な視点を取り入れることが有効です。上司1人による評価では、どうしても主観やバイアスが入りやすく、不公平感を生む原因になります。複数の同僚・部下・他部門からフィードバックを集める360度評価は、行動の一貫性や周囲への影響を把握するのに適しています。初めて導入する際は、360度評価のコメント例文を紹介!立場別や職種別、評価項目別で解説を参考に、評価コメントの具体例を提示しておくと、評価者・被評価者双方の不安を和らげられます。
評価を日常対話に組み込み行動変容を定着させる
成長支援型の文化を根づかせるには、年1〜2回の評価面談だけに頼らず、日常的な対話を通じて行動変容を定着させることが重要です。短いサイクルで進捗確認やフィードバックを行うことで、改善行動が後回しにならず、すぐに軌道修正できます。また、評価と日常対話を分けることで、評価面談の心理的負担も軽減されます。人事部門は、定期的な1on1や簡易サーベイなどを組み合わせ、行動と成長を継続的に支援する仕組みを整えることが求められます。
📘 360度評価の実践・運用・設問設計に役立つ関連記事まとめ
まとめ|伝え方を変えれば人事評価は成長の起点になる
人事評価は、本来「過去を裁く判定」ではなく、未来の成長を支援する対話の機会であるべきです。どれほど緻密な評価制度を整えても、伝え方が一方的であれば、受け手は納得せず行動にもつながりません。逆に、傾聴・共感・質問・対話力といった伝え方スキルを磨き、評価制度自体を成長支援型に再設計することで、評価は社員の意欲を高める強力な仕組みに変えられます。
とくに低評価を伝える場面では、感情的対立を避けつつ、事実に基づく説明と、強み・改善点・今後の行動目標をセットで示すことが重要です。さらに、定量と定性の両面から評価する指標設計(MBOなど)や、多面的な視点を取り入れる360度評価を組み合わせることで、公平性と納得感が高まりやすくなります。
CBASEでは、こうした取り組みを後押しする仕組みとして、360度評価を活用して社員一人ひとりの行動変容や成長を促すサービスを提供しています。
評価結果を単なる判定に終わらせず、日常の行動改善と成長実感につなげるフィードバック基盤としてご活用いただけます。
FAQ(よくある質問)
Q1. 人事評価で低評価を伝えるとき、どんな点に注意すべきですか?
まず事実に基づいて評価理由を明確に示し、感情や主観的な表現を避けることが大切です。加えて、強みと改善点をセットで伝え、次に取るべき具体的な行動目標を一緒に設定します。低評価を伝えること自体が目的ではなく、今後の成長行動につなげることが評価面談の本質です。
Q2. 人事評価面談で部下が黙り込んだときはどうすればいいですか?
無理に話させるのではなく、傾聴と共感で心理的安全性を確保することが優先です。「どう感じている?」「納得できない点はある?」などオープンな質問で対話のきっかけを作りましょう。沈黙は拒絶ではなく緊張や整理の時間であることも多いため、焦らず対話を待つ姿勢が重要です。
Q3. 伝え方のばらつきを防ぐために、人事部はどんな支援ができますか?
評価者研修やコーチング研修を実施し、事実に基づく伝え方やポジティブ・ネガティブ両面の伝え方をロールプレイ形式で学ばせることが効果的です。さらに評価コメントや目標設定のガイドラインを整備し、共通言語を持たせることで、伝え方の個人差や不公平感を減らせます。
Q4. 一方向評価だけでは納得感が得られないとき、どうすればいいですか?
一方向評価は主観やバイアスが入りやすいため、多面的な視点を取り入れる360度評価を組み合わせると効果的です。複数の同僚・部下・他部門からのフィードバックにより、行動や姿勢を立体的に把握でき、本人の納得感や成長意欲が高まりやすくなります。
Q5. 評価結果を伝えるだけで終わらせず、成長につなげるにはどうしたらいいですか?
評価を伝える場を「過去の判定」ではなく「未来の成長支援」と位置づけましょう。伝達後に一緒に行動目標を設定し、定期的にフォロー面談や1on1で伝えるフィードバックを実施することで、日常業務に成長行動を定着させられます。評価を行動変容につなげる仕組み作りが重要です。
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